2005年7月8日(金)
このイベントでは、5分に1回スクリーンショットが更新される「37時間スライドショー」や、キャラクター集合イラストを使用した「特製壁紙ダウンロード」が行われた。この2つ以上に、ファンが注目したであろう企画が、本作のゲームデザイナー・芝村裕吏氏が出演した「37分間公開チャット」。電撃オンラインでは、「チャットの裏側では何が起きていたのか!?」というユーザーの疑問に答えるべく、この「37分間公開チャット」の現場に密着。以下、衝撃(笑劇?)の舞台裏レポートを楽しんでもらいたい。
<19:00>
公開チャットの舞台となるSCE・青山安田ビルの一室に、ラフな服装の芝村氏と、SCEのプロデューサー・椎名寛氏、広報担当の安達公平氏が姿を現す。『絢爛舞踏祭』についてお話をうかがうと、芝村氏は「300時間~400時間やってても、人の話を聞いていると「えっ!? そんなことできるの」って思わされるゲーム」と語ってくれた。芝村氏にとって『絢爛舞踏祭』は、自身が手がけてきたタイトルの中でもかなりのお気に入りらしく、ソフトの完成後にも繰り返しプレイしているとのことだ。
<19:15>
この日のチャットは、事前のリリースでは「芝村氏と関係者による公開チャット」と記述されていたが、“関係者”当人である『絢爛舞踏祭』プロデューサーの永野英太郎氏はまだ姿を見せない。もう1人の“関係者”である安達氏によると、某所に出かけたきり連絡が取れなくなっているという。
部屋の中の全員が「あと45分後にスタートするというのに大丈夫だろうか……」と思っていたが、とりあえず接続環境やチャットルームの設定を確認するためにリハーサルを行う。設備に不具合は見られず、アルファシステム内の掲示板などを閲覧しながら時間をつぶすことに。
この間にも「37時間スライドショー」の更新は続けられており、掲示板ではスクリーンショットに自由にセリフやタイトルを付けて楽しむ多くのファンを確認することができた。この企画を考えた安達氏は、「狙った通りでうれしい限りです」と笑顔を見せた。
<19:30>
永野氏が到着。ドタバタと自前のノートパソコンの設定をはじめる。チャットルームに接続できないなどのアクシデントはあったものの、何とか開始前にチャットの準備が整う。永野氏は、「37分間でどれだけ発言できるかな。実のある話をしないと……」と緊張した面持ちで公開チャットへの意気込みを語った。
<19:50>
電話からオンフックで流れる時報を聞きながら、20:00のチャットのスタートを待つ。この日のチャットでは、安達氏が司会役を担当し、芝村氏と永野氏が『絢爛舞踏祭』を紹介するという役割。安達氏は、「ネタに困ったら37時間スライドショーのスクリーンショットに突っ込みを入れることにしましょう」と他の2人に確認していた。
本日のチャットにはあらかじめ進行が用意されているわけでなく、芝村氏、安達氏、永野氏の3人のアドリブで進められるという。芝村氏は「今日はどんなワンパク発言をしようか、今からドキドキしてるんですよね(笑)」と話し、安達氏と永野氏にプレッシャーをかけていた。
<19:59>
20:00ピッタリに公開チャットスタート! ……のはずだったのだが、芝村氏がフライング(笑)。芝村氏は、チャットの第一声で
芝村:こんばんは。笑顔の似合う芝村です。いやいや。自分で絢爛遊ぶ時間を削ってやってきましたよ。というか帰って絢爛遊びたい。
と話し、同席している2人をさっそく動揺させた。
<20:00>
無事に(?)開始された公開チャットだが、現場では3人が並んでノートパソコンに食いついている状態。この様子に芝村氏は、
芝村:どうでもいいが3人並んで無言でチャットしてると、絵的にバグってるなあ。このままでは中年3人、とてもむなしいことになる。
とコメント。安達氏も「もっと声出してしゃべらないと(苦笑)」と話していた。序盤の世間話が終わると、早くもチャットのネタに困る3人。安達氏は
安達:本題いきましょう!
