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2008年8月29日(金)

「一緒にやりたい」――スクエニ和田社長がTOB提案の会見でテクモに期待感

文:電撃オンライン

テクモの取締役会に対して友好的な公開買付の条件案
▲スクウェア・エニックス代表取締役社長・和田洋一氏。

 スクウェア・エニックスは、本日8月29日にテクモの取締役会に対して友好的な公開買付の条件案を提出したと発表。同社は本件について、都内の帝国ホテルで記者会見を開いた。

 この条件案は、テクモの株式を公開買付で取得することを目的としたもので、9月4日までにテクモの取締役会から賛同の意見表明が得られた場合、公開買付を進めるという。ただし、同日までに回答がないか、またはテクモ取締役会の賛同が得られない場合は、公開買付を行わないとしている。

 記者会見には、スクウェア・エニックス代表取締役社長・和田洋一氏が登壇し、今回の買付の趣旨説明および質疑応答を行った。

 今回の発表を「あくまで提案」と強調する和田氏は、世界のコンテンツ市場において日本のゲーム産業が戦っていくためには、いくつかの企業が手を組まなくてはならないとし、非常に広範で優良なコンテンツを複数持っているテクモと相互協力していきたいとの意向を述べた。

 コンピュータエンターテインメント協会の会長も務める和田氏は、同協会の常任理事である現テクモ代表取締役社長・安田善巳氏とたびたび話をする機会があり、思想面で非常に意気投合していたとのこと。また、テクモ代表取締役会長・柿原康晴氏と5月以降に何度も面談し、両社の協力関係について協議を重ねてきたという。ここにきて急に公開買付を提案した経緯について、和田氏は「先週開催されたテクモの取締役会において安田社長の辞任が決定し、今後のテクモの状況について若干不安になった」と明かした。

 和田氏は、テクモについて「あれだけ素晴らしい人材を抱えている会社はなかなかない」と高い評価をしており、世界のコンテンツ産業において活躍できる力を持っていると断言。その力を世界に示すため、「一緒にやっていきたい」と熱く希望を語った。最後は、テクモに対して「今回の提案をきっかけに議論を重ねていただき、いい返事を待ちたい」と述べ、会見は終了した。

 会見の後は、質疑応答へ移行。記者からの「柿原氏とのやりとりにおいて、その感触は?」や「テクモ取締役会からの賛同を得られる自信は?」という問いに対し、和田氏は「(テクモの登壇者がいない状態で)私だけマイクを持って話すのはフェアではない。現段階でどのような状況かや、どういった感触かというのはお話できない」と述べた。

 また、「海外で人気のあるテクモのゲーム開発力を評価したのか」という質問には、世界的に人気が高い作品を多数輩出している点は非常に評価できるとした上で、「スクウェア・エニックスはACTやRPGを中心にリリースしており、ほとんど格闘系ゲームを開発していない。そういった意味で、良質な格闘ゲームを多数制作しているテクモとのシナジー効果に期待したい」と返答。「Xbox 360のソフトを多く出しているテクモを傘下に加えることについて、Xbox 360のコンテンツ強化という意味も含まれているか」と問われると、「そういったことは決定してから考えていきたい。具体的にはまだ何も考えていない」と話すにとどまった。

 「テクモ取締役会から賛同を得られるか」については、「得られると信じるしかない。今は祈る気持ち」と現在の複雑な心境をのぞかせた。なお、賛同が得られなかった場合は「今回の提案によってテクモの取締役会でどういった議論がされたかをみて、フィードバックしたい」と述べた。


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