DEA入学式で「FFVIIAC」、『キングダムハーツ』プロデューサーの橋本氏が特別講演
本日4月6日、ゲームクリエイター養成スクール「デジタルエンタテインメントアカデミー(以下、DEA)」の入学式が都内ホテルで行われた。
「DEA」は、アトラスやカプコン、コーエー、セガ、マイクロソフト、スクウェア・エニックスといったゲームメーカー21社がバックアップするゲームクリエイター養成スクール。特別講師陣には、バンダイナムコゲームスの岩谷徹氏やアーマープロジェクトの堀井雄二氏、作曲家のすぎやまこういち氏、レベルファイブの日野晃博氏といったそうそうたるメンバーが名を連ねており、現役で活躍するゲームクリエイターたちから直接最先端のゲーム開発技術を学ぶことができる。
本日の入学式には、未来のゲームクリエイターを目指す学生約200名が出席。入学式では、学長の平野雅一郎氏が「授業で習ったことを体で覚える時間、努力を惜しまず、これから2年間しっかりとがんばって欲しい」、株主代表として登壇したコーエー代表取締役社長の小松清志氏が「新しい世代が踏み出す1歩が次の時代につながっていく。コミュニケーション能力を高めて、世界に通用するエンタテインメントを生み出して欲しい」と挨拶し、新入生たちに激励の言葉を贈った。
式の後は、いまやすっかりDEA入学式の名物となった特別講演会が展開。今年の登壇者はスクウェア・エニックス コーポレート・エグゼクティブの橋本真司氏で、「デジタルエンタテインメントにおける世界戦略」をテーマとした講演が行われた。
橋本氏は、映像作品「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」、PS2用ソフト『キングダム ハーツ』シリーズのプロデューサーを担当してきた経験を通じ、「もはや大規模なプロジェクトとなったゲーム制作は、他のスタッフと協調しながらの作業となっており、技量以上にコミュニケーション能力が不可欠」とゲームクリエイターの心構えを話す。プロジェクトによっては長期にわたることもあるとし、「4回クリスマスを迎えても同じ仕事を続けるのは辛いものがある」と苦笑いする場面も。辛い時期を耐え忍び、作品を完成させるには、スタッフ同士のコミュニケーションが極めて重要だとし、入学後にはスタッフたちが一体となり、共同でモノづくりをしていくことを学んでほしいと語った。
また、世界戦略をテーマとした本講演では、日本以外での展開を意識したタイトルとしてPS2用ソフト『ファイナルファンタジーX』を題材にゲーム制作の流れを説明。橋本氏は本作の制作ライナーノーツ資料を公開し、プロデューサーの業務や役割、仕事内容を中心に、プロジェクトの組織構成、社内の組織構成などを紹介した。
続けて、プロデューサー業務の留意点として「多人数の指揮系統の確立」、「年初予算の達成」、「開発スタッフのモチベーション維持」、「ワールドワイド販売戦略」、「営業・宣伝との連携による最大拡販」などを挙げる。『FFX』では、総勢200人の大プロジェクトとして動いていたため、ここでもスタッフ間におけるコミュニケーションの重要さを再度強調していた。
講演では、日本で昨年9月に発売され、北米で4月25日に発売が控えている「FFVII AC」の話題におよび、「ヴェネチア国際映画祭」、「カタルーニャ国際映画祭」、フランス・パリのアートイベント「Zone05」に出展された際の映像を公開。海外におけるファンの熱狂ぶりなどを伝え、「日本のエンタテインメントコンテンツは世界中で認知されており、熱狂的に受け入れられている。人の心に刺さるものは、年齢・性別・国境は関係ない。新しいエンタテインメントを制作するのなら、ぜひ優秀なプロデューサーとともに世界に広めていってほしい」とコメントした。
最後に橋本氏は、「大規模なプロジェクトがすべてではなく、新しい遊びを発想する気持ちがあれば、少人数のチームにももちろんチャンスがある。しかし、さまざまな活動や総合的な力によってモノづくりが行われているということを胸に留めておいてほしい。日本のゲーム業界の第一線ということは世界の第一線に立てる可能性があり、皆さんは世界に通じる扉の前に立っている」と新入生たちにメッセージを贈り、講演会は終了した。
DEAには本日4月6日、ゲームクリエイターを夢見る学生約200名が入学。平野学長をはじめ、来賓からの祝辞に耳を傾けた。
来賓として挨拶したコーエーの小松氏。「競争相手は隣の人ではなく、世界のどこかにいる」と話し、学生たちにワールドワイドな視点を持つよう、呼びかけた。
特別講演の登壇者は、「FFVII AC」や『キングダム ハーツ』シリーズのプロデューサーで知られる橋本氏。資料を用いて『FFX』の組織構成、各チームの役割などを説明。
昨年はヨーロッパ各地の映画祭に「FFVII AC」が出展。橋本氏は、行く先々で熱狂的に迎えられた喜びをうれしそうに語っていた。
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