PS3のキーは“Live”、「空間+時間の“4D-World”を表現したい」と久夛良木氏
SCEは本日3月15日、都内ホテルにおいてサードパーティメーカーならびに、プレス向けに「PS Business Briefing 2006 March」を開催し、同社社長兼CEOの久夛良木健氏が「PS2」、「PSP」、「PLAYSTATION3(以下、PS3)」、「Network Platform」、「Future Cell Network」という項目別にそれぞれの展開を語った。
●PS2について
発売から6年目を迎えて全世界における累計出荷台数が1億台、対応ソフトは6,732タイトルを突破しているPS2に関して、久夛良木氏は「PS2がここまで大きな文化に育ったことは業界全体にとって、本当に力強いことだと思います」とコメント。PS2普及台数の推移をグラフ資料で公開し、「PS2はワールドワイドで普及が衰えていない。今後も安定的なプラットフォームとして定着させ、なるべく長く、ユーザーに遊んでもらえるゲーム機として継続していく」と話した。
加えて北米、PAL地域における価格改定と普及台数をあらわした資料も公開。今回は価格改定についての発表はなかったものの、「我々は戦略的に価格改定を行い、市場を活性化してきました。必要な時に必要なことをし、1台でも多くユーザーの元へ届けたい」とし、市場の刺激策として今後も普及にともなう価格改定を行っていく姿勢を示唆した。
また、久夛良木氏は明日3月16日にスクウェア・エニックスより『ファイナルファンタジーXII』が発売されることや、2006年は「FIFA ワールドカップ」の開催年であることにも触れ、春商戦の盛り上がりから業界全体の活性化に期待を寄せていると語った。
●PSPについて
PSPの新機能についてはすでに
お伝えした通り。PS向けタイトルのエミュレーション化については、「ほとんどのPS向けタイトルがサーバー上からダウンロードでき、オリジナルに近い形で遊べる」とのことで、久夛良木氏もおおいに期待を寄せている様子だった。
ここでは北米、欧州のPSPユーザーにおける動向調査の結果を公開。使用場所は、自宅や友人の家といった屋内、移動中が多数を占め、ユーザーの年齢層は20代男性が中心。年齢層が高く、10歳以下が開拓されていないという事実について久夛良木氏は「ユーザー層についてはいい面でもあり、困った面でもある。以前に『パラッパラッパー』や『がんばれ森川君2号』、『どこでもいっしょ』といった風変わりなソフトを開発した我々の意図は、女性ユーザーを獲得したいということだった。10年近くたって、我々はそういったチャレンジ精神を忘れてしまったのかもしれない」と前置きし、新機能、新たなサービスを紹介。久夛良木氏は、「新機能を利用してどういったチャレンジをしていくか、我々も含めて皆さんと一緒に考えていきたい」と話し、新たな可能性の追求をゲーム開発者たちに求めていた。
●PS3について
PS3に関しては、次世代DVDとなる「ブルーレイディスク(以下、BD)」対応など、「ゲーム業界に関わらず多くの人がPS3が持つ可能性に賭けてくれており、いつになく慎重である」と繰り返した久夛良木氏。「まだBDビジネスが立ち上がっておらず、PS3がビジネスの牽引役として大きな責任を背負っている」とし、日本、北米、欧州など全世界同時で11月上旬に発売を予定していることを発表した。
発売予定時期の変更については、「昨年の「E3」で2006年春と発表した際、2005年8月末には規格化作業が終了し、9月にはフォーマットブックが発行されるということを信じて開発を進めていた。しかしながら、コピーの防止策やユーザーの利便性、現時点で将来可能となる最新技術の取り入れといったさまざまな要素を含め、規格化がずいぶん遅れてしまった」と説明する。
久夛良木氏はPS3のキーポイントとして、PS・PS2との完全互換性の確保、最新規格のBDに対応、次世代HDMI規格によるSD対応TV(標準TV)から高精細のフルHD対応TVにいたるまで幅広く対応、ブロードバンドネットワーク対応、ワイヤレスネットワーク機能、HDD(60GB)の搭載を確認の意味で明言した。さらに「最新のBD規格に対応しており、PS3は最先端のBDプレイヤーになる」と述べるとともに、ゲームソフトに関してもBDであることも再度強調。「BDには最先端のコピー防止機能が採用されており、唯一の供給メディア」とし、「BDの生産キャパシティは1,000万枚で望みたい。すべてのPS3用ソフトをBDでお願いしますと言うからには、現在のDVDと変わらないプレスコストを実現するので安心して欲しい」と来場した開発者に対して話していた。
●「Network Platform」
PS3のネットワークプラットフォームの構築については、本体の発売と同時にスタートすることを重視しており、基本サービス料は無料を予定。久夛良木氏によれば「ユーザー登録でアカウントが作成できる他、対戦、スコアランキング、ビデオ/ボイスチャット、フレンドリストなどオンラインゲームにおいて必要な基本機能はひととおり盛り込む予定」とのことで、『エバークエスト』などを運営しているSony Online Entertainmentとの共同プロジェクトにより、そのノウハウをいかして準備が進められているとのことだ。
●「Future Cell Network」
「Future Cell Network」では、久夛良木氏がPS3で抱いている理想が語られた。ゲームの文化は第1世代が2D、第2世代のPSでは“空間”という概念を盛り込み、グラフィックが3Dへと進化。PS3では、空間に時間という概念を盛り込んだ“Space+Time”で四次元の世界“4D-World”を表現したいと話す。PS3のキーワードを“Live”とし、「リアルタイムなエンターテインメントを意識し、コンピュータエンターテインメントをライブの世界に変えていきたい」と語った。
最後に久夛良木氏は、「PS3のデモソフトは非常にリアルなものが多い。グラフィックの表現能力が向上するため、留意する必要がある」としてレーティングの話題についてコメント。「欧米では自由に表現するために、積極的にレーティング機構が導入されています。それに対して我々日本のコンピューターエンターテインメント業界は、まだまだ後追いになっている感は否めないと思います。後手後手にまわってしまうと、ちょっとしたことが社会問題に発展し、今後我々がやりたいと思っていることがフルスイングでできなくなってしまう。ソフト開発の際にはこの先を見据えて、レーティングについてもこの業界が牽引し、世界基準で見ても先進的であるレーティング機構を目指したい」と話し、発表会を締めくくった。
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