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2008年1月31日(木)

これまでにないファンへのアプローチを行う『ぷちえう゛ぁ』の開発スタッフにインタビュー

 バンダイナムコゲームスからこの春発売されるDS用ソフト『ぷちえう゛ぁ』の開発スタッフに、インタビューを行った。


 『ぷちえう゛ぁ』は、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)」をモチーフにした4コマ漫画「ぷちえう゛ぁ」を原作にしたDS用ソフト。プレイヤーは、「ぷちえう゛ぁ」のまったりとした不思議な世界を楽しむことができる。ゲームは、画面上のさまざまな部分をタッチペンで丸く囲んでタッチすることで、キャラクターたちがリアクションを取って物語が展開していく。

 今回、お話をうかがったのは、開発を担当したゲーム制作会社ベックの副本部長・岡本吉弘氏と、同社のゲームデザイナーで本作のディレクター・芝村裕吏氏。開発に至った経緯や苦労した点などを語ってもらった。

■目指したものは『エヴァ2』と真逆のゲーム

――まずは、「ぷちえう゛ぁ」をDS用ソフトとして開発するに至った経緯を教えていただけますか?

岡本氏:PS2版『新世紀エヴァンゲリオン2』を開発して、それをさらに練りこんだものをPSP版として世に出したのですが、次の発想としては僕たちが出すエヴァのゲームのラインナップを拡充していきたいと考えていました。具体的にどうしようという段階で、いろいろな企画が上がりましたが最終的に前回の『エヴァ2』の真逆をやろうということになったのが発端ですね。まあ当然、「エヴァ2に近いジャンルやゲーム性」といった選択もあったんですが、真逆を作れないのにラインナップの拡充もクソもないだろうと。これまではどちらかと言うとヘビーユーザー向けのゲームを作っていたんですが、真逆のユーザーに向けて発信するとしたらどうすればいいのか?という。チャレンジとして高いものではあるんですが、我々もその状況を楽しんでいた感じですね。企画がスタートしてから、どういう風に作るかを悩んだんですが、丁度同時期にバンダイの方で「ぷちえう゛ぁ」を立ち上げると話が出たんです。真逆のコンセプトの中には、キャラクターのSD化という項目もあったので、ぜひ「ぷちえう゛ぁ」で行こうと決めました。この時期にしたのは、もちろん新劇場版の公開も1つのきっかけだったのは言うまでもありませんが。

――開発が決定した時点で、DS用ソフトで制作することは決まっていたのでしょうか?

芝村氏:これまでPS2やPSPで発売していたので、次にやるならWiiかDSと考えていました。単純な話で申し訳ないんですが、ライトなモノにしたかったんですよ。あとは、「エヴァ」は知っているけどゲームをあまりやらない人にもアピールしたいという意見もあったので、DSにしました。

岡本氏:これまでのソフトは、どのタイトルもプレイスタイルを念頭に置いて制作しているので、違うプレイスタイルのゲームにしたかったのもあったんです。だからDSのプレイスタイルに合わせて制作したのは、これまでと違うアプローチになると思いました。それがDSに決めた理由の1つでもあります。

――具体的にプレイスタイルとは、どういうものを指すのですか?

芝村氏:「きちんと座ってやらないゲーム」ですね。寝転んでやったり、電車の中で遊ぶゲームです。腰を据えてやるスタイルのゲームは、これまでに作ってきたので。逆にどう頑張っても、PSP版『エヴァ2』は立ったまま遊ぶにはつらいですね(笑)。

岡本氏:PSPの『エヴァ2』は、屋外で遊ぶというよりは、布団をかぶって布団の中でプレイというイメージのプレイスタイルで作っていました。そういう意味では本来の携帯機としての遊び方にはあまり比重を置かずに制作しているんですが、今回は携帯機としてのプレイスタイルを重要視していこうと考えて制作しました。

「これまでとは違うアプローチの作品を目指した」とコメントしてくれた芝村氏(写真左)と岡本氏(写真右)。


■新たな「エヴァ」ファンの獲得?

――先ほどライトなものにしたかったとおっしゃっていたのですが、サンプルを遊んだ感じでは、難易度の高いものはすごく難しいように思えたのですが?

