2008年9月24日(水)
夏の暑さも和らいできた今日この頃。じっくり楽しめるゲームでもプレイしてみようかと思っていたところに、村田(仮)から新たな指令が送られてきました。そんなわけで今回は、明日9月25日発売のDS用ソフト『ナイツ・イン・ザ・ナイトメア(以下、KiN)』の話でもしましょうかね。戸部叔さん、きゆづきさとこさんなんてかわいい系のイラストレーターをキャラクターデザインに起用しているのに、ちっともゲームの中身はかわいくない(俺的、超ほめ言葉!)スティングの新作。ちょっと長くなるかもしれないから、トイレは済ませとけよ、あと、お茶の用意もしておいた方がいい。じゃあ、いってみましょうか!!
■まずはストーリーから
ファンタジーRPG『Riviera ~約束の地リヴィエラ~』、『ユグドラ・ユニオン』と世界観を共有するシミュレーションRPGが『KiN』。今回も、戸部、きゆづき両氏がイラストを手がけていて、見た目はようかんに黒蜜かけたくらいにベタ甘ですが、内容はかなりハードコアで超辛口。ジャンルは「アクティブ&タクティカルRPG」ってことになってますが、似たゲームはちょっと思いつかないオリジナリティあふれる作品です。システムの話は後に回して、とりあえずストーリーの話でも。
記憶を失くした主人公(ついでに、どういうわけか体も失くしている)は、断片的に戻る記憶に導かれ、古城を目指す。というのが物語の導入。その道すがら王国の騎士たちを仲間にしていくのですが、騎士団が12個もあるので、仲間の数も半端ないものに。なんでも100人以上いるらしい。これら騎士団のメンバーたちが絡むストーリーはかなり重厚。どうもクーデターで殺された王様が自分っぽいのですが、どんでん返しもありそうでストーリーから目が離せません。
戦闘の前後には、さまざまなキャラクターの視点で物語が語られますが、どうも皆さんこの世の人ではないようで……。 |
■ついでキャラクターの話
本作には、100人以上キャラクターがいて、全員にエピソードが用意されています。当たり前ですが、ストーリーが進むとこれらキャラクター同士の絡みも描かれていくのです。某死神漫画のように。また、本作のオリジナルシステムとして「トランソウル」と呼ばれるキャラクターの掛け合わせがあります。これは、あるキャラクターの魂を別のキャラクターへと引き継がせるというもので、継承した魂によってキャラクターの能力値やレベルが変化します。ただ、魂を継承させた元のキャラクターは消滅してしまうので、おいそれと使うわけにもいかないでしょう。また、親しい関係にある者同士を掛け合わせることで見られるエピソードもあったりします。
「トランソウル」によって、能力値とレベルが変化します。ですが、それより何より消えるキャラクターのセリフが切ない。 |
■システムは超オリジナル
さて、本作のシステムですが、かなり変わってます。自分は霊魂みたいな光る玉「ウィスプ」で、マップにいる騎士たちに命令を出して、敵を倒したりアイテムを壊したりするなどして物語を進めるというもの。敵の攻撃は、光の玉である自分にしか当たりませんが、敵を攻撃できるのは騎士だけです。騎士は、「デュエリスト」や「ランスナイト」といった職種によって攻撃できる範囲が変わり、一部職業を除いて動けません。また、攻撃には「L(ロウ)」と「C(カオス)」という2つの「フェイズ」があり、この「フェイズ」によっても、攻撃範囲が変わります。
アイテムはマップ上のオブジェクトに隠されています。これを壊すことでアイテムが手に入るのですが、それができるのも騎士だけ。 |
■やるべきことは大きく分けて3つ
さて、「ウィスプ」である自分がマップでやることは大きく分けて、オブジェクトを破壊してアイテムを手に入れる、マップに配置された騎士を仲間にする、敵を倒すの3つ。オブジェクトを素早く破壊するには、武器アイテムを使用せねばならず、敵を効率よく倒すにもこれを使わねばなりません。また、敵には「火炎」や「冷気」といった6つの属性があり、対抗する属性で攻撃するほどダメージが上がります。
自分にヒットポイントはありませんが、持ち時間があり、攻撃をしたり、敵の攻撃を受けたりするとこの時間が減っていき、0になるとそのターンが終了。規定ターン内に条件をクリアすると話が進み、クリアできないとゲームオーバーになります。ターンはボクシングのラウンドみたいなもので、規定ラウンド内で敵をKOしないと自動的に負けというわけです。
敵の弾をかわしながら効率よく敵を攻撃していかなければ、クリアは難しくなるでしょう。 |
■そして超戦略的
先ほどまでに述べたことがすべて有機的に絡み合い、戦闘システムが構築されているわけです。ゲーム難易度は「イージー」と「ノーマル」の2種類がありますが、「イージー」の方がターン数とアイテムが多く、敵の攻撃も緩やかなので、まずは「イージー」でゲームに慣れましょう。いきなり「ノーマル」に挑戦してもいいのですが、痛い目みますよ。
ちなみに書き忘れましたが、騎士の持つ武器には耐久度があり、戦闘に武器を持ち込むと徐々に耐久度が減り、最後は消滅します。さらに、騎士は攻撃をすると「バイタリティ」が減り、これがなくなると消滅。つまり、時間ともろもろの耐久度をかんがみて、マップの攻略に臨まねばなりません。ただ、敵の配置は変わりませんから、戦略に関しては一度構築してしまえば、なんとかなります。また、アクション的な技量はあまり要求されませんから、ズルをして人に攻略法を聞けば、誰にでも解ける難易度になるとも言えます。ですが、構築した手を最適化していく過程は詰め将棋にも似ていて、これが実に楽しい。システムを理解すると、シミュレーションRPGでありながら、パズルの要素も兼ね備えた欲張りな内容だということがよくわかります。
オリジナリティあふれる内容だからチュートリアルの項目も膨大。3つの段階に分かれ、ゲームの進行に応じて閲覧すればいいシステムになってます。 |
■戦術の追求が醍醐味です
キャラクターもストーリーも魅力的ですから、キャラクターもののRPGとして遊ぶなら、攻略本は必須です。先ほども書きましたが、アクション要素はそんなにハードではないので攻略法さえわかれば、誰にでも解けるといっても過言ではないでしょう。ただ、本作の真の魅力は、開発者との知恵比べです。手数を減らして最善手を捜す過程は、そこらの脳トレの比ではないくらい頭を使います。現に俺は、ゲームを途中で止めても、なんとなく戦略に頭がいって、他の仕事が手につきません。かなり中毒性の高い内容だと言えます。
プラモデルのように作る過程を楽しむか、はたまた、完成品を愛でるか、それはプレイヤーのあなた次第なのです。(弩左右衛門)
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