2008年9月8日(月)
カプコンとソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが、10月18日に世界に先駆けて日本での公開を予定している、フルCG映画「バイオハザード ディジェネレーション」。この作品のプロデューサーであるカプコンの小林裕幸氏にインタビューを行った。
「バイオハザード ディジェネレーション」は、1996年発売された『バイオハザード』シリーズの世界を、初めてフルCGによって描く長編作品。監督は「日本沈没」や「L Changethe WorLd」の特撮監督として知られる神谷誠氏、脚本はアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」や「CASSHERN」などを担当し、SFにリアルな社会情勢を織り込むことを得意とする菅正太郎氏を起用している。「アップルシード」、「エクスマキナ」などを世に送り出してきたデジタル・フロンティアが制作を担当。7月25日に北米で開催されたコミコン・インターナショナルにて記者会見を行い、話題となった作品だ。
今回、『バイオハザード4』や『デビル メイ クライ 4』など数々のゲーム製作に携わってきたカプコンの小林裕幸プロデューサーに、作品が動き出した経緯や、制作中の苦労話、本作の魅力について語ってもらったので、以下に掲載する。
――まず、企画が立ち上がった経緯について、教えてもらえますか?
小林氏:ゲームを作るのって、どうしても時間がかかるじゃないですか? 特に『バイオハザード』は次のタイトルが出ても主人公が変わっていたりする。そういう事情もあって、ゲームじゃないところで作品の続きをやれないかと思っていたのです。でもゲーム会社としては、映像を手をつけるということになかなか踏み切れなかった。そんな時に、実写映画の「バイオハザード」をやっているソニーピクチャーズさんの方から、「フルCGで『バイオハザード』の映画をやりませんか?」という提案があったので、うちの方でも「それなら、やりましょう」ということになりました。
――小林さんがかかわることになったのは?
小林氏:僕は、実写の「バイオハザード」にかかわらせてもらっているので、「映画担当は小林」みたいな流れで決まりましたね。あとは、今開発中の『バイオハザード5』にはかかわっていないので、僕がこの作品にかかわるのがちょうどいいというのもありました。そして、僕がやることになるなら『バイオハザード4』の続きをやりたかったので、主人公を“レオン”にしました。
――今まで、初代『バイオハザード』から『バイオハザード4』まで制作にかかわっていますが、その中でも印象深いタイトルはどれですか?
小林氏:やっぱり最初にかかわった初代『バイオハザード』ですね。僕にとって、初めて作ったゲーム作品なので印象深いです。それ以降、あれを越えられる『バイオハザード』は作れないと思っていたんですが、『バイオハザード4』は越えられたかなと思います。苦労はしましたが、世界中であれだけ喜んでもらえたので……。それまでもタイトルはやってきたんですが、『バイオハザード4』の反響が驚くほど多くて、印象深いですね。当然、苦労した『バイオハザード2』や、途中からかかわった『バイオハザード3 ラストエスケープ』、ほんのちょっとしかかかわっていない『バイオハザード CODE:Veronica』など、それぞれの作品に思い入れはあるんですが、『バイオハザード』と『バイオハザード4』は特に印象深いですね。
――『バイオハザード4』は、ゲーム画面やシステムが変わってもやはりおもしろかったという点と、長く遊べる点が評価されていますね。
小林氏:そうですね。繰り返し楽しめるようにはなっています。そこはフルモデルチェンジという目的を達成できたからだと思います。
――『バイオハザード4』の続きを作りたかったということですが、登場キャラクターの中に「ラクーンシティ」から一緒に脱出した“クレア”がいますね。彼女はなぜ登場することになったのでしょうか?
小林氏:それはソニーピクチャーズさんからのリクエストですね。シリーズで一番売れた作品は『バイオハザード2』なので、2人が一番知られているだろうと。あと、華が欲しかったということもありますね。僕の方も、“クレア”は『バイオハザード CODE:Veronica』以来の登場なので、どうするかいろいろ検討しました。彼女は巻き込まれるタイプで登場するのですが、うまく組み込めたと思います。
(C)2008 カプコン/バイオハザードCG製作委員会
■「バイオハザード ディジェネレーション」