芝村氏:9割は簡単に作っていますが、残り1割は歯ごたえのあるものにしてあるんです。ゲームっていつも簡単だと寝ちゃうんですよ。といっても、いつも難しくてもめげてしまう。そのどちらでもなく、簡単簡単たまに難しい、そんな感じでステージを考えています。基本は徐々に右肩上がりで難易度を考えているんですが、全体としてはたまに落とし穴があって、そこでちょっと悩んでもらう形かな。

――ゲームのスタートは4月1週で、そこから順番にプレイしていくような形になるのでしょうか?

岡本氏:そこも前回とは真逆と言っている点の1つです。これまでは「自由に遊べる空間を用意したので、自由に遊んでください」といったスタイルだったのですが、今作の場合は、気分よく遊べるように考えて並べてあるので、「この順番で遊んでね」というスタイルにしています。そのかわりと言ってはなんですが「驚きや期待値もコントロールします」という、「エヴァ2」とは真逆のコンセプトでになっています。

――編集部の他のスタッフもプレイしたのですが、MAGIのステージで詰まる人間が続出しました。

芝村氏:理不尽に難易度が上がるステージの1つですね。今後調整するかもしれません。あと、「MAGIのステージは何をやっていいのかわからない」といった意見も多少ありましたね。

――現在、新劇場版やパチンコ、コミックと「エヴァ」自体の広がりを感じる状況にあると思うのですが、これまでと違ってポップなイメージを前に出してきたのは、そういった新たな層のユーザーへのアピールする意図があるのでしょうか?

岡本氏:「エヴァ」を好きな人のタイプがこれまで以上に多様化しているのは確かなので、そういう人たちにも対応した作品になるよう意識しています。あとは、ゲームを遊ぶ際の遊び方が少し前とはかなり変わっていると思うので、それを意識した作りにもしています。これは、以前の作品を否定しているわけではなくて、今回は違う形で制作していることをイメージしていただければと思います。

芝村氏:今回の『ぷちえう゛ぁ』は、ゲームバリエーションを考えるとよくできていると思います。いろいろなゲームバリエーションを作りましょうという時には、これくらいのサイズが最大かなと。頭身が低いと、さまざまなところに使いまわせるので、使いやすいんですよね。それは、作り始めて気づいたことなんですが、リアル頭身だったらゲームバリエーションはそこまで増やせなかったかもしれません。



■プレイしていない時にもゲームのことを考えてもらうには?

――本作のシステムは、プレイヤーがキャラクターに解答のヒントを出していく形式だと思うのですが、このような形にしようと思ったのはなぜでしょうか?

芝村氏:原作の4コマ漫画があって、それをどう切り取るかが最初にあったんです。「4コマ漫画なんだから短いスパンにしたほうがいい」、「ストーリーはなんとなく続きがある」、「1度クリアしたものは、パラパラとめくってプレイするのがいい」とかですね。

岡本氏:あともう1つあって、ゲームをしていない時にいかにゲームのことを考えてもらうか?も今回のコンセプトにあったんです。家で寝転がってやっていると環境の変化はないですが、外に持ち出してプレイするとなると10分単位でプレイする環境は変わっていると思うんですね。当然DSを開けたり閉めたりという状況になる。閉めた時にゲームのことを考えてもらえていないと、次にプレイできる環境になった時にプレイしてもらえないかもしれない。ようするに、雑誌やケータイに負けてしまうんです。「ゲームに思考を継続して持ってくる」ということと、それを想定したプレイスタイルには密接な関係があります。環境が変わってもゲームを継続してプレイしてもらうには、どうしたらいいかを考えることですね。だから、ゲームをしない時にゲームのことを考えるようなコーティングをゲーム全体に施しています。プレイしてクリアして、次の面をちょっと見て、環境が変わったせいで遊ぶのを止めて、場所を移動している間に次のステージのことを考えて、またゲームをできる環境になったら再開して。そういうことを繰り返しても疲れないようなゲームであるよう、とにかく気を使って作っています。

――プレイするとステージの最初に目的が表示されるのは、4コマ漫画でいうところの1コマ目と4コマ目にあたって、その過程をユーザーに想像させ、ストーリーを作らせるという展開なんですね。

岡本氏:その通りです。どのステージにも、思考する要素が入っているのは、常に考えてもらいたいからです。そうでないと、遊び終えた次にはDSではなくてケータイを手に持ってしまうであろうと思っているので。だからライバルは、他のゲームではなく雑誌やケータイに代表される「その他」のものです。それを考慮して、今回は構成しています。

――本作を制作するにあたって苦労されたのは、そこでしょうか?

