モノリスソフトは本日7月21日、恵比寿ガーデンプレイスにて「モノリスソフト 新作発表会 EPISODE 2003」を開催した。
この発表会には、『ゼノサーガ』の海外版を逆輸入した『ゼノサーガ エピソード I リローディッド [ 力への意志 ]』、その続編となる『ゼノサーガ エピソード II [ 善悪の彼岸 ]』、さらにGC向けの新作RPG『バテン・カイトス』の3タイトルのプロデューサー、ディレクターなど、開発スタッフが多数出席。最新映像の公開と、各製品の見どころ、注目点などの解説が行われた。
■『バテン・カイトス』
発表会で、まずはじめに取り上げられたのは、モノリスソフト初のGC向けタイトル『バテン・カイトス』。本作は、大空に浮かぶ大陸を舞台に、片翼の少年カラスと、ヒロインのシエラの冒険を描く本格ファンタジーRPGとなっている。プレイヤーは異次元の存在「精霊」となってカラスに取りつき、彼に知恵を力を授ける存在として、冒険を進めていくことになる。
このゲームはモノリスソフトだけではなく、プログラムとゲームシステム、サウンドを、トライエース取締役の初芝弘也氏が率いるトライクレッシェンドが担当。さらに、音楽を桜庭統氏、ムービーを『鬼武者2』などを手がけた、株式会社ロボットの倉澤氏が担当するなど、外部のプロダクションと連携をとりながら、開発が進められていることが特徴となっている。また、シナリオには『クロノクロス』の加藤正人氏が起用された。メディアも8cm光ディスク2枚を使用しており、モノリスソフト渾身の大作RPGといえるだろう。
会場では本作のムービーが流された後、初芝氏よりゲームシステムの説明が行われた。この説明によれば、本作は戦闘に「マグナス」と呼ばれるカードを使ったシステムを使用するとのこと。この「マグナス」は、攻撃、アイテム、魔法、逃げるコマンドなど、1,000種類以上が用意されており、プレイヤーは一般的なRPGで装備を整えるように、マグナスを組み合わせたカードセットを構築、戦闘に臨むことになるという。また、戦闘はじっくり考えるタイプのカードバトルではなく、テンポのいい落ちもの系PZGのような感覚になっており、瞬間的に手札を判断し、使用するカードを次々と選んでいくようになっている。
この説明の後、実際の戦闘シーンの映像が公開されたが、これを見る限りじっくりと手札を眺めて、出すカードを検討する余裕はない感じであった。攻撃アクションが終わるまでに次の手札を出せば、連続攻撃が発生するので、手元に入ってきたカードが攻撃系であればそのまま出し、アイテムであった場合は手札の中から攻撃カードを瞬時に探す必要があるのだ。
また、攻撃には火や水などの属性が設定されており、例えば火系のカードの後に水系のカードを出すと威力が低下するので、そういった点にも注意を払う必要がある。初芝氏によれば「マグナスはコマンドであり、装備であり、魔法であり、アイテムであり、また制限でもある」とのこと。ここでいう制限とは、戦闘から逃げたい場合でも「逃げる」マグナスが手札になければ、逃げられない状況などのことを指している。
本作の発売は12月を予定しており、現在の開発状況は杉浦氏によれば「非常に順調で遅れることはない」とのこと。多くのスタッフと才能が集まったタイトルだけに、発売が非常に楽しみだ。
■『ゼノサーガ エピソード I リローディッド [ 力への意志 ]』
続いては、『ゼノサーガ エピソード I』北米版の逆輸入版『ゼノサーガ エピソード I リローディッド [ 力への意志 ]』。本作の説明に先立って、モノリスソフト取締役社長の杉浦氏より、『ゼノサーガ エピソード I』の販売状況や、社内の新体制について説明が行われた。
これによると、まず『ゼノサーガ エピソード I』は、北米でも好調でワールドワイドでミリオンを達成したとのこと。また、これを受けてこれからの『ゼノサーガ』シリーズは、日本だけでなく世界に向けたタイトルであることを意識したものになるという。
さらに、『II』の制作にあたり、モノリスソフト社内の体制を変更。『I』の監督、脚本を努めた高橋哲哉氏は、『II』ではディレクターを若手の新井考氏に譲り、原案、監修として作品にかかわることになった。これにより『ゼノサーガ』のノベライズやアニメーションなど、ゲームとは違うメディアでの展開の可能性が広がったとのこと。詳細は現時点では明らかにできないが、すでにいくつかの計画が動いているという。
以上の発表のあと、『リローディッド』の新要素の説明が行われた。以下に『I』と違うポイントを列挙しよう。
・セリフ音声が英語に。字幕は日本語。
・一部イベントシーンの変更。
・モモとコスモスに新コスチュームを用意。モモはキルシュバッサー、コスモスはプロトタイプとなっている。
・ムービーリプレイ機能を搭載。これは、『I』のセーブデータにも対応。
・北米版CMと設定画集などを収めたDVDを、特典として付属。
さらに、最後の特典DVDにはもうひとつ、『ゼノサーガ エピソード II [ 善悪の彼岸 ]』の最新トレーラー映像が収録されており、こちらが会場で披露された。
■『ゼノサーガ エピソード II [ 善悪の彼岸 ]』
トレーラーの内容は、断片的な映像がめまぐるしく変わっていくもので、『I』をプレイした人には非常に重要なシーンが多数収められている。内容を詳しく記載するとネタバレにもなりかねないのだが、全体として『I』以降のストーリーの一部と、『I』以前の回想シーン、おそらくは「ミルチア紛争」を描いた映像によって構成されており、『I』のストーリー以降のシーンでは、顔立ちが大幅に変更されたシオンやCOS-MOSらの姿を見ることができた。
一方、おそらく『I』より過去のことと思われる映像では、シオンの兄、ジン・ウヅキとマーグリスの殺陣シーンやマーグリスの顔の傷ができた経緯、Jr.に似た少年たちが何者かに立ち向かうシーンなどが描かれていた。
