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2005年10月27日(木)

「PSのプレゼンテーション@デジハリ」で新人クリエイター発掘に向けての特別講義

 昨日10月26日20:00より、ダイビル7Fのデジタルハリウッド大学 秋葉原キャンパスで、特別講義「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」が開催された。

 「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」は、同校と「電撃PlayStation」(小社刊)の共同企画。昨日10月26日と本日27日の、2夜連続で実施される。第1夜となった昨日は、講師として、SCEシニアバイスプレジデントの桐田富和氏、SCE第1制作部の山本正美氏、デジタルハリウッド大学校長の杉山知之氏、「電撃PlayStation」編集長の倉西誠一(進行)の4名が登壇。「PlayStationが求める才能」をテーマに、先日SCEが発表した新人クリエイター発掘プロジェクト「ゲームやろうぜ! 2006」についての講演が行われた。

 冒頭では山本氏が、1995年~1999年まで過去6回にわたって開催された「ゲームやろうぜ!」のデータを公開し、解説。過去6回の累計合格者数は190名、設立法人数7社(現在4社)、合格したクリエイターによって制作されたタイトルは、『どこでもいっしょ』シリーズや『XI』シリーズなどを筆頭にPS用ソフトで15本、PS2用ソフトで13本、PSP用ソフトで2本となっており、計30タイトルが発売されたという。山本氏は、このプロジェクトについて「通常のコンテストは大賞受賞者の決定で終わるが、「ゲームやろうぜ!」では法人の設立までを視野に入れてSCEが全面的にバックアップする。」と、その特徴をアピールしていた。

 続いて桐田氏が、過去の開催も含めて「ゲームやろうぜ!」の意図を説明。「1994年にPSやセガサターンが発売され、当時はゲームに対する注目度が非常に高かった。当時のそんな状況を受け、新しいアイデアを持った若い人たちを業界に取り入れたいという意図が、「ゲームやろうぜ!」に盛り込まれている。またSCEは、ソニー50%、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)50%の出資で設立された会社。SMEは若手のアーティストをオーディションで採用していたこともあり、ゲームでもそういう動きを取り入れた。」とプロジェクト発足当時を振り返る。
 しかし、回を重ねるに連れて主催者側の考えなどが変化し、いったんプロジェクトが停止するも、今回再びプロジェクトが始動。桐田氏はプロジェクトを再度立ち上げた背景について、「理由は2つあった。2005年末から2006年にかけてPS3やXbox360、レボリューションといった次世代ゲーム機のリリースが予定されており、世間的にゲームへの注目、関心が再燃している。その中で、もう1度こういった試みをしてみたいと思ったことがまず1つ。2つ目は、ゲーム業界にいながら、ゲームユーザーの消費行動について危機感を持っているということ。」と話した。
 桐田氏は、自身が持っている危機感について「安定的に供給していくということは企業において必要だが、現状の市場はシリーズ作品やアニメ作品のゲーム化など、ターゲット層を明確にしたゲーム作りに統括されている。消費者がゲームに飽きたり、新しい感動が薄れるなど、ユーザーの意識が変わってきたのではないだろうか」 と話している。桐田氏はこの疑問を踏まえたうえで、「PSを支えているファーストパーティのソフトメーカーとして、ここ数年の自戒も含め、新ハードの消費行動を喚起できるようなゲームを作らないといけないと思っている。そのようなエンタテインメントソフトを出すことによって、ゲームに回帰する人、ゲームに初めて触れる人を増やしていきたい。」と語った。

 さらに桐田氏は、SCEが開発を進めている新ハード・PS3についても触れ、「PS3は少なくとも10年スパンで生き続けるゲーム機。非常にポテンシャルがあり、エンジニアにとってチャレンジしがいのあるハードだと思う。」とコメント。どういったゲームが作れるかは、クリエイターのアイデアや力次第とし、「ゲームやろうぜ!」で新風を吹き込む若いクリエイターが登場することに大きな期待を寄せている模様だ。

 また、「ゲームやろうぜ!」初期から本プロジェクトに興味を持っているという杉山氏は、開発費の高騰やゲーム開発の複雑さなどを挙げ、ゲームクリエイターへのハードルが高いと指摘。「例えば、野球は少年野球からなど、ハードルの低いところから入り込むことができる。ところがゲーム開発はどんどん難しく複雑になり、「ゲームやろうぜ!」のような企画を展開しないと、多様なアイデアや才能が入り込めない状態。多くの人が作り手に参入できるシステムは素晴らしいと思う。」とコメントしていた。

 「ゲームやろうぜ! 2006」の詳細は、11月1日より「PlayStation.jp」内にオープンする公式サイトに掲載される。桐田氏によれば、「このオーディションでは、形にとらわれないゲーム作りを目指している。簡単ではないが、いきなり世界に挑戦できるチャンスなので、ぜひ興味や野心を持ってもらいたい。業界を目指している人であれば、ゲームメーカーへの就職ではなく、このプロジェクトに、自分のやりたいことをおもいっきりぶつけてほしい」とのこと。次世代ゲーム機で活躍する未来のクリエイターたちの登場を楽しみにしたいところだ。

SCEの桐田氏や山本氏をゲスト講師に迎えて行われた「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」第1日目。会場は、学生やゲームクリエイターを目指す若者などで満席となった。

特別講義は、「電撃PlayStation」編集長の倉西(一番上の写真)を進行役として展開。2つ目の写真より順番に、SCE第1制作部の山本氏、SCEシニアバイスプレジデントの桐田氏、デジタルハリウッド大学校長の杉山知之氏。


データ

■「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」
●「第弐夜 not good, but great」
【開催日時】2005年10月27日20:00~(21:00終了予定)
【開催場所】ダイビル7F デジタルハリウッド大学秋葉原校
【講師】
SCE第1製作部 藤澤孝史氏
ジェムインパクト代表/音楽家 日比野則彦氏
デジタルハリウッド大学講師 小倉以索氏
「電撃PlayStation」編集長 倉西誠一(進行)

■「T!FF in AKIHABARA 秋葉原エンタまつりTOKYO ASIA-PACIFIC ENTERTAINMENT FESTIVAL(秋葉原エンタまつり)」
【開催期間】2005年10月22日~10月30日
【開催場所】秋葉原駅前広場、ダイビル・秋葉原コンベンションセンター・ホール、その他イベントスペース、秋葉原地区販売店など
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SCEが開発をバックアップ! クリエイター発掘プロジェクト「ゲームやろうぜ!2006」

■関連サイト
デジタルハリウッド大学 「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」予約ページ
デジタルハリウッド大学
「秋葉原エンタまつり」公式サイト