岡本氏:いろいろなところに気は使っていますが、先程もお話ししたとおり「プレイの継続」には相当気を使っていますね。

芝村氏:あとはいかに楽しく遊ぶかと、ステージの長さや構成はいまだに気を使っています。やっぱり気持ちよく遊べる長さには限界がありますからね。

――タッチによる操作は、DSならではだと思うのですが、それゆえに実現できたことなどはありますか?

芝村氏:タッチペンだと、画面の端から端まで移動するのが早いんですよ。だから、ゲーム画面を見ていて、クリックしたいと思った場所にすぐ触れられるのは利点だと思います。ハードウェア的には、タッチペンというだけでだいぶ遊び方が変わるんで、DSならではのものをもっと追求してみたいですね。あとは、2画面になっているので、情報やヒントを上の画面に逃がせたのは大きかったですね。下の画面には、必要最低限の要素しか表示しなくて済むので。



■4コマ漫画のノウハウをゲームにする難しさ

――『ぷちえう゛ぁ』は、これまでとは違うライトな層にアピールしていると思うのですが、コアファンにアピールしているところはどこでしょうか?

芝村氏:腰を据えずに遊んでもらうようなゲームですが、ゲームの苦手な人と話す際のツールとして使ってほしいですね。ステージが解けずに困っている人をクリアした人が助けられるソフトなんで、コアなゲーマーが自慢できるようなソフトではないでしょうか。絶妙なバランスだと思いますよ。サクサク進めるのですが、突然難しいのが出てくる。でもそれが世界観にもうまく絡んでいる。答えがわかった瞬間が快感になっているので、そこも期待してください。

岡本氏:『エヴァ2』を制作した僕たちが作っているゲームなので、アプローチは違えど「ゲームを楽しんでもらう」というコンセプトは同じです。
ライトユーザー向けだから中身もライトなものになっているかといえば、これに関しては「そうではありません」としっかり言えます。

芝村氏:あとはストーリーですが、コアな人には笑えるものがたくさん入っていると思います。タイトルを見ると、気になってやってしまうというのはあるんじゃないでしょうか。

岡本氏:タイトルで中身を半分以上語らなければいけないことには、今回一番ビックリしました。そこまで含めて4コマ漫画って完成形なんですよね。もちろん、それはこのゲームでも吸収しています。4コマ漫画をゲーム化するにあたってかなり勉強したんですが、様々なテクニックが詰まっていることを実感しましたね。短い方が難しい。このゲームもいかに短くしても充実したものにするかを、テーマにしています。どんなゲームでも、作っているものの方が大概大きくなってしまい、最後にそれをROMの中に押し込める作業があるんですが、それをさらにブラッシュアップしていかなければならないので、そこには予想以上に時間がかかって大変でした。これが「10分、20分かけて遊ぶゲーム」ならば楽なのになぁと思いつつ(笑)。

――最後に、発売を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

芝村氏:電撃オンラインの読者さんはきっとコアゲーマーなので、本作に限って言えば、自慢話のツールとして活用してもらったり、これまであまり話したことがなかった人との接点として使ってください。適当にゆるく遊んでくださいね。

岡本氏:元々、僕たちが作ったゲームは昔のアニメや映画でファンになった人たちに支えられていると思うのですが、今回はまったく新しいアプローチで、パチンコや新劇場版で新しく増えたファンの人たちでもちゃんと遊ぶことが出来る作りになっています。手軽に手にとって遊べるものを作っていますので、ぜひ一度プレイしてみてください。


「とにかく「ゲームをしていない時にいかにゲームのことを考えてもらうか?」を意識して制作しています」とコメントしてくれた芝村氏(写真左)と岡本氏(写真右)。


(C) GAINAX・カラー
(C) 2008 NBGI

データ

▼『ぷちえう゛ぁ』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■ジャンル:ETC
■対応機種:DS
■発売日:2008年3月20日予定
■価格:5,040円(税込)

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■関連サイト
「ぷちえう゛ぁ」公式サイト
バンダイナムコゲームス


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