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2008年6月23日(月)

「ドラゴンボール」の名曲がよみがえる! 作曲家&歌手の熱意をお届け

文:電撃オンライン

 ティームエンターテインメントは、音楽CD「イナズマChallenger」を6月4日に発売した。価格は1,600円(税込)。

 「イナズマChallenger」は、池毅氏の作曲家活動30周年を記念して発売されたCD。人気TVアニメ「ドラゴンボール」のエンディングテーマ「ロマンティックあげるよ」や、オープニングテーマ「魔訶不思議アドベンチャー」の21st century ver.を収録している他、新曲も収録した豪華な内容となっている。

 今回はCD発売を記念して、作曲家・池氏とボーカリストの橋本潮さんにインタビューを行ったので、以下に掲載する。

――今回発売されたCD「イナズマchallenger」は、池毅氏の作曲家活動30周年企画ということですが、企画の経緯などを説明していただけますか?

池氏:30周年はあまり意識していなかったんですが、数えてみたら30周年だったんです(笑)。事の発端は、橋本潮さんの企画したライブで「ドラゴンボール」コーナーをやるという話を聞いたことです。その数カ月前に、「魔訶不思議アドベンチャー!」を歌う高橋洋樹氏をネット上で見つけて、メッセージをやりとりしていたんです。そして、橋本さんのライブに、高橋くんがゲストとして出演された。「ドラゴンボール」の曲をほとんどやるということで、作詞の森由里子さんと一緒に観に行ったら、あまりの熱さに鳥肌が立ったんですね。そこから何かやろうかということで、1年かけてこのCDが発売されました。それで、考えてみたら30周年だったので、冠につけていただいたという。

橋本さん:自然な流れでしたね。集まるべくして集まったという感じを受けました。

――今回のCDの構成はどのようにして決まりましたか?

池氏:「ドラゴンボール」のオープニングとエンディングを歌う2人がイベントでそろうことが、実は初めてのことだったんです。一連の曲が終わり、最後にデュエット曲を歌ったわけです……が、残念ながら僕の曲ではなかったんです(苦笑)。これは、自分で書いた曲を2人に歌ってほしいなと思いましたね。今回の新曲は、ロックっぽい曲とバラードなんですが、デュエットにこだわって作ったのには、そういう気持ちがあります。さらに、セルフカバーとリミックスをやろうということになりました。

――新曲「イナズマchallenger」はどういうイメージで作られたのでしょうか?

池氏:「ドラゴンボール」のテーマ曲の延長にあるということは意識しました。しかし、22年経って、皆経験を経てきている。そのあたりの時間の厚みをイメージしながら、デュエット曲にするように考えました。デュエット曲は作り手としては課題が多くて大変なんですが、ストレートで勢いのあるいい曲ができたと思います。

――もう1曲の新曲「碧い星に生まれて」は詞からできたとお聞きしましたが?

池氏:「ドラゴンボール」の世界で描かれている、愛や宇宙などスケールの大きい詞を森さんからいただいたので、「これは負けられないぞ」と頑張りましたね。まったく対極の2曲ができたと思います。

――橋本さんは、デュエットされることを聞いた時はどういう印象でしたか?

橋本さん:デュエットで歌う曲ができあがってきたので、「高橋さんとデュエットするんだ~……私も高橋さんも大丈夫かな?」とは思いました。ソロではできても、2人の歌が合わさった時はどうなるのかなと。ライブでは一緒に歌いましたが、オリジナルではなかったので。それで今回オリジナルの楽曲をいただいた時は、お互い手さぐりの状態でしたね。未知数な不安感とワクワク感が同居していたのを覚えています。

――橋本さんが高橋さんとデュエットされるのは初めてですよね? レコーディングはどうでしたか?

橋本さん:スタジオで聞いちゃいました。「高橋さん、デュエットはやったことありますか?」って。そしたら「まったく初めてです!」って(笑)。元々は、バンドでリードボーカルをやっていた方なので、人に合わせたことがなかったみたいですね。それで私がついていくような気持ちで歌いました。

――かつて、「ドラゴンボール」のOPとEDをやられていた2人が歌うというのはどういう気持ちでしたか?