と名司会ぶりを発揮しようと入力したものの、「ど、どうしよう本題」と困惑。「この『絢爛舞踏祭』を作ったきっかけは……」と途中まで入力した安達氏だが、「やっぱやめよう! おもしろくない(苦笑)」と書き直していた(笑)。永野氏にいたっては、キーボード入力に手間取り、チャットになかなかついて来ることができない様子。そんな状況下で、芝村氏はアルファシステム内の掲示板にアクセスし、ユーザーからの質問が届いていないかをチェックしていた。
芝村:ちなみにこの番組のネタはアルファの掲示板で拾うかもしれないので、誰か新スレッドをたてて書いてくださいね。
と事前に書いていたのが幸いし、掲示板には公開チャットへの質問が続々と寄せられている様子。とりあえずはネタ不足が解消し、ホッとする3人に安堵の表情が浮かぶ。
<20:20>
チャットへの書き込み時のリロードが重くなり、多数のファンがチャットをのぞいていることが判明。この後には、今回のイベントでもカギとなった「37」という数字の秘密や、全キャラに用意されているという変なポーズについて語られた。
安達氏はチャットを打ち込みながら、「ああ、もう20分! 永野さん実のある話をふってください」と永野氏からのフォローを要請。この時点で、現場では「延長する必要があるのでは?」という空気が流れはじめる。
<20:40>
現場もチャット上も温まってきたこの時点で、予定の終了時刻である20:37は過ぎていた。だが、「もっとゲームの話をしないと……」と悩んだ安達氏が延長をアナウンス。こうして15分の延長が決まったチャットでは、おいしい食事に両手を叩いて喜ぶ“ポー”教授や、芝村氏に似ているという“知恵者”など、キャラクターについての話が続く。
芝村氏によると、
芝村:“知恵者”は『ガンパレードマーチ』から続く伝統で、一番まともなことを言うのは猫とか幼女とか、常識人から外れているという法則がありました。その系譜でまぁ、一番まともなこと言っているんだから変なキャラでよろしく、とキャラクターデザインの岩本さんに頼んだらこうなりました。
とのこと。自分そっくりのキャラクターが出来上がったことに驚いた芝村氏は、岩本氏にリテイクを出したそうだが、最終的には永野氏が許可し“知恵者”というキャラクターが完成したとのことだ。
以上のように進められた公開チャットだが、現場で爆笑を誘ったのは永野氏の数々のコメント。安達氏が、なかなか発言できない永野氏にコメントを求めると、永野氏はナゼか動物の鳴き声で反応。時間をさかのぼり、以下にそのやり取りを紹介する。
<20:32>
安達:永野さん?
芝村:あれ、永野さんの中の人が犬にかわってる。
永野:わんわん
芝村:受けました(笑)
安達:ちゃんと、芝村さんが答えたタイミングで絶妙なボケですね⇒永野さん
芝村:やるなあ。永野さん。SCEやめて芸人になってくださいよ。俺いつも見に行くんで。
――数分後
安達:永野さん?
永野:にゃ~
安達:えぇ?
芝村:俺の知らない永野がいる(笑)
――また数分後
安達:永野さん?
永野:いぇい
安達:人の鳴き声ですか?⇒いぇい
芝村:人の鳴き声でしょう。
――さらに数分後
安達:永野さん?
永野:ということで、そろそろ時間の方が、、、
安達:あ、急にまともに仕切りだした。。
芝村:ここは変な鳴き声シリーズじゃないの
安達:いや、これは『絢爛舞踏祭』まつりであって、永野さんオンステージじゃないんですよ。。。
芝村:あいつMVPだな。
安達:MVPはいいから。。。。
ネタ切れや文字化けといったトラブルと、幾度となく繰り返された脱線を乗り越えて、ついにエンディングを迎えることになった公開チャット。
芝村:出来れば私の手をとって、踊ってください。>プレイヤー。 貴方となら、伝説も作れそうな気がします。
こんな名セリフを残した芝村氏。昨日ソフトが発売され、今まさに、プレイヤーの手によって『絢爛』世界の楽しみ方が広げらていることだろう。芝村氏が最後に残した言葉は、同氏が用意した『絢爛』世界というフィールドの中で、ゲームデザイナーとプレイヤーの真剣勝負が始まることを想像させる。芝村氏の想像を超えたプレイヤーが登場するのだろうか、それをもっとも楽しみにしているのは、もしかしたら芝村氏自身なのかもしれない。
<21:03>
安達:お付き合いいただいた皆様、ありがとうございます。いよいよ明日、発売される『絢爛舞踏祭』を宜しくお願いいたします!
芝村:お疲れ様でしたー。
安達:お疲れ様です
永野:にゃあ
最後まで徹底して笑いを取りに行った永野氏の書き込みに、芝村氏も「永野に神が降りてきたとしか思えない」とコメントし大笑いしていた。芝村氏に終了後の感想を聞いてみると、「いやー、ホントにグダグダだった(苦笑)。もうちょっと宣伝しろよって。疲れたので飲みに行こう!」と語り、永野氏らとともに夜の街へと消えて行ったのだった……。
以上密着レポートということで、現場でのコメントとチャットを織り交ぜてお届けした。自由度が果てしなく高い『絢爛舞踏祭』ならではの、何が起こるかわからないイベントとなった「37分間公開チャット」。公開チャットを楽しんだ人も、見逃してしまったという人も、発売中の『絢爛舞踏祭』を入手して火星での祭りを体験してみてはいかがだろうか。
テーブルに一列に並んだ状態で公開チャットを行った芝村氏(写真中央)、永野氏(写真左)、安達氏(写真右)。企画を考えた安達氏は、「いやぁ、手作り感覚のイベントで楽しいですね(笑)」と話していた。
アルファシステムの掲示板をチェックするなど、ゲームに関係のあるネタ探しに苦心していた芝村氏。「ここには(笑)を入れるべきだなぁ」と推敲しながらチャットを入力。
永野氏の絶妙のリアクションに大ウケする芝村氏と、困惑する安達氏。口数こそ少なかったものの、要所要所でインパクトのある発言を残した永野氏には、やはり“公開チャットMVP”の栄誉を贈りたい。
データ
▼『絢爛舞踏祭』
■関連サイト
・「KenRan.net」
・SCEJソフト情報ページ
・SCE