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2008年4月18日(金)

『マビノギ』大型アップデート&3周年! 開発チームインタビュー

文:電撃オンライン

 ネクソンジャパンがサービスを提供しているPC用MMORPG『マビノギ』。サービス開始3周年を迎え、オフラインイベントが開催されたり、大型アップデート「THE 8th GENERATION(以下、G8)」が実装されたりなど、今後の展開が気になる作品だ。そんな本作の開発チームにインタビューを敢行した。

 『マビノギ』は、古代ケルト神話をモチーフにした北欧ファンタジーの世界「エリン」で、冒険や生活を楽しめる人気MMORPG。世界やキャラクターが、カートゥーンレンダリングによるあたたかみのあるグラフィックで描かれているのも特徴だ。

 今回お話を伺ったのは、『マビノギ』の開発を担当するdevCAT studio マビノギチーム長のハン・ジェホ氏、同海外開発ユニット所属のチェ・ガンジュ氏、Web&Globalチームで海外サービスを担当しているファン・チャンヒさんの3名。3周年を迎える『マビノギ』について、G8アップデートや、今後の展開について聞いてみた。

■日本と韓国のユーザーはどう違う?

――まずは、皆さんが現在どのように『マビノギ』に携わっているかを教えてください。

ハン・ジェホ氏(以下、ハン氏):私はネクソンに2002年度に入社し、プログラマーとして働き、プログラムパートのパート長を経て、今は『マビノギ』チームのチーム長としてディレクターを担当しています。

チェ・ガンジュ氏(以下、チェ氏):韓国『マビノギ』チームの、海外開発ユニットに所属しています。日本語版のパッチ制作や、海外からのイベントなどの開発依頼を検討する役割です。

ファン・チャンヒさん(以下、ファンさん):Web&Globalチームの海外サービスパートで、日本の担当をしています。

『マビノギ』
写真左から、チェ氏、ハン氏、ファンさん。ファンさんには、今回のインタビューでの通訳も務めていただいた。

――『マビノギ』の日本サービス開始3周年、おめでとうございます。3周年を迎えて、ユーザーに伝えたいことはありますか?

ハン氏:3年という時間は、短いようでとても長い時間です。それだけの期間、ユーザーの皆さんに『マビノギ』を愛していただいて、本当にうれしいです。皆さんの応援があったからこそ、『マビノギ』はここまでサービスを続けることができています。

――先日の3周年を記念したオフラインイベントでは、会場に遊びに行かれましたか?

ハン氏:私は表には出なかったのですが、後ろからイベントの様子は拝見させていただきました。ユーザーの皆さんが楽しんでいる姿を生で見て、もっと楽しめるコンテンツが開発できるように頑張りたいと思いました。

――会場の様子やユーザーの様子を見て、気になる点はありましたか?

ハン氏:最初はとても静かな雰囲気でイベントが始まって、「韓国と違って日本のユーザーは大人しいのかな?」と感じました。しかし、イベントが進んで「ラットマン」など日本専用のコンテンツを紹介していく中でだんだんと盛り上がり、ゲーム大会や「昇段試験」のイベントは大盛況だったので、韓国のユーザーと同じように『マビノギ』を楽しんでくれているんだなと、とても感動しました。サーバ対抗のゲーム大会では、それぞれのサーバの皆さんが声を出して一生懸命応援していたのが印象的でした。

『マビノギ』 『マビノギ』

――ゲーム内で、韓国のユーザーと日本のユーザーで違うところはどこでしょうか。

チェ氏:日本のユーザーは、コミュニティを非常に重視していると思います。ゲーム内で楽器を使って作曲できるのですが、ユーザー同士で集まってコンサートを開くなど、韓国よりも頻繁に自主的なイベントが開かれていますね。

――各国のユーザーごとに特徴があるんですね。ところで、日本での展開で苦労した点などはありますか?

チェ氏:技術的な点ではなく、コンテンツの要望が来たときに「どうしてその要望が来たのか」を感覚的に理解しないと作れない点が難しいですね。今回ペットとして追加される「ラットマン」は、日本で非常に人気なのですが、「なんでラットマンが人気なんだろう?」と最初は疑問でした。でも、オフラインイベントでユーザーの皆さんの反応を自分で見て「日本のユーザーはラットマンがやっぱり好きなんだ」と肌で感じることができました。また、デザインコンテストなども通じて、日本のユーザーの好みを理解し、より皆さんに楽しんでいただけるものを作っていけるかと思います。

ハン氏:今回追加された「エモーション」は日本先行の要素なのですが、3つの種族それぞれの特徴を生かしたエモーションを作らなければならなかったので、作業量がかなり多く苦労しました。でも、その分どの種族のエモーションも満足いくものが作れたと思いますので、コミュニケーションの手段として、皆さんにたくさん使ってもらいたいです。

『マビノギ』 『マビノギ』

■G8のテーマはドラゴンと火山地帯

――4月17日に実装された大型アップデート「G8」について、簡単に教えてください。

ハン氏:G8の大きなテーマは、ドラゴンと火山地帯で、新エリア「ザルディン地域」を追加しました。このエリアは「イリア大陸」の最北端に位置し、大陸の完結的な部分になります。また、熱気球による「ワイバーン」との空中戦など、ゲームプレイに関する新しい要素も追加されています。

――ザルディン地域にはワイバーン以外にも、「カピバラ」や「クワガタ」などのモンスターが登場するようですが、どのような意図で追加したのですか?

