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2004年10月7日(木)

PSファミリーと携帯オーディオ、PDAの技術を融合!PSPの秘めたる可能性をチェック

 9月24日~26日に開催された「東京ゲームショウ2004(TGS2004)」で、初めてプレイアブル出展されたSCEの携帯型ハード「PSP」(プレイステーション・ポータブル)。会場では、PS2にひけをとらないハイクオリティなグラフィックを実際に堪能できた人も多かったはず。このPSPの開発を担当したSCE開発研究本部 ネットワークシステム開発部長の川西泉氏がPSPの実機紹介とともに、これまで明かされなかったハードの魅力について語ってくれた。

 PSPの実機は、すでに数回のお披露目を済ませているが、手にすると改めて16:9のワイドスクリーン液晶の存在感と、クオリティの高い映像に圧倒される。川西氏は液晶サイズについて、「開発時にまず、ゲーム機としてのスペックをどのあたりにしようかという議論があったんです。最初はPS oneぐらいのものが持ち運びできればいいんじゃないかという話だったんですが、だんだん欲が出てきてPS2くらいのものをめざしたくなった。そして、携帯ゲーム機として十分楽しめるものをめざすと、これくらいの液晶と表現能力がないと、PS2のあの映像を実現できないんじゃないかというところで、16:9の画面比率とこの大きさがきまっていきました」と語る。また、方向キーの下にはアナログパッドが設けられているが、PSやPS2のアナログスティックのように“倒す”のではなく“スライド”させて操作する。TGS会場でコーエーの『真・三國無双(仮)』をプレイした人は体験したかもしれないが、独特の感覚ながら、指先にキャラクターがしっかり反応する操作性のよさが印象的だ。これについては、「精度をある程度キープした状態で、しかも、これだけの形に収めたかったので高さ方向にスペースを取れなかった(川西氏)」とのこと。ちなみに操作精度はPS2のコントローラとほぼ同等の性能を実現している。

 PSPのメディアであるUMDは、本体上面のOPENスイッチをスライドして扉を開けディスクを挿入する構造になっており、扉を開けてディスクを出し入れするあたりはウォークマンの操作に近い。川西氏は、「ウォークマンと同じ感覚であつかえるものにしたかったので、逸脱しない形で設計しました」という。また、「今回PSPに採用したUMDは、ポータブルディスクプレーヤーの技術をかなり利用しています。音飛びガードなどと同じようなショックプルーフ機構をPSPでも採用しています」とコメント。電車の中など、振動する場所でも遜色なくプレイができそうだ。
 ちなみにPSPには、ソニーのTV「WEGA」の一部の機種やハードディスク搭載DVDレコーダー「PSX」にも使われているGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)の「XMB」(クロスメディアバー)が搭載されている。「PSX」のようにアップデートが可能とのことで、将来は用途に合わせてさまざまな機能の追加も可能となっている。

 そして、本体を取り巻くように配置された入力端子の数々。気になる無線LAN機能は、PSP同士で行うアドホックモードと、中継機を介したインフラストラクチャーモードの両方が用意されているが、市販の中継機が使用できるとのこと。川西氏は、PSPの接続について「まずは(無線LANによる)ネットワークですね。次はメモリースティックなどのメディアを介して、それからUSBで直接つなぐ。この3つです」と語る。PSPはPCとUSB接続すると、メモリースティックがPC側からストレージ(記憶媒体)のデバイスとして認識されるとのことだ。

 さらに、今回の取材で新たに判明したのが電源入力端子周辺。通常の電源入力端子の他にも端子があり、PDAのクレイドル(※本体の充電や周辺機器との接続に使われるスタンド型の拡張機器)のような周辺機器への接続が想定されている。実際にPSP用のクレイドルの開発は予定されているとのことで、どんな拡張機能が用意されるのか今から気になるところ。川西氏は「PS2のゲームとなんらかの形で楽しめることを期待しています」とコメントし、PS2をはじめとするPSP以外のプラットホームとの連携も可能としている。
 なお、無線LAN機能はON/OFFスイッチ(ワイヤレスLANスイッチ)が設けられており、消費電力をおさえることも可能。本体下部にはディスプレイの輝度調整やサウンドエフェクト用のボタンも設けられ、周りに応じて最適のプレイ環境が整えられる配慮がなされている。

 最後に川西氏はPSPについて「これまでのPS、PS2の世界を外に持ち運びできるようにした、というのが最大のポイントなので、まずこちらとしてはそれを強く推していきたい。もうひとつは無線LANをつけましたので、ゲームはもちろん、ゲーム以外の広がりを期待したい。そこはこちらとしてもサービスを含めて検討していきたいです」とコメント。ゲームはもちろん、無限の可能性を秘めたPSPの発売日が気になるところだ。

フラットな表面が印象的な本体。手に取った感じやスイッチ類の操作感は、従来のゲーム機よりMDなどの携帯オーディオに近い。

PSP開発を担当した川西氏。初代PSのころからハード内のソフトウェアを手がけた経歴をもつ。



PSP本体とUMD。シングルCDと同じ直径6cmながら、CDよりも小さい印象を受けた。


■関連サイト
SCEJソフト情報ページ