米・ロサンゼルスで現地時間5月17日に、前日に行われたスクウェア・エニックスのプレスカンファレンスを受け、「Q&A SESSION」が急遽開催された。このセッションには同社代表取締役社長和田洋一氏と、同社執行役員の橋本真司氏が出席。両氏が各メディアの質問に答えるという形式で行われた。質問の大部分は、前日のXboxブリーフィングで突如発表されたXbox360版の『ファイナルファンタジーXI』に集中しており、このタイトルが世界的に注目を浴びていることを改めて確認できた。おもな質問とその答えを、下記に紹介する。
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「Q&A SESSION」で訪れた海外メディアからの質問に答える和田氏(左)と橋本氏(右)。スクウェア・エニックスの今後の展開に関する質問が多数飛び交った。 |
●Xbox 360版『ファイナルファンタジーXI』について
Q:なぜ今Xbox360で『FFXI』を出すことになったのか、その背景は?
和田氏:もともとXboxは素晴らしいハードでしたが、ネットワークは「XboxLive」を通じたクローズドというもので、『FFXI』を提供することができませんでした。しかしXbox 360ではネットワーク環境がオープンとなり、『FFXI』がプレイできるようになりました。いろいろなプラットフォームからアクセスできることが「プレイオンライン(以下、POL)」のポリシーでもありますので、その点で合意したということです。
Q:Xbox 360版の『FFXI』の発売時期と開発状況は?
和田氏:Xbox 360本体の発売に合わせてクローズドベータを始めたいと思っています。開発は順調に進んでいます。
Q:Xbox 360版『FFXI』は、PS2、PC版のものとは異なる内容になるのか?
和田氏:Xbox 360版『FFXI』は、内容的にはPS2、PC版と変わらないものになります。もちろん映像などは美しくなりますが、根幹となるものを作り変えるということはありません。
Q:Xbox 360版『FFXI』では、これまで追加ディスクとして発売された『ジラートの幻影』と『プロマシアの呪縛』がまとまって発売されるのか?
和田氏:どのプラットフォームから入っても、同じワールドで同じ条件でプレイできるというコンセプトは変わりませんので、現状PS2やPCでプレイしている方たちと同じ状態でプレイできるというかたちで発売したいと思っています。
Q:PS2版とPC版は「POL」、Xbox 360は「XboxLive」を通じて『FFXI』をプレイすることになるが、この2つのシステムはどう融合していくのか?
和田氏:Xbox 360版『FFXI』をプレイする時は、一度「XboxLive」に接続した後に「POL」にアクセスするというかたちになると思います。つまり『FFXI』をプレイするには、PS2、PC、Xbox 360のどのプラットフォームからも「POL」を介することになります。ただ、これはユーザーさんの視点で見た時のことで、実際のシステムがこういった仕組みになっているという訳ではありません。また、メニュー画面等の詳細はまだ決定していませんが、サービス開始前には発表できるようになると思います。
Q:Xbox 360版『FFXI』の課金システムはどうなるのか? またボイスチャットといった「XboxLive」独自の機能は使えるのか?
和田氏:課金システムや「XboxLive」独自の機能に関しては、現段階ではまだ何も言えません。
Q:マイクロソフトブリーフィングでは、『FFXI』の雰囲気に似た非常にクオリティの高いムービーが流れたが、あの映像はXbox 360版『FFXI』のものなのか?
和田氏:あの映像はあくまでもXbox 360でのデモ映像であって、実際のゲームプレイ映像ではありません。しかし、Xbox 360版の『FFXI』はあの映像のクオリティレベルで楽しめると思います。
●モバイルコンテンツの展開について
海外メディアからはモバイル展開に関する質問が多く、モバイルに関する関心の高さがうかがえた。
Q:『BEFORE CRISIS -FINAL FANTASY VII-(以下、BC FFVII)』などのモバイルタイトルにおいて、今後はどのような展開が予定されているのか?
和田氏:モバイル展開に関しては、各地域ごとにキャリアやプログラム言語、ビジネスモデルが異なってくるので、それらを考慮したうえで展開していきたいと思っています。『BC FFVII』については、普及している端末のスペックが追いついていない地域もあるので、現状では展開時期に関して詳しく述べることはできません。
Q:海外ではどこのキャリアと提携していくのか、または複数のキャリアと付き合うことも予定しているのか?
和田氏:ひとつのキャリアとだけ契約するということはありません。各キャリアごとのスペック、ビジネスモデルなどを念頭に入れ、いろいろなキャリアに提供していきたいと思っています。
Q:モバイルコンテンツでは、日本とアメリカのユーザーが対戦するといった国境を越えた展開を予定しているのか?
技術的には大きな制約がいくつかありますが可能だと思います。それぞれのキャリアごとにポリシーがあり、各キャリアの提供するサービスがそれを許すかという問題等があります。もし可能になったらとても面白いことだと思います。
●スクウェア・エニックスタイトルについて
Q:Xbox 306では『FFXI』だけでなく、『フロントミッション オンライン』といった他の「POL」タイトルも移植する予定なのか?
和田氏:現在検討中ですが『FFXI』だけでなく、状況によっては将来さまざまなタイトルを提供できるようになっていきたいと思っています。
Q:『The World of Mana』は、どのような戦略で展開していくのか?
和田氏:『マナ』シリーズに関しては総合的なメディアでの展開を考えていますが、基本的にはゲームが軸となります。プラットフォーム、タイミング、コンテンツはまだ未定ですが、内容が固まり次第順次発表していきます。
Q:今回、『FFXII』のプレイアブル出展が無いようだが……?
和田氏:去年の「E3 2004」では、プレイアブルな形で『FFXII』を出展できましたが、今回はタイミングの問題でプレイアブル出展ができませんでした。ただ、7月30日、31日(日本時間)に日本国内で開催を予定しているスクウェア・エニックスのプライベートショーでプレイアブル出展ができるかと思います。
Q:PS3、レボリューション、Xbox 360と3つの新ハードが発表されたが、それぞれの印象は?
和田氏:どれもリビングにあっても邪魔にならないデザインになっており、能力的にもとても素晴らしいと思っています。ただ、マシンとしてのプラットフォームだけでなく、サービスとしてのプラットフォームが何なのかが重要なポイントだと思っているので、今の段階で発表されているマシンのスペックだけで評価はできないと思います。
Q:『FF』や『ドラゴンクエスト』といった人気RPGシリーズの正式な続編タイトルは、どの新ハードで発売される可能性が高いのか?
和田氏:マシンのスペックの高さだけで判断するのではなく、各プラットフォームのコンセプトなども考慮していきたいと思っています。
Q:『CRISIS CORE FINAL FANTASY VII』がアニメ的な映像で発表されたが、実際のゲーム画面もあのようなビジュアルとなるのか?
橋本氏:あのアニメ的なビジュアルはあくまでも世界観です。ゲームの内容に関しては、PSPの機能をいかした新しいゲームシステムを構築していきたいと思っています。
Q:『ドラクエ』も今後マルチプラットフォーム化していくのか?
和田氏:現在、北米版『ドラクエVIII』を制作しているところなので、それ以降のタイトルの展開については現段階では何も言えません。
ちなみに、今回、SCEのカンファレンスで公開した『FFVII』のオープニング映像は、PS3の性能ならあのレベルでのリアルタイムのポリゴン表現ができるというデモで、『FFVII』のリメイクがPS3で提供されるということではありません。
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・スクウェア・エニックス