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2003年10月15日(水)

一般市民のサバイバルを描く『バイオハザードアウトブレイク』プレイレポート

 カプコンは本日10月15日、プレス向けにPS2『バイオハザード アウトブレイク』の試遊会を開催した。

 本日の試遊会には、「TGS2003」カプコンブースに出展された、4人でネットワークプレイができるバージョンと、シングルプレイが3ステージ体験できるバージョンの試遊台が用意され、自由にプレイすることができた。本記事では「TGS2003」で触れられなかった人のために、以下でゲームの紹介を交えながら、プレイレポートをお届けしよう。

■無力な一般人を体験できるサバイバルホラー

 『バイオハザード アウトブレイク』は、突如ゾンビが出現した「ラクーンシティ」に居合わせた数人のキャラクターが、生き残りをかけて脱出を試みるサバイバルホラーだ。既存のシリーズと異なり、本作のキャラは一般市民であるため、これまでの作品以上にゾンビに対する無力感を味わうことができる。

 プレイヤーは、ゲーム開始時からその無力感を実感できるだろう。なぜなら、一部のキャラを除いて銃などの武器を持っていないのだ。さらに、8タイプのキャラはそれぞれ異なる特殊動作をとることができるのだが、これは「ゾンビを一撃で倒す必殺技」ではなく、「キック」「しゃがんで攻撃をかわす」「タックル」「死んだふり」などなど。まさしく普通の市民である。この無力さを考えてもわかるように、プレイヤーの目的はゾンビと戦い倒すことよりも、逃げて生き延びることにウェイトがおかれている。

 また、本作はライフシステムも特徴的なものになっている。まず、HPについてはこれまでのシリーズと同様で、ダメージを受けると減少していく。一定値以下まで減ると、キャラは足を引きずって歩くようになり、さらにダメージを受けてしまうと、最後には地面を這って歩くことしかできなくなる。こうなった場合、回復薬を使うか、他のプレイヤーに助けを求めて、肩を貸してもらわないと立ち上がれない。

 その他にウィルス感染度を表すゲージがあり、これが100%になるとキャラはゾンビ化してしまう。シングルプレイの場合はここでゲームオーバーになるが、ネットワークプレイの場合は、しばらくゾンビ状態のまま移動することができる。ただし、チャットを入力しても意味不明な発言になるし、アイテムも使用できない。さらに、プレイヤーからの攻撃も食らってしまう。ゲーム続行不能ではあるが、ゾンビとしての第2の人生(?)を一瞬味わえるのは、『アウトブレイク』ならではだろう。

■チャットはプリセットされた5つの意思表示を使用

 チャットは、右スティックの上下左右と押し込みに、「助けて」「ついて来い」「行け」「ありがとう」「待て」の、5つの意思表示が割り振られている。また、□ボタンには「アドリブチャット」という機能があり、押すとシーンに応じた発言が行われる。そのほかに、L2を押したまま右スティックを倒すと、他のプレイヤーキャラの名前を呼ぶことができるほか、「Yes」「No」を入力できる。うまく組み合わせれば、「シンディ、ケビン、ついて来い」というように、メッセージを出すことも可能だ。

 スタートボタンを押すと表示されるアイテムメニューには、同じ部屋内にいる他のプレイヤーの持ち物も表示される。他人のアイテムが必要な場合は、ここで「要求」を出すことで、そのプレイヤーに「○○がアイテムを要求している」と、表示させることができる。

 なお、ボイスチャット、キーボードチャットが存在しないので、複雑な連携を取ることは不可能といってもよい。「ゾンビ3体接近中」「後ろから援護射撃をよろしく」といった要求は、他のプレイヤーに状況を見て判断してもらうしかないのだ。

 ちなみに一見すると不便に思えるこのチャットシステム、実際にプレイすると雰囲気づくりに一役買っていることがわかる。例えば「助けて」「こっちだ」と言われても、他の部屋から言われるとどこにいるのかわからない。しかし、だからこそ助ける側は必死に走り回るし、合流できたときの安堵感も格別だ。
 もしも、キーボードが使えた場合「回復よろ~」「ハンドガンゲットおめ」などとタイプすることを思うと、英語ボイス+字幕表示の限定的なチャットによって、『バイオハザード』の世界の雰囲気が保たれていると言える。

■謎解きのテイストは、これまでのシリーズの正統進化

 脱出といっても一筋縄では行かず、さまざまな仕掛けを突破しなくてはならないのが『バイオハザード』シリーズの伝統。これは本作でもしっかりと受け継がれており、鍵がかかった扉、配置されたオブジェクトの操作、パスコードの入力などをクリアしていかなくては脱出できない。

 本日プレイしたステージは序盤のため、謎解き自体はそう難しくはなかったが、ネットワークプレイでは鍵を持ったプレイヤーが大幅に先行すると、後から追うプレイヤーは道がわからなくなってしまう場面もあった。できるだけ、プレイヤーは協力して団体行動を取るようにしたい。

 なお、ゾンビ化してしまった場合は、そのキャラが持つアイテムに誰でもアイテムメニューからアクセスできるようになる。そのため、万が一重要アイテムを持ったままゾンビ化しても、プレイの進行には特に影響はない。

■オンラインならではの「孤独」の恐怖

 本作をプレイしていて強く感じたのは、オンラインだからこその「孤独」の恐怖。一緒にプレイするメンバーが徐々にゾンビ化していったり、はぐれたりしたときの心細さは、これまでのシリーズにはなかった要素だろう。また、「助けて」と扉の向こうで言われても、武器がなくどうにもできない「無力感」。これも、オンラインかつ一般人という設定だからこそ感じることができるものだ。
 制限されたチャットによって雰囲気を壊すことなく『バイオハザード』の世界に浸り、純粋に「ゾンビの恐怖」「謎解き」といったゲーム性を楽しめる『アウトブレイク』は、チャットを楽しむオンラインゲーム好きな人というよりは、『バイオハザード』シリーズファンにこそおすすめできる作品と言えるのではないだろうか。

プレス向けに多数の試遊台を用意。「ネットワークプレイモード」、「シングルプレイモード」の両方をプレイできた。

キックやタックルで応戦するキャラクターたち。落ちている武器も「包丁」「殺虫スプレー」など、いまいち頼りにならないものが多い。

警備員であるマークは、特殊動作で棒系武器を強く振り回すことができる。

鍵を見つけた際に□ボタンを押せば「鍵を見つけた」と、シーンに合わせた発言が自動的に行われる。

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データ

▼『バイオハザード アウトブレイク』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS2(オンライン対応)
■ジャンル:AVG
■発売日:2003年12月11日
■価格:6,800円(税別)

■関連サイト
『バイオハザード アウトブレイク』公式サイト
カプコン