橋本さん:ライブの時にもお話したんですが、2人で同じステージに上がることが初めてだったので、感慨深いものがありました。

――22年前のことになるのですが、オリジナルの曲を作った時はどういうお気持ちでしたか?

池氏:オーディションだったんです。実は、その時「ドラゴンボール」をあまり読んだことがなかった。それで、「ロマンティックあげるよ」を1週間くらいで作って、「魔訶不思議アドベンチャー」を1日2日で書いた気がしますね。それで曲を提出して、しばらく待っていたらたまたま両方採用されたと。作っている時は誰が歌うとかも聞いてなくて、オープニングを男性が、エンディングを女性がくらいしか聞いていませんでした。それでレコーディングの時にお会いして、挨拶を。スタジオに入ってレコーディングが始まったら、スケジュールがきつかったのでまともに会話もできず、高橋くんとはそれから20年以上会っていませんでした。

――橋本さんはどういうお気持ちでレコーディングされたのでしょうか?

橋本さん:いただいた曲が当時のアニメソングっぽくなかったんですよ。「どちらかといえば、アイドルっぽい曲なのかな?」と思っていたので、悩んでいたらディレクターが、「ポップに明るく、アイドルっぽく」と指示をいれてきたんです。私、アイドルをよく知らなくて曲も聞いたことがなかったので、「アイドルっぽくってどういう風に歌うの?」って、戸惑いながら歌いました。

――今もなお、脚光を浴びている楽曲だと思うのですが、オリジナルからどう変化をつけようと思われたのでしょうか?

池氏:変えるっていう意識はなかったですが、全員が歳を取っているので、無理のない形でやろうと。しかしテンポもキーも変えてないですからね。でも歌に関しては、今の方が圧倒的にうまくなっていると思いました。抱えてきたことや経験してきたことが歌に出ているんじゃないかな。当時は勢い……というか、わけのわからないままに全員が進んでいたような感じでしたからね。今回は、立ち上がりの段階から皆でじっくり考えて、テンションを維持して準備万端の状態で臨んだので、歌い手さんは納得して歌い、アレンジも当時のイメージを壊さず、新しいフレイバーを入れていった。そのすべての段階に僕も立ち会っているので、納得の進行でした。気持ち的にもゆとりもありましたね。

橋本さん:22年間オリジナルを歌い続けてきたので、リアレンジされた音で歌う時になって「こんなに苦労したレコーディングはない」と思いました。ボサノバっぽく大人っぽいけど、キラキラもしている、そういうアレンジで歌に息に吹き込むという歌い方に悩んでしまいました。そして「これは同じ曲なんですが、まったく別ものだと考えなくちゃいけないんだ」ということに気がつきまして。だから、まったくの新曲だと思って歌いました。

池氏:作曲する立場からするとメロディラインがボディ(体)なら、アレンジって洋服なんですよ。たまたま「魔訶不思議アドベンチャー」と「ロマンティックあげるよ」の2曲は、長年親しまれてきて、耳にこびりついている。「このボディにはこのTシャツじゃなきゃいけない」というイメージがあると思うんですが、僕自身は「スーツを着てもいいんじゃない?」という感じです。「ロマンティックあげるよ」は、よりオシャレになっているかな?

――「ロマンティックあげるよ」のリミックスや「碧い星に生まれて」は、聴いてみてどう感じましたか?

橋本さん:「ロマンティックあげるよ」のリミックスは「うわぁ~、かわいい!!」って思いました。「Perfume」ってアーティストいるじゃないですか。そんな感じで今風の曲ですよね。私の声ってこんなに変わっちゃうんだって。新曲の「碧い星に生まれて」は、デモテープとアレンジをかけた曲がすごく違う印象を受けました。壮大だったのでドキドキして、その後頑張ろうと気を引き締めましたね。

――レコーディングはスムーズに進行したのでしょうか?

