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2008年4月17日(木)

【今週の1本】見た目はアクション、中身は正統派S・RPG『戦場のヴァルキュリア』

文:電撃オンライン

 このところ、シミュレーションRPGが数多くリリースされている。時間をかけてじっくりプレイできる魅力に加え、プレイヤーごとに好きなキャラだけを育てたりできるなど、自由度の高さも好まれる要因の1つだろう。そこで、今回取り上げたのは、4月24日にセガから発売される『戦場のヴァルキュリア』。昨年の東京ゲームショウで正式発表されて以来、期待している人も多いのではないだろうか。また、セガのシミュレーションRPGといえば、『サクラ大戦』シリーズや『シャイニング』シリーズといった大作の印象もあるだけに、その出来映えも気になるところ。いち早く触る機会に恵まれたので、気になっていた1人として序盤レポートをお届けしよう。本作を担当するのは、「電撃オンライン ファーストインプレッション」初登場の私、佐々木潤。普段はPC誌でハード&ソフトのレビューなどを書いているが、実はインベーダー時代からゲームをプレイしているという、筋金入りのゲーマーだ。

■架空のヨーロッパを舞台とした戦争ドラマ

 本作の舞台となるのは、西暦ではなく「征暦」1930年代のヨーロッパにある小国「ガリア公国」だ。大陸を2分する勢力「東ヨーロッパ帝国連合」と「大西洋連邦機構」に挟まれていた同国は中立を宣言し、微妙なバランスのもとに成り立っていた。そんな中で起きた第2次ヨーロッパ大戦で、帝国軍が突如としてガリア公国に侵攻してくる。プレイヤーは、序章~第2章では主人公“ウェルキン”とヒロインの“アリシア”、そして数名の隊員で構成された自警団とともに、強大な帝国軍と戦う。第3章からは第7小隊の隊長として味方を率い、首都を拠点とした反撃の戦いを展開していくことになるのだ。

■難しそうに思えるが、実は簡単なシステム

 戦争物ということで、ゲームを始めると重いストーリーがすぐに展開されるのかと思いきや、さにあらず。舞台が、最初は小国の地方都市ということで、のんびりしたもの。ゲームを進めていく方法も、プレイヤー自らが本に描かれたコマを選んで読んでいくようになっているので、いつでも前のシーンに戻ってストーリーを堪能できる。テキストアドベンチャーで言うところのバックログだが、こちらの方が視覚的に訴えてくるので、見やすいと素直に感じた。

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アドベンチャー部分は、全て動画で進んでいく。本のページをめくっていく形で物語が進行するため、任意の部分を見たい時は本から「コマ」を選べばOK。

 しばらく読み進めていくと、ついにバトルパートへと突入した。といっても、最初なのでチュートリアルからスタート。それによると、上面図を見ながら頭の中で行動計画を立て、ユニットを選択するとキャラクターの視点になるので、あとは行動力の範囲内で移動させるだけ。「土嚢(どのう)の陰でしゃがむと、相手から狙われても避けられる確率が高くなる」といったことなどを教えてくれる。かなり親切、というか過保護なくらい。とはいうものの、こうして体で覚えさせてくれるのは、やはりありがたいもの。他のゲームも見習って欲しいものだ……と思いつつ、味方の3キャラクターを土嚢の陰に隠れさせてターン終了。

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チュートリアルは、親切そのもの。私はシミュレーションRPGは得意ではないが、そんな人間にもわかるような丁寧さに好感度Up。

 こちらのターンが終了すると、再び上面図に戻り敵のターンに変わる。相手の移動している様子を見ているうちに再びこちらのターンに。今度は、いよいよ攻撃だ。これも簡単で、R1ボタンを押して射撃用の視点に切り替えて、相手を狙ってボタンを押すだけ。人間が撃つ銃なので、100%正確にヒットしない。これがまた、ユニット同士の戦闘で当たり・外れを見せられるよりも、臨場感があってなかなかよかった。当然ながら、当たらないとイライラするだけではあるが(笑)。攻撃は1ターンに1度しかできないので、ただ撃つだけではダメなところあり感心してしまった。後は、これを繰り返していき、ステージ開始時に表示された条件を満たせばクリアとなる。

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戦闘シーンの基本は、物陰に隠れて敵を撃つこと。これに尽きる。といっても戦車の攻撃に遭うと、土嚢なんて関係ないわけだが……。

■難易度はほどよい感じ。ただし、無茶をしなければ……

 先に進むとユニットの種類も増えていき、戦車も登場する。最初は敵として出てくるため、とにかく逃げるのが大変。狙われたら最後、とんでもなく破壊力の大きな武器で攻撃されるので、主役クラスでもあっという間に戦場から消えることになってしまう。しかも話が進展していくと、「戦車や他のユニットの攻撃を耐えつつ街の門を守り抜け」といった指令も飛び出す。このマップで何も考えずに土嚢の陰へと自軍を移動させたら、敵のユニットが見えないところから登場し、あっという間に倒されて全滅の憂き目に。考えもなしに突っ込んでいくのは、シミュレーションの要素を持つゲームではダメ、ということも勉強させてくれた……。

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こうして戦車と戦うと、その強さが身に染みてよくわかる。反撃できる装備が整うまでは、近づかないように……。

 気を取り直し、作戦を練り直して、ようやく勝利をもぎ取ると3章へと突入。ここからが本番ということで、部隊編成や兵器開発などもできるようになる。こうなると、出撃前にあれこれメンバーをいじりたくなるわけで、仲間同士の相性もあるので、頭の中では勝手にカップリングを作ったりして、全然先に進まなくなってしまった。深いことを気にせずに編成し、さっさと戦闘へ出ていけばいいのだが……。

■次世代機らしい画面の美しさも、また魅力の一つ

 ここまでプレイしてきて感じたのは、画面が「ただ綺麗」なのではなく、「ひと工夫された綺麗さ」が目立ったこと。水彩風のイラストが命を吹き込まれたように動く様子は、見ていてとても印象に残った。影の部分に斜線が入ったり、輪郭から色がわざとはみ出ているなど、随所から暖かみが感じられる。戦争をメインにしたゲームというと、とかく重い雰囲気が漂うものと考えがちだが、本作はそれを感じさせないようにという作り手の心意気が、ひしひしと伝わってきた。

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ゲーム全編を通して映し出されるグラフィックは、水彩画調の暖かみがある絵。何度見ても飽きがこないのが不思議だった。

 万人受けすると思われるキャラクターやアクションっぽい戦闘シーンなど、ガチガチのシミュレーションRPGではない作りになっているので、これまでシミュレーションRPGを敬遠していた人にも安心してすすめられる1本だ。ただし、この作品が歌謡ショウをやったりするかは現時点では不明なので、注意してほしい(笑)。(佐々木潤)

(C)SEGA

データ

▼『戦場のヴァルキュリア』
■メーカー:セガ
■対応機種:PS3
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2008年4月24日
■価格:通常版 7,980円(税込)/リミテッドボックス 9,980円(税込)
 
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