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2008年12月11日(木)

『マビノギ』大型アップデートインタビュー 開発陣が明かすC3の内容とは?

文:電撃オンライン

 PC用オンラインゲーム『マビノギ』で、本日12月11日に行われる大型アップデート「チャプター3~アルケミスト~」。気になる「錬金術」での戦い方や、新たに紡がれる物語とその舞台、そして日本での今後の展開について、開発チームにインタビューを敢行した。

『マビノギ』

 『マビノギ』は、古代ケルト神話をモチーフにした「エリン」というファンタジー世界を舞台に、冒険をしたり生活を営んだりする人気MMORPG。アクション性の高い戦闘と、神話にまつわる壮大な物語を楽しめるのが特徴だ。

 今回お話を伺ったのは、『マビノギ』の開発を担当するdevCATマビノギチーム・チーム長のハン・ジェホ氏、海外サービスパートのキム・キョンヨプ氏、devCAT海外ライブチームで海外サービスを担当しているファン・チャンヒさん、ネクソンジャパン運用1チームの佐々木浩明氏の4名。今回の大型アップデートや、今後の展開について聞いてみた。

『マビノギ』
写真左から、佐々木氏、キム氏、ハン氏、ファンさん。ファンさんには今回のインタビューでの通訳も務めていただいた。

■アルケミストでプレイスタイルが変わる?

――まずは、皆さんが現在どのように『マビノギ』に携わっているかを教えてください。

ハン・ジェホ氏(以下、ハン氏):devCATスタジオのマビノギチームでチーム長、そしてディレクターを務めています。

キム・キョンヨプ氏(以下、キム氏):devCATスタジオの海外サービスを担当しています。

佐々木浩明氏(以下、佐々木氏):日本におけるイベントの企画の立案や依頼、ユーザー様へのサポートを担当しています。

――今回のアップデートの目玉であるアルケミストとは?

ハン氏:アルケミストのスキルは、戦闘、生産、召喚というスキルのカテゴリが用意されています。戦闘には「ウォーターキャノン」や「ウィンドブラスト」、そして「ライフドレイン」や「マナフォーミング」、地形を変形させて防御壁を作るなど、多彩なスキルが用意されています。生産は、結晶の生成やアイテムの分解などができます。そして召喚には「ゴーレム練成」というスキルがあります。これはゴーレムを練成し、ユーザーが操縦できるものです。

――戦闘スキルを使うのに必要となるのが、写真にもある「シリンダー」ですよね。このシリンダーはどのように使用するのですか?

ハン氏:「マナフォーミング」というスキルで魔法の結晶をシリンダーに込め、その結晶を活性化させて使用します。

――魔法の結晶というのは、自分や他のプレイヤーの魔法を結晶化したものですか?

ハン氏:そうです、プレイヤーたちが持つ魔法を結晶化させることができます。例えば「ファイアーボール」を使えない人でも、「ファイアーボール」を使えるプレイヤーの力を借りれば、シリンダーを通して発動することができます。プレイヤーが魔法の結晶を作って売買することができるので、魔法スキルを上げていない人でも多彩な魔法が使えるようになります。

――その結晶を作る、または使うにあたり、ステータスはどの程度影響しますか?

ハン氏:アルケミストのスキルは、戦闘や生産にかかわらずプレイヤーのステータス(STR、DEX、INTなど)の影響はまったく受けません。その代わり「アルケミーマスタリ」などのスキルランクが影響します。

――ステータスで差がつかないので、これからはじめる人にもオススメですね。

ハン氏:ユーザーによって戦闘力に差が生まれないことを目標に、錬金術を作りました。例えば、累積レベルが1,000のユーザーと、累積レベルが10くらいのユーザーの錬金術スキルが、同じAランクなら威力は変わりません。ただ、『マビノギ』に慣れているユーザーは、プレイを始めたばかりのユーザーより早くアルケミストのスキルを習うことができると思います。アルケミストのスキルは簡単に習えるものもあれば、高いレベルを必要とするスキルもあります。今後は、さらに多様なスキルを追加して行く予定です。

――アルケミストは4つの属性(火・土・風・水)を使うようですが、今までの3つの属性(ファイア・アイス・ライトニング)とは異なるのでしょうか?

ハン氏:実際、古代の錬金術師たちは世の中のすべてのものをこの4つの元素に分けており、その4つの元素を調合して新しいものを生み出していました。今回、そういう部分をふまえて『マビノギ』でも4つの属性を追加しました。属性の結晶をそのまま使ってスキルを発動することもできるし、2つ以上の属性の結晶を調合して新しい属性のものを作りだすこともできます。

――先ほど話に出た「召喚」は、現段階ではゴーレムのみなのでしょうか?

ハン氏:現状ではそうです。ゴーレム練成は他のモンスターを操ることも念頭に置いて作ったシステムなので、今後のアップデートで追加されていくかもしれません。

『マビノギ』 『マビノギ』
左は「ウォーターキャノン」という新しいスキル。右はゴーレム練成。いままでの『マビノギ』にはなかった、新しい戦闘スタイルが確立されそうだ。
『マビノギ』 『マビノギ』
分解や練成に使用するかまど。ステータスではなくスキルレベルによって成功確率が変わる。

■新しいメインストリームについて

――チャプター3で実装される、新しいメインストリーム(シナリオ)の内容を簡単に教えてください。

ハン氏:今回のメインストリームは「チャプター1」とは独立した物語です。エリンの現実世界の裏側にある平行世界「影の世界」。この影の世界が開かれ、“キホール”らが人間の世界に侵攻してきます。これを阻むことがミッションになります。ただし、人間の力だけでは防ぎきれないため、エルフやジャイアントと連合軍を