『FFVII リメイク』発売まであと1カ月! 野村哲也氏インタビューで新生ミッドガルの魅力に迫る

電撃PlayStation
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 スクウェア・エニックスが4月10日(金)に発売を予定する、PS4『ファイナルファンタジーVII リメイク(以下、FFVIIR)』。その開発者インタビューをお届けします。

 インタビューのお相手は、本作でディレクターを務める野村哲也氏。発売までいよいよ1カ月となる『FFVIIR』の魅力をうかがいました。

オリジナル版を遊んだユーザーでも、思わず先が気になる展開に!

――発売まで約1カ月となりましたが、ゲームの手ごたえはいかがですか?

野村哲也氏(以下、敬称略):手ごたえアリです。ゲームを触ったデバッガーやメディアの方々からも、好評な声をいただいています。分作形式、かつ今回はミッドガル脱出までということで、どうしてもボリュームについて心配する声も上がっていますが、問題はありません。オリジナル版のミッドガルとはスケールが違います。

 ミッドガルで行ける範囲が広がったことではなく、1つ1つの描き方がとても濃いです。オリジナル版では視点の関係もありますが、どうしてもミッドガル全体を常に俯瞰で眺めているように感じられたかと思います。ただ、今回はミッドガルという街のなかに実際にいるような没入感を体感できます。オリジナル版ユーザーが当時想像力で補っていた部分が視覚化され、人物1人をとってもすごく深く描かれています。

 オリジナル版は見た目こそ立体風に作られていましたが、実際は平面上で動いていたので、奥行き感というものはプレイヤーのなかで補完していたと思います。そのあたりも今回はしっかり等身大の歩幅・距離感で街が描写されているので、世界観に対する没入度は『FFVIIR』で圧倒的に高くなっているはずです。

――ミッドガルでの物語をひたすら深く描くというのは、チーム全体の共通認識だったのでしょうか?

野村:そうですね。作り始めるときに、ここまで事前に内容をすり合わせたのは初めてです。ミッドガルだけでも満足感のあるものにしようというのが共通認識でした。ミッドガルの描き方だけでなく、バトルに関しても今の完成形にいたるまで、何度も試行錯誤しました。

――以前にお話をお聞きしたときも、バトルは難航しているとおっしゃっていましたね。

野村:組んでは壊し、組んでは壊し……こんなに試行錯誤を繰り返したのは初めてで、完成形に到達するまではかなりしんどかったですね。初期から目指していた着地点に、スタッフたちがバトンをつなぐようにがんばって完成形にさせてくれました。スタッフのなかにはオリジナル版をリアルタイムに遊んでいた世代もいて、そういう若手たちの熱量に後押しされてよくなった部分がかなりあります。

――バトルシステムのなかで、召喚獣の扱いはオリジナル版から大きく変わっていて印象的でした。

野村:オリジナル版だと召喚マテリアはミッドガルを出てから入手できるもので、戦闘中に使っても従来通り大技で攻撃して終わりというものでした。今回リメイクするにあたって、1本ぶんのゲームにふさわしい内容にするために召喚獣もミッドガルから使えるようにし、効果も根本から変更しました。召喚獣を呼び出せるのは特定のバトルのみとありますが、これはボス戦限定というわけではなく、サモンゲージが表示される戦闘なら、ボス戦でなくても召喚獣を呼べます。

――召喚獣もそうですが、武器や防具、マテリアなどが、どれだけ登場するのかも気になります。

野村:具体的にどこまでとは言えませんが、決して少ない数ではありません。召喚獣にしても各種アイテムにしても、きちんと1本ぶんの作品として遊びごたえのある種類が登場します。

――オリジナル版を遊んだユーザーの反応も楽しみなところですね。

野村:みなさんの想像を超えるものになっているので、ぜひ期待してください。ただボリュームが増えただけではなく、遊んだときの満足感もあると思います。リメイク第1弾ではありますが、エンディングを迎えたときにちゃんとゲームをやり終えた満足度が味わえるはずです。

 オリジナル版はもう20年以上前の作品なので、今回初めて『FFVII』に触れるという人も多いと思います。そういった新規の方がプレイしたときも、しっかり驚きと感動が得られるように仕上げています。もちろん、これまで『FFVII』シリーズに触れてきたユーザーにはわかる描写もあります。

 過去にプレイした人はストーリーを知っていますし、『FFVIIR』の続きの展開ももちろん把握していますよね。でも、そんなオリジナル版ユーザーこそビックリすると思いますし、先の展開を知ってても続きが気になってくると思います。「え、どういうこと? この先どうなるの!?」みたいな感じになることでしょう。

――オリジナル版でミッドガル脱出までというと、ハイウェイでの逃走劇からモーターボール戦で終わりになりますが、このあたりの展開は『FFVIIR』でも同じなのでしょうか?

