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2006年9月1日(金)

さまざまなサービスをXboxLiveに統合、CEDECでXbox事業本部長・泉水氏が講演

 8月30日より3日間にわたって開催されているゲーム開発者、および業界関係者向けカンファレンス「CESAデベロッパーズカンファレンス 2006(以下、CEDEC 2006)」。最終日となる本日9月1日、マイクロソフト執行役 ホーム&エンターテイメント担当 Xbox事業本部長の泉水敬氏による基調講演「マイクロソフトが提供するゲームプラットフォームの世界」が行われた。

 この基調講演では、マイクロソフトが提供するゲーム開発環境「XNA」、2007年に発売が予定されているWindowsの新OS「Windows Vista」におけるゲーム展開「Games for Windows」、5月に米ロサンゼルスで行われた「E3 2006」で発表されたさまざまなプラットフォームを連動させた事業計画「Live Anywhere」の3つをポイントに、同社のゲーム開発環境、および今後の展開について語られた。

 泉水氏は、クリエイターのコミュニティが限定されたグループでしか形成されていないなど、現在の開発者、およびユーザーを取り巻く環境、ゲーム文化を“閉ざされた世界”ととらえており、「実際にはもっと多くの人がゲーム制作に参加する意欲やアイデアを持っているが、現状ではゲームを制作したり、第三者に届ける手段がない。プロとアマチュアのクリエイター間でコミュニケーションが取れる場があってもいいのではないか」と話す。

 マイクロソフトでは、WindowsPCやXbox 360といった同社プラットフォームにおけるクリエイターコミュニティの醸成、ゲーム制作の簡略化、教育機関に向けたXbox 360を使用した教育向けソリューションの提供などを目的に、一般ユーザーを対象としたXbox 360、Windows XP向けゲームソフトの開発ツール「XNA Game Studio Express」を提供。「XNA Game Studio Express」では、クリエイター同士の交流を深めることができる場「Creator’s Club(クリエイターズクラブ)」も用意されている。これに対して泉水氏は「オープンコミュニティを形成することによって、各クリエイターが持っているポテンシャルを最大限に引き出していけるのではないかと思う」と話し、マイクロソフトは今後も開発者の支援を強化していく姿勢を見せた。
 また、会場では世界初のシューティングゲームとされている『Spacewar!』を題材に、「XNA」の開発環境を使用して制作されたデモ映像なども公開。点と記号を中心とした非常にシンプルな『Spacewar!』のゲーム画面が、宇宙空間をモチーフとした背景、モデリングされた宇宙船などに変化し、グラフィックやサウンドが格段に向上している現状を確認することができた。

 続いて、泉水氏は新OS「Windows Vista」に向けたゲーム開発について説明。「Windows Vista」では、インストールされたゲームコンテンツをまとめて表示できる「ゲームエクスプローラ」や、子どもたちがPCを利用する場合、保護者が年齢制限を設けることができる「ペアレンタルコントロール」、新型拡張API群「DirectX 10」といった新たな要素が搭載されている。中でも「ゲームエクスプローラ」の導入は、マイクロソフトがWindowsPCにおいてゲームをひとつの柱として考えていると受け取ってもいいだろう。
 さらに、Xbox 360のコントローラはWindowsPCでも動作する他、Windows VistaではXbox 360の周辺機器やインターフェイスなどを統合。こうした流れにおいて、泉水氏は「Windows Vista」では、これまで以上にエンタテインメントの取扱いが簡単に行えるようになっている。生産的な作業だけでなく、エンタテインメントとしてWindowsPCを使用してもらい、ゲームをもっと日常的に楽しめるよう、Vistaで実現していく」と、その特徴をアピールした。

 これらの動きを踏まえて展開する「Live Anywhere」では、WindowsPC、Xbox 360のみならず、モバイルといったマイクロソフトのプラットフォームにおいてオンラインサービスの統一化を目指すとのこと。泉水氏は「今後は、家庭用ゲーム機のみならず、Windowsをゲーム、およびエンタテインメントの環境としてきちんと確立させていきたい。ゲームを楽しむ形が多様化している中で、さまざまなマイクロソフトのサービスをXbox Liveにつなげ、それぞれのコミュニティを融合・拡大していくとともに、ユーザーの楽しみをもっと広げていきたい」とコメントし、講演を締めくくった。
「CEDEC 2006」01

「CEDEC 2006」02
「CEDEC 2006」3日目の基調講演には、Xbox事業本部長の泉水氏が登壇。「XNA Game Studio Express」や新OS「Windows Vista」におけるゲーム展開について語られた。
「CEDEC 2006」03

「CEDEC 2006」04

「CEDEC 2006」05
会場では『Spacewar!』の従来画像と、デモ画像を上映し、訪れたクリエイターらに「XNA」の特徴を紹介。
「CEDEC 2006」06
ゲームやエンタテインメントがより利用しやすくなったという「Windows Vista」では、「ゲームエクスプローラ」を導入。スタートメニューの「game」カテゴリーを選択すると、「ゲームエクスプローラ」としてゲームに関するプログラム、コンテンツが集約して表示される。


データ

■「CESAデベロッパーズカンファレンス 2006」開催概要
【開催期間】2006年8月30日~9月1日
【場所】昭和女子大学(東京都世田谷区)
【受講料】「レギュラーパス(3日間有効)」CESA会員」:25,000円、一般:50,000円/「デイリーパス(いずれか1日のみ有効)」CESA会員:10,000円、一般:20,000円

■関連サイト
Xbox.com
「CEDEC 2006」
社団法人コンピュータエンターテインメント協会