橋本さん:よいものができるまで頑張りました。花粉症持ちでちょうどその時期のレコーディングだったので、今日は練習ということで!とわり切っていただいたりしましたね。

池氏:いい声のコンディションまで待ちました。それも22年前とは違う環境でしたね。前回はスタジオを押さえている2時間しかないという状況だったので。

橋本さん:大きな企画のレコーディングということで気を使っていただき、ありがたいと思いました。

――CDにはリミックスと英語バージョンが入っていますが、これを入れたのは?

池氏:リミックスはプロデューサーの発案ですね。でき上がってきたのを聞いたら、すごいおもしろかったんですね。「曲ってこういう風に組み替えてアレンジするんだ!」って。僕も楽しく関われました。英語バージョンは、作詞も森さんの希望でご自身で詞を書かれて、ワールドワイドな曲になっているんじゃないかと。オリジナルの歌手が英語で歌っているバージョンがあったら、英語圏の人はうれしいんじゃないかなと思いながら作りました。各国では知る人ぞ知る曲になっていて、現地の人が歌っている曲は情報として入ってはきていたんです。

橋本さん:「これぞ!」っていう感じの曲になっていますよね。

――英語の歌詞にも関わらず、サビには日本語で「MAKAFUSHIGI/魔訶不思議」や“Son Goku/孫悟空”という歌詞が入っているのもおもしろいですよね。

池氏:そこは日本人である誇りを入れようと。向こうの人にはわからないでしょうけど、「逆に調べなさい!」くらいのつもりで(一同笑)。

橋本さん:英語の発音をレクチャーする方がいらっしゃったんですよ。できあがった歌詞を、マザーグースを朗読するように読み上げていったんです。それを聞いて、神妙になりましたね。とても崇高なものを聞いているような気持ちになって(笑)。

――このアルバムを含めたライブイベントなどは予定されたりしているんでしょうか?

池氏:当然考えてはいます。しかし、まずは聞いていただいて、皆さんに支持されてほしいです。

橋本さん:音を発売前にいただいて、友だちのイベントにゲストとして出た時にちょっとだけ披露させてもらったんです。そしたらかなり反響がありましたね。「オシャレで素敵だね~」って。それをぜひ多くの方に聞いていただきたいです。

――CDのタイトルが「イナズマchallenger」ですが、何かこれから挑戦してみたいことなどありますか?

橋本さん:「海外で歌いませんか?」というお声はかかっていたんですが、これまでは事情があって難しかったんです。そこを私もチャレンジしてみたいというのがありまして、前向きに考えてみようかなと思います。

池氏:僕ですか? ……海外からオファーがあったらいいんですけどね(一同笑)。まあ、曲のほうはなかなかそうはいきませんね。特にチャレンジというよりは、スタンスを崩さないようにして、テンションを落とさないようにしつつ走るという再確認を僕自身できたと思うんです。これはたまたま「ドラゴンボール」という作品の中でできた作品なんですが、また10年、20年して同じメンバーでやれたら素晴らしいと思います。「ドラゴンボール」はその時になっても、世界中で支持されていると思うんですね。だから、それに負けないメッセージを僕らが発信できれば最高だと思います。そういうところまでテンションを落とさず走りたいです。

――最後にファンやこの記事を読んでいる読者に向けてのメッセージをお願いします。

橋本さん:「ドラゴンボール」への22年間の想いが、また新たな形でCDになりました。ぜひ皆さんに聞いていただければと思います。

池氏:そうですね。あとは、この続きも楽しみにしていただければと。これで終わりじゃない。自信作なので、なるべく多くの方に聞いていただき、皆さんに元気になっていただきたいです。

「時間をかけていいものができました」と自信タップリ語ってくれた池氏と橋本さん。世界中で愛されているTVアニメ「ドラゴンボール」のテーマソング「ロマンティックあげるよ」、「魔訶不思議アドベンチャー!」の21st century ver.に、新曲を加えた「イナズマchallenger」は好評発売中!

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データ

▼「イナズマChallenger」
■販売元:ソニーミュージックディストリビューション
■発売元:ティームエンタテインメント
■品番:KDSD-00210
■発売日:発売中(2008年6月4日)
■価格:1,600円(税込)
 
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