野村:そこはプレイしてみてのお楽しみにしてください。ユーザーさんがオリジナル版をプレイして味わった感動や衝撃はそのときだけのものなので、リメイクでまったく同じ感動や衝撃を与えるというのは難しいです。でも、『FFVII』に対する熱が再燃するような内容は盛り込まれていると思います。『FFVII』自体が大きいタイトルなので、リメイクに関していろいろと不安に感じている方もいるのかと思いますが、そういう人にこそ手に取って見届けてほしいですね。

1本のゲームとして成り立つ、新生ミッドガルの物語

――テーマソング発表記念トレーラーでは、ついに蜜蜂の館でのイベントや女装したクラウドの姿などが公開され、話題となっていましたね。

野村:蜜蜂の館もクラウドの女装もちゃんと用意してあるとは明言していたのですが、長らく情報が出なかったことなどで、「もしかしたらないのでは?」と不安になっていた方もいたようで。あの映像のとおり、ちゃんとありますよ。とはいえ、違う意味で心配しているところもあります。

――蜜蜂の館のイベントは、1997年当時だから許された描写もあったのかなとは思いますが……?

野村:今回、蜜蜂の館のイベントを描くうえで、発売する国の規制にひっかかった部分もありました。昨今のコンプライアンス事情や倫理観に照らし合わせると、どうしても当時のイベントをそのまま再現するのは厳しいところがあります。それでもギリギリのラインを攻め、今風の表現でアレンジしてあります。なかには、まったく知らないものが追加されていたりもするかもしれません(笑)。

――PS4クオリティの女装したクラウドは、インパクトがより大きかったです。

野村:なかにはもっと女性らしい姿になるのではと期待していた方もいたようですが、オリジナル版の時点で“雑な”女装という設定だったんです。なので、リメイクでも超本格的な女装というわけではなく、雑さ加減を楽しむものを目指しています。

 女装もそうですが、クラウドに関してはあまり真面目な目で見ないほうがいいですよ。“カッコつけてるけどなんかカッコ悪い”という空気感を楽しむのが、正しいクラウドの見方です。オリジナル版のクラウドもそうだったはずなんですよね。

――クラウド役の櫻井孝宏さんには、そういった演技の方向性も伝えていたのでしょうか?

野村:そうですね。クラウドは今まで以上に、人物像を緻密に練って描いていきました。音響監督は『FFVII アドベントチルドレン』でかかわって以来、『FFVII』シリーズをずっと担当してくれている方で、長くお世話になっています。音響監督の細かい演技指導を踏まえて、今回のクラウドも作り上げられています。

――レッドXIIIのキャストは『FFVII アドベントチルドレン』では市村正親さんでしたが、『FFVIIR』では山口勝平さんが担当されるようですね。

野村:『FFVII アドベントチルドレン』のときはひと言しかしゃべらず、ゲスト出演という形で市村さんにお願いしました。『FFVIIR』では長い収録になることを考え、あらためてキャスティングすることになったのですが、決まるまでも長かったですね。

 オリジナル版を遊んだ方ならわかると思いますが、レッドXIIIのキャラクター性は変わったものになっています。そのへんの演じ分けをしっかりできる方を探した結果、山口さんにお願いすることになりました。今回の『FFVIIR』で出会うレッドXIIIは渋い口調ですが、山口さんが演じたこの渋さが自分のなかではイメージ通りでした。

――レッドXIIIの戦う姿も楽しみなところです。

野村:戦うことは戦うのですが、今作の段階ではレッドXIIIは操作キャラにはなりません。これは今のうちにお伝えしておきます。

――ゲストキャラとして参戦するという感じでしょうか?

野村:そんな感じです。バトルメンバーには加わらないけど、一緒に戦ってくれます。レッドXIIIと出会うのはミッドガルのストーリーの終盤のほうなので、そこからプレイアブルキャラを1人増やすというはバランスが悪くなってしまうので、申し訳ありませんが、今回はこのような決断となりました。ですので、今作の操作キャラはクラウド、バレット、ティファ、エアリスの4人になります。

――新キャラとして“ローチェ”というソルジャーが登場するようですが?

野村:新キャラというワードの影響か、ローチェが妙に注目されているみたいですが、けっして本筋にグイグイ絡むキャラではありません。ただ、あのような風貌と言動なので、目立つキャラではあります。

――ローチェ以外にも新キャラは出るのでしょうか?

野村:出ることは出ますが、大々的に紹介するほどではありません。ジェシーの実家に行くんですが、そこでジェシーの両親が登場します。あと、クラウドが住むアパートの大家さんとか。これらも新キャラといえば新キャラなのですが、こういったキャラはほかにもいるので、あえて1人1人を紹介してはいないんです。ローチェもそういった“新キャラ”だと思ってください。

――最後に、『FFVIIR』の発売を待つユーザーにメッセージをお願いします。

野村:いろいろと心配している方々もいらっしゃるようですが、実際にプレイすると何も気にならずに遊べるかと思います。『FFVIIR』のミッドガルは、もはやみなさんの記憶に残るミッドガルのボリュームではなく、1本のゲームとして満足いく内容になっています。

 オリジナル版と比べて、登場人物にボイスがついて街のスケールも比較にならないほど大きくなっているので、過去に遊んだ人でも十分に楽しめますし、先が気になる展開にもなっています。これまで『FFVII』を知らなかった人も、今回プレイしてもらえれば、『FFVII』がいまだに愛される理由の一端が感じられると思います。ぜひ、発売日を楽しみにお待ちください。

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CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:(C)1997 YOSHITAKA AMANO
※画面は開発中のものです。

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