2008年7月14日(月)
■内容は単純に倍!?
UMD2枚組になった『SC』ですが、前作が大体40時間から50時間くらいでクリアできたのを考えると、クリアするまでに単純に倍くらいかかってます。章構成も前作は序章、終章+4章だったものから、序章、終章+8章ですから。でも、世界の広さは変わらない。相変わらず「リベール王国」をうろうろしている。では、何の容量が増えたのか? それは、各キャラクターのエピソード。今作では、前作の黒幕「身喰らう蛇」が物語に深くかかわってきますが、彼らは仲間たちと浅からぬ因縁があるのです。伏線を回収しながら、「リベール」をひいては「ゼムリア大陸」を救う旅を続けることになるのです。
序盤の章は彼ら「身喰らう蛇」のお披露目です。出てきた時は「なんだ」と思う彼らも、圧倒的存在感で、プレイヤーに認知されていくのです。 |
■登場人物も増えてます
今作から登場する組織「七耀教会」の巡回神父“ケビン・グラハム”。新キャラクターですが、「七耀教会」と同様影が薄いです。「Sクラフト」は結構使えるんですが、なんかとってつけた感が否めない。軽いキャラクターは“オリビエ”で足りてるし……。ちなみに、『SC』でも教会の存在意義が微妙です。教会で何ができるわけではないですし。でもときどき顔を出さないと、イベントに乗り遅れたりするので油断できません。
最後の最後で意味深なことを言う“ケビン”。最初はただの軽くて怪しい大阪弁キャラクターだったんですが。 |
■サブキャラクターももちろん皆さん登場
はてさて、先ほども書きましたが、舞台は「リベール王国」、しかも話は続いているので、『FC』に登場したサブキャラクターたちも出てきます。特に、孤児院と学園には一応イベントもあります。無論行かないと見られませんが。『FC』を追体験するように町を回るので、こういったイベントはうれしい配慮です。この他、必須イベントでは、憎めない空賊「カプア一家」、ボンクラ公爵“デュナン”と執事“フィリップ”、苦労人“シード”中佐、“リシャール”も非常にいいところで出てきます。無論、剣聖“カシウス”も。相変わらずおいしいところ総取りです。これはもうしょうがないですね。あと、みなさんお忘れかもしれませんが(かく言う僕も忘れてましたが)、“ルーアン”の市長秘書だった“ギルバート”も出てきます。
ギルドはもちろん町の武器屋や道具屋なんかも“エステル”たちのことを覚えています。思わず話しかけずにはいられなくなるうれしい配慮です。 |
■ストーリーと演出は相変わらず
システム的には難易度が上がった感がありますが、ストーリーは『FC』から何も変わってません。かゆいところに手が届くいい演出。いい意味でいろんなものを裏切ってくれます。こちらに先回りするように、キャラクターを配置してくるのは実に見事の一言です。“エステル”たちとのシンクロ率が高いので、「そこでなぜアンタが!」(無論いい意味で)とゲームに叫ぶこと数回。実にカタルシスにあふれてます。ここで書くと興がそがれると思いますので、ええ、書きませんともよ。
■そして紡がれる空の軌跡
根幹にある成長物語はそのままに、『FC』での疑問を解決しつつ、“エステル”と“ヨシュア”のロマンスを描くと、いろいろ詰め込んだのに、ストーリーは実に丁寧です。細かな配慮もそうですが、シリーズを通して作り手が受け手に与えようとする愛があふれているのは、とてもすばらしい。一応『空の軌跡』としてはこれで終わっているんでしょうか? 終章のサブタイトルが「空の軌跡」でした。
あと、もう少しこの世界に浸りたい、そう思ったところで『3rd』もあるわけですから、相変わらず先回りされている感じはちょっとシャクです。ですが、まだ終わってない話もありますし。最後に意味深なこといってる“ケビン”も気になるので、引き続き『3rd』にいってみますよ。みなさん、お付き合いよろしくお願いしますね。(弩左右衛門)
(C)2006-2007 Nihon Falcom Corporation.All Rights Reserved.