2008年9月13日(土)
――新作『アイマスSP』の話題に移ります。初登場となる「ストーリープロデュース」について、ゲームの流れや構成を教えていただけますか。
石原:戦略SLGなどによくある、1話をクリアすると話が大きく動くという構成に近いイメージですね。アイドルランクの各ランクでそれぞれ大きな話が入り、その途中にも小さな話が入ります。ボリュームは決して少なくありません。
――ランクアップリミットがあるなど、ゲームシステムはアーケード版『アイマス』に近いと考えればよいのでしょうか?
石原:以前から「アーケード版のようなモードを入れてほしい」という意見もあったのですが、(『アイマスSP』では)単純にアーケード版をそのまま入れても芸がないと思っています。「ストーリープロデュース」では、規定のファン人数を集めて、かつアイドルアルティメイト(IU)の予選に勝たないとランクが上がらないですし、IU予選も1週を使ってしまいますから、難易度はそれほどヌルくないですよ。なんとなく読み進めるよりは、ランクアップに緊張感がありますから、ストーリー全体に筋がピシッと通るようになっています。
――勝たないとストーリーが楽しめない……なかなか緊張しそうですね。
石原:ランクアップリミットもありますし、「ストーリープロデュース」は割とシビアなモードになっています。でも、基本的には誰でも努力さえすればクリアできますので、ご安心を。一方で、Xbox 360版『アイマス』に近い「フリープロデュース」もありますので、お好みで楽しんでいただければと思います。
――『アイマスSP』では、従来のように休暇でのイベントはあるのでしょうか?
石原:今回はありません。というのも、『アイマスSP』ではリセットを押してやり直さないことを前提にしていますので、そうした要素は削っているんです。「お休み」でのイベントがない分、他の要素をたっぷり増やしています。
――さて、「“美希”が765プロから移籍する」ことについて、ネット上でもさまざまな意見が出ていますが、石原さんはいかがですか。
石原:そうですね、彼女は移籍というよりは「飛び出した」に近いのですが……どちらかというと、今回は“美希”に僕らが振り回される話なんですよ。“美希”ファンの方は、いかにも「“美希”らしい」ところを楽しんでいただけると思います。むしろ、ある意味今までで一番振り回してもらえます!(笑)
――石原さんの口からそうした言葉をいただけると、期待してしまいます(笑)。ところでスクリーンショットを見せていただいたのですが、朝の挨拶などが細かく変わっているように見受けられました。
石原:実は、挨拶のバリエーションが無茶苦茶増えています。もともと数は多かったんですが、さらに増えまして、それから「ちょっと妙」なものもあります。
――“春香”がシースーがどうこう言う場面ですね。
石原:ネタで言ってるところですね(笑)。
――こうして見ると『アイマスSP』は、アーケード版やXbox 360版からまったく異なるゲームになっているように見受けられます。
石原:はい、結構違います。携帯ゲーム機向けとして、かなりいじっている部分があり、完全な作り直しになっています。現在明かされている情報の他にも「えーっ!?」となる内容がありますので、続報にご期待ください。
――『アイマスSP』で新たに登場する“我那覇響”と“四条貴音”ですが、この2人の声を担当する、沼倉愛美さんと原由実さんについて伺います。オーディションでこのお2人を選んだポイントはどこでしたか?
石原:オーディションには、たくさんの方に来ていただきました。声と、歌のうまさ、表現力など、いろいろな部分を見せていただいて、総合的に判断しました。お2人は、キャラクターにすごくピッタリだと断言できます。キャラクター自体は、まだ謎に包まれている部分も多いですが、お2人ともすごくおもしろい方なので、これまでの声優の方々の中に入っていっても、埋もれることなく自然に活躍できるのではないでしょうか。
――お2人の今後に期待したいところですね。さて、PSPというプラットフォームでは、どうしてもXbox 360のグラフィックよりも劣る部分が出てくると思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
石原:実はPSPの液晶って、皆さんが考えている以上に、モデルを動かすとキレイに見えるんですよ。もともと『アイマス』は、アーケード版のころからずっとそうなんですけれど、動く前は「かわいくない」とか「いまいち興味がわかない」って言われていたんです。静止画のポリゴンキャラクターを見てしまうとそんなにかわいくないんですが、これが動いてしゃべると、突然急に存在感が増すんですよ。
――確かにアーケード版もXbox 360版も、そうした印象があります。
石原:ですので、動いているところを見ると「“春香”が踊ってるな~」としか思えないという(笑)。むしろ、そうした「動画で存在感が増す」点も含めて、楽しみにしていただきたいです。表情パターンも、結構変わっていますから、そこも注目してください。
――ところで、『アイマスSP』では限定版を発売される予定は……ありますか?
石原:えー……、これまでのファンの方によろこんでいただける施策も打ちたいんですが、現時点では考えていません。というのも、今回はもっと多くの方に「プロデューサー」になっていただきたいんです。秋葉原で行列を作って買っていただくだけでなく、ショップにフラッと入って「売ってるから買うか」みたいに手に取っていただきたいんですよ。
――そうなると、高価な限定版は足かせになってしまう可能性もあると。
石原:幸い『アイマス』は、いろいろなプロデューサーさんのご協力で、多くの方に知ってもらえるようになったので、今度はこちらからもユーザーさんに近づいていかなければと思っています。『パーフェクトサン』、『ミッシングムーン』、『ワンダリングスター』のうち、まずはお気に入りの子がいるバージョン1つを買っていただきたいです。
――確かに『アイマス』は「ネットとかで知っているけれどゲームは遊んだことがない」という方も多いと思います。
石原:最初はゲームを遊んでいただいて、次は関連CDを買ってみよう、ラジオを聞こう、声優さんのライブに行ってみよう、となってくれればいいですね。できれば『アイマスSP』を遊んだ後は、Xbox 360版『アイマス』もプレイしていただき、そうしてキャラクターを好きになったら『アイマスL4U!』も楽しんでほしいです。僕は、これらを含めた全体で『アイドルマスター』という作品だと思っていますから。「みんなまとめてアイドルマスター」という意識で、これからも皆さんに『アイマス』のいろいろな世界を楽しんでもらえたらと願っています。
石原氏へのインタビューはここまで。最後に、765プロの“高木社長”からプロデューサーの皆さんに向けて寄せられた「3周年記念ライブの訓辞」を掲載する。じっくりと読んで、その言葉を心に刻むなり、ライブの時のことを思い出すなりしていただきたい! 文中には、何やら『アイマス』ファンがニヤリとできる「秘密」も含まれているらしいが……?
思えば、我が765プロも、遙か遠くまで来たモノだな。 PS. |
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