ハン氏:イリア大陸のコンセプトが「探検」と「冒険」で、アップデートのたびに新しい地域が判明していく形を取っていました。砂漠や雪山など、さまざまな種類の地域が追加されるので、その環境にあったモンスターを追加していくようにしています。今回は、火山地帯の過酷な環境のなかでも生息しそうな生き物を選んで、モンスターにしました。

――ユーザーは新たに展開するストーリーが気になると思いますが、どんな内容の物語なのでしょうか。

ハン氏:「THE 7th GENERATION」から語られてきたストーリーの完結編になります。今回は、NPCが中心となる展開ではなくプレイヤーキャラクターの友情を中心としたストーリーです。「イリア大陸」での探検を続ける中で、エルフとジャイアントの対立の背景や、イリア大陸の秘密を解き明かすことになります。

『マビノギ』 『マビノギ』

■温泉ザルと一緒に温泉タイム!?

――今後実装される予定の機能もいくつか発表されましたが、中でも特徴的な「温泉」について教えてください。

ハン氏:「温泉」は今年の夏に実装される予定です。「ザルディン地域」の間欠泉地帯に温泉がいくつか沸いていて、それぞれに異なる効能が設定されます。入ることで怪我が治ったり、硫黄中毒が治ったり、中にはダイエット効果がある温泉もあります。また、温泉の近くには「温泉ザル」が住んでいて、一緒に温泉に入ったり、食べ物をあげて反応を楽しんだりできます。

――温泉ザルですか。日本ではお馴染みのイメージですが、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか。

ハン氏:温泉を考えた時に、温泉に入ること以外で楽しめないかと考えて、「そういえば日本では、温泉に猿が入ることもあるんだっけ」と思い、追加をしました(笑)。制作していく中で、これは日本のユーザーに楽しんでもらえそうだなと思いましたよ。

――なるほど(笑)。続いて「ギルドコスチューム」についてもお聞かせください。

ハン氏:韓国では同じギルドのユーザーたちが、あえて同じ装備をしてギルド員たちと楽しむということをしていました。「ギルドコスチューム」の導入によって、衣装のふち飾りや胸に入るシンボル、コスチュームの色を選択して、そのギルドだけのコスチュームを装備できるようになります。実装時期は未定ですが、楽しみにしていてほしいです。

■韓国でも“ナオ”フィギュアは大人気

――日本では、ゲームのコミック化やアニメ化などのマルチメディア展開を行うことも多いですが、仮に日本で『マビノギ』がコミックになるとしたら、どんなものになったらいいと思いますか?

ハン氏:韓国ではすでに、メインストリームのストーリーがコミック化されて、完結しています。『マビノギ』はNPCにそれぞれ個性がありますので、コミック化はしやすいのではないかと思います。今後コミック展開があるなら、そういったNPCの個性や、ユーザーの個性も合わせて制作できればおもしろいのではないでしょうか。

――メディア以外の展開はいかがですか? 例えば韓国で、グッズを発売されているのでしょうか。

ハン氏:フィギュアなどの発売については、先に日本から発注のお話が来て、それを輸入して韓国で発売させてもらいました。コミックや攻略本などのメディア展開はしていますが、グッズでの展開はほとんどしていないんですよ。特に韓国ユーザーから「グッズを作ってほしい」という要望もないのですが、フィギュアのように日本で製作されて韓国に輸入された場合には、熱狂的な反応があります。“ナオ”のフィギュアは、販売告知をしたら、数分で完売してしまいました(笑)。

――数分で! それほど人気があるんですね。今後また、日本からグッズが輸入されるとしたらどんなグッズをお望みですか?

ハン氏:“ナオ”のフィギュアは「ねんどろいど」などいろいろな形で発売されていますが、他のNPCのフィギュアも作ってほしいです。個人的にも買いますし(笑)、きっと韓国のユーザーも喜ぶと思います。

チェ氏:僕も今まで発売されているフィギュアは全部集めています(笑)。なので、やはり新しいNPCのフィギュアが欲しいですね。またコミックについても、作者によって味が異なってくるので、今までとは違う魅力を発見できればいいと思います。

ハン氏:韓国のユーザーは実用的なものに興味を持っているので、携帯電話のストラップや、『マビノギ』のキャラクターが描かれたUSBメモリが発売されたら、すごく人気が出るかもしれませんね。

『マビノギ』

■これからも発展していく『マビノギ』

――ユーザーに向けて今後、楽しみにしていてほしいことはありますか?

ハン氏:G8のアップデートで、さまざまな要素が追加されているので、ぜひそれで楽しんでほしいです。また、「エモーション」や「パーティ掲示板」など、日本のユーザーのためのコンテンツもいくつか入っていますので、ぜひ遊んでみてください。皆さんに楽しんでいただければ、私たちも今後の開発の励みになります。

チェ氏:アップデートで追加されたザルディン地域のドラゴンや、熱気球での空中戦など、新しく楽しめる要素がたくさんあるので、ぜひ皆さんで楽しんでください。

――最後に、ファンにメッセージをひとことお願いします。

ハン氏:3年間『マビノギ』を応援してくださって、本当にありがとうございます。これからも『マビノギ』を発展させていけるよう頑張りますので、応援をよろしくお願いします。

チェ氏:3周年ありがとうございます。オフラインイベントでも非常に感動を受けましたが、そういったことを力にして、これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。

――ありがとうございました。

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データ

▼『マビノギ』
■メーカー:ネクソンジャパン
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2005年4月26日
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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