大日本印刷は、am3と提携してニンテンドーDS向けの出版・映像コンテンツのダウンロード配信事業「DSvision」に参入し、2008年3月より事業を開始すると発表した。
「DSvision」は、インターネット経由でニンテンドーDSやニンテンドーDS Liteの端末に各種コンテンツをダウンロードできるようにするサービス。コミック、書籍、情報誌などの出版物や、アニメ、映画、ドラマといった映像など、「ゲーム以外」のコンテンツを配信する予定とのこと。サービスを利用するためには、専用のmicroSDメディアとアダプタが必要となり、コンテンツの追加や書き換えはパソコン上で行うことになる。専用アダプタ、512MBの専用microSD、USBリーダーライターのセットが、2008年1月より3,980円(税込)でテスト販売される予定だ。
今回の提携により、am3が任天堂から許諾を得て開発を進めているダウンロードコンテンツ販売事業「DSvision」に、大日本印刷が本格参入することとなる。本日11月29日に、「DSvision」の関係者向けカンファレンスが品川プリンスホテル Club eX(東京)で行われたので、その模様をあわせてお届けする。
カンファレンスでは、まず大日本印刷の常務取締役・西村達也氏が登壇。大日本印刷が「DSvision」に参入するにいたった背景などを説明し、「(電子出版分野の)さらなる市場の成長を目指していきたい」と意気込みを語った。続いて、am3の代表取締役社長・竹内裕司氏が挨拶し、大日本印刷がam3の筆頭株主となってことを受けて「em3はDMP(大日本印刷)グループとして生まれ変わることになりました」と発言。優良なコンテンツあってのビジネスということもあって、来場した関係者にコンテンツの提供を呼びかけていた。
続いて、「DSvision」の具体的な説明に移る。J-WAVEでパーソナリティを務めるなど多方面で活躍している経営コンサルタント・ショーンK氏がナビゲーターとして登場し、am3の専務取締役・澤居大介氏とともに解説を行った。
澤居氏が「「DSvision」のコンセプトであり目標」と語ったのが、「最強」、「最小」、「最大」というキーワード。「最強」として、2,000万台超がすでに販売されているDSプラットフォームの裾野の広さを挙げ、DSについて「世界で唯一成功したPDAと言われている(澤居氏)」ことが説明された。
「最小」は、全長15mmほどのメディア「microSD」を指す。このmicroSDは「DSvision」専用で、アダプタやPC上のアプリケーションと連動して強固なセキュリティを備えているという。また、あくまで参考数値として、2GBのmicroSDに書籍約4,000冊が入ることが紹介されると、ショーンK氏は「これはブックシェルフを超える、ブックストアですね」と驚いた様子だった。
最後の「最大」は、日本最大のコンテンツストアを目指すということで、コンテンツストアのオープンが2008年3月に予定されていることが明かされた。
この他、「DSvision」の使い方やデモンストレーション、ビジネスモデルの説明が行われた。特にビジネスモデルについては、コンテンツ制作からダウンロードサイト運営までのワンストップ・サービスを考えており、オーサリングツールや開発キットを提供する用意があることも説明された。澤居氏は、改めて来場したコンテンツホルダーにコンテンツの提供を強く呼びかけていた。
「DSvision」の3カ年事業計画も明かされた。ユーザー数は、現在のDS所持者の10%にあたる200万人を想定。コンテンツのタイトル数は、スタート時の300から2010年度までに10,000に増やし、2010年度の年間ダウンロード数を2,000万、am3年間売上高を100億円を目標に設定しているという。
さらに、昨日11月28日発表された
NTTと任天堂の協業に関連し、「DSvision」でもNTT東日本とタイアップすることが発表された。映像などの大容量コンテンツ配信に適している「フレッツ」と協力してデータ配信を行いつつ、タイアッププロモーションも展開するという。
最後の質疑応答では、コンテンツの価格について「あくまでコンテンツ次第だが、より手軽にユーザーの方にお届けできる価格帯を考えたい。高くても1,000円くらいではないか」と澤居氏が発言。また、専用アダプタは基本的に読み込み機能のみだが、本の「しおり」などを簡易的に記録することはできることも明らかとなった。澤居氏によれば「アダプタの(無料)配布も考えている」とのことで、アダプタの扱いについては今後のプロモーション次第で変わることもありそうだ。
microSDやアダプタ(上画像)、USBリーダーライター(下画像)のデザインイメージも公開された。
カンファレンスでは、大日本印刷の常務取締役・西村達也氏(上写真)と、am3の代表取締役社長・竹内裕司氏(下写真)が、最初に挨拶を行った。
ショーンK氏と(上写真)と、am3の専務取締役・澤居大介氏(下写真)。スクリーンを使いながら「DSvision」について詳しく説明していた。
サンプルとして、「DS Photo Viewer」を使ったデモも行われた。Wiiの「写真チャンネル」のような雰囲気で、画像の回転や拡大・縮小なども可能なようだ。
質疑応答では、am3の会長・黒川文雄氏(写真左から3番目)も登壇。報道関係者からの質問に応じていた。
■関連サイト
・「DSvision」公式サイト
・am3(「アドバンスDSムービー」公式サイト)
・大日本印刷
・任天堂