本日4月7日、ゲームクリエイター養成スクール「デジタルエンタテインメントアカデミー(以下、DEA)」の入学式が都内ホテルで行われた。
「DEA」は、アトラスやカプコン、コーエー、セガ、マイクロソフト、ナムコ、スクウェア・エニックスといったゲームメーカー22社のバックアップのもとに運営されているゲームクリエイター養成スクール。特別講師として、ナムコの岩谷徹氏やアーマープロジェクトの堀井雄二氏、作曲家のすぎやまこういち氏、レベルファイブの日野晃博氏といったそうそうたるメンバーが名を連ねており、現役で活躍するゲームクリエイターたちから直接最先端のゲーム開発技術を学ぶことができる。
本日の入学式では、学長の平野雅一郎氏が「貪欲に勉強し、基礎技術をたくさん吸収して、自分の引き出しをたくさん持って卒業してほしい」と話した他、株主代表として登壇したスクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏が「2005年は家庭用ゲーム機が世代交代するという年で、皆さんは大変な時期に入学したと思う。どれだけ学んでも学び足りないというほど、ハードのスペックが高性能になっているが、がんばったほど大きなチャンスに恵まれると思うので、存分に力をつけていってほしい」と、新入生たちに激励の言葉を送った。
さらに会場では、スクウェア・エニックスから発表されたばかりであるPS2用ソフト『グランディアIII』の開発スタッフ陣による特別講演会「スクウェア・エニックスのゲーム開発について ~グランディアIIIの開発~」が行われた。講演会には、本作のエグゼクティブプロデューサーを務める齋藤洋介氏、同プロデューサーの樋口亘氏、監督を務めるゲームアーツの高橋秀信氏が出席。講演会は、樋口氏と高橋氏による対談形式で進行され、『グランディアIII』の開発におけるそれぞれの役割について説明を交え、ゲームクリエイターに必要な要素などが語られた。
高橋氏は、まず『グランディアIII』の企画立ち上げ時を振り返り、「大プロジェクトだったので、リリースのタイミングがPS2の成熟期になるということや、高いクオリティで内容のあるものを生み出すことが大事なポイントとなる、と考えて魅力をどのように作っていくかを細かく分析した。監督は作品の指針や意思を決定し、開発者を同じ方向に進ませる立場なので、ポイントをしっかりと表示していかないといけない。『グランディア』シリーズの本質を守ったうえで、成熟しているゲーム業界に一石を投じていく覚悟が決まった時に、開発が決定したと言えると思う」とコメント。一方の樋口氏は、プロデューサーについて「大勢のスタッフが関わるプロジェクトなので、提出された企画を見て、そこまでの人材とお金をかけて発進できる器かどうか見極める役割」と述べ、『グランディアIII』は高橋監督と半年以上話し合い、ようやく企画の実現にこぎつけたという経緯を明かした。
『グランディアIII』は、ビジュアルはもちろん、物語のドラマ性に注力して制作しているとのことで、実写映画監督である金田龍氏とのコラボレートや、演技力重視のキャスティングを予定しているという。これらの話の中で高橋氏は、「我々は『グランディア』のシリーズ作品を通して、“誰もが楽しめる真のエンターテイメントを作っていこう”という思想を持っている。皆さんも自分が他の人を楽しませるのはどういうことなのか、エンターテイメントについてしっかりと考えて欲しい。人とモノを作るということは、その思想をぶつけていくということ。テーマや世界観などは思想の次に付いてくるもので、思想があってのゲーム開発だと思う。エンターテイメントという、人を楽しませる行為で自分を表現する力を持っているのかどうかが、ゲームクリエイターにとって一番重要なポイントだと思っている」と語った。
また、この講演会では『グランディアIII』のゲームプレイ映像が公開された。この映像は本邦初公開となるもので、登場キャラクターが森の中を散策するシーンや戦闘シーンなどを見ることができた。「“冒険の空気感”にこだわった(高橋氏)」とのことで、自然の風景は太陽の光や水辺などが細部まで表現されていることが確認できた。戦闘シーンは、ハイスピード、ハイテンポな展開が魅力となっており、爽快感あふれる映像となっていた。
最後に高橋氏と樋口氏は、「ゲームにかける思いやおもしろさを追求したいという“熱”を持つことが大切。この“熱”を持ち、自分の実力を発揮できる体を作ることが大事だと思う(高橋氏)」、「新しい携帯ゲーム機や次世代機の登場は“お祭り”だと思っている。この祭りを起こしたいという人になってほしい(樋口氏)」とメッセージを送り、講演会は終了。ゲームクリエイターを目指す新入生たちに、多くの刺激を与えた講演会になったのではないだろうか。
入学式では、「DEA」学長をはじめ、スクウェア・エニックスの和田社長らが挨拶。
式には、特別講師である堀井雄二氏(中央)も列席していた。
昨年はレベルファイブの日野氏と堀井氏による対談が実現するなど、豪華な内容の特別講演会。今回は、先日発表されたばかりの『グランディアIII』の開発スタッフが登壇した(左から、齋藤氏、樋口氏、高橋氏)。
「PS2では、本当に綺麗な自然の中で冒険ができる3DRPGが少ない」と感じていたという樋口氏。『グランディアIII』の映像では、美しい風景が細部まで描かれており、いたるところで冒険の空気感を感じることができるものとなっていた。
この森のシーンでは、早朝をイメージし、湿度があることを感じさせる演出や照明効果などに気を使ったという。
フィールド上には敵モンスターが表示されており、キャラクターが触れることで戦闘開始となる。冒険のリズムを壊さず、テンポ感を重要視したというだけあって、ロード時間をまったく感じさせないほどスムーズに戦闘がスタート。
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Character illustration:YOU YOSHINARI
※画面は開発中のものです。
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