また、『II』では光田康典氏にかわり、女性ユニットSee-Sawで知られる梶浦由記さんが音楽を担当。トレーラーで使用されている音楽も、祈るような女性ヴォーカルが印象的で、梶浦さんが音楽を手がけたアニメ作品『.hack//SIGN』の楽曲をどことなく思い出させるものだった。
本作の概要は、プロデューサーの杉浦氏の製品説明によれば「ストーリーは前作の続きで、『I』の中で残された謎のいくつかは、この『II』で明かされることになる。『I』から『II』への大きな変更点として、見た目の違いがあるが、これは今回フォトリアリスティックな作品を目指したためで、この変更によってよりリアルにキャラクターの個性を感じられるようになった。また、プレイアビリティや基本的なシステム部分については、『I』で消化しきれなかった問題を解決し、正統進化したものとなっている」とのこと。
また、高橋氏の後を継ぐディレクターの新井氏は「今回のストーリーも、ゾハルとそれをめぐる人たちのストーリーです。『II』では、Jr.をメインとしたエピソードになっており、過去の事件や陰謀などが明らかにされていきます」と、本作の大枠を説明。シオンが主人公であることは変わらないが、ストーリーはJr.を中心に流れるという。さらに、シオンの兄、ジンについては「序盤からプレイヤーキャラクターとして登場します」と、ジンに注目しているファンを喜ばせる一言も。穏やかな物腰ながら、マーグリスと互角に渡り合う刀の達人、ジンがどういう活躍を見せてくれるのか楽しみだ。
一通り『II』に関する説明が終わった後は、ゲストとしてシオン役の前田愛さんと、モモ役の宍戸留美さんが登場。本日の発表会の司会進行を務めたCOS-MOS役の鈴木麻里子さんの3人で、声優の視点からみた『II』について、さまざまな話が披露された。
まず、キャラクターの見た目の変化については、どのキャラクターも「きれいになっで、感情移入しやすくなったと思います」と好評な様子。一方で性格については、「容姿はかわりましたけど、性格は変わっていません」(前田)とのこと。今回のトークではストーリーについて、触れないようにしていたのだが「モモちゃんは、大変なことになって、もうかわいそうで……」(宍戸)と、モモには悲劇が待ち受けているかのような発言も。3人とも収録で「泣きそうになった」という話もあり、果たしてどのようなストーリーなのか非常に気になるところ。
最後に発売時期については、未定としながらも「スケジュールは順調に進んでおり、冬には完成しそう」だという。なので、このまま順調に開発が進めば、年明けには『II』をプレイすることができそうだ。また、前作で好評だった限定版「プレミアムボックス」の発売も予定しているということなので、こちらについても詳細の発表が楽しみだ。
モノリスソフト代表取締役の杉浦氏は冒頭で、「シリーズ化のマンネリを打破するため、ナムコ以外のメーカーや外部の方と、新たなエンターテインメントを創出していきたい」とコメント。
『バテン・カイトス』は、この空に浮かぶ巨大な大陸が舞台となる。
ファンには、独特の言い回しが"加藤節"と呼ばれ親しまれる、シナリオの加藤正人氏。「開発のこの時期は切羽詰まっていることが多いが、今回はもうシナリオは完成したので、どんな形になってできあがってくるか楽しみ」と余裕の発言も。
ムービーを制作した株式会社ロボットの倉澤氏によれば、「米国からスタッフを呼び、世界に通用する映像を作った」とのこと。
マップの背景は3Dポリゴンではなく、3Dの特殊効果や空間表現のエフェクトに力を入れていることがポイント。
画面下に並ぶカードが「マグナス」。プレイヤーは、これらの「マグナス」を手早く使って、連続攻撃を行うことができる。
トライクレッシェンドの初芝氏は、『バテン・カイトス』の戦闘システムについて「落ちゲーパズルのような、リアルタイム性のあるものにした」と説明。
『リローディッド』の新システム、コスチュームチェンジ。モモは、キルシュバッサーの姿になることができる。
『II』では、ベレー帽をかぶりかわいらしくなったモモ。前作ではアニメ系ディフォルメがきいていたが、『II』ではどのキャラもリアル系に変化。
『II』は、このJr.にスポットを当ててストーリーが語られる。
主人公、シオンの兄のジン。本が好きで刀の達人だが、彼にもマーグリスと死闘を繰り広げたという、秘められた過去がある。
プロデューサーの杉浦氏(右)と、高橋哲哉氏の後を継いでディレクターに就任した新井考氏。
シオン役の声優、前田愛さんは「フェブロニアやお兄さんの謎が『II』で明かされます。シオンも人間的に成長していくので、楽しみにしてください」とコメント。
プレイヤーキャラクターとなるシオン、COS-MOS、モモの『I』と『II』のグラフィックの違い。少々大げさな表現だが、アニメから映画へ、という感じか。
((C)2003 NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED
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データ
『バテン・カイトス』
■メーカー:ナムコ
■対応機種:GC
■ジャンル:RPG
■発売日:2003年12月
■価格:未定
『ゼノサーガ エピソード I リローディッド [ 力への意志 ]』
■メーカー:ナムコ
■対応機種:PS2
■ジャンル:RPG
■発売日:2003年11月6日
■価格:4,800円(税別)
『ゼノサーガ エピソード II [ 善悪の彼岸 ]』
■メーカー:ナムコ
■対応機種:PS2
■ジャンル:RPG
■発売日:未定
■価格:未定
■関連サイト
・モノリスソフト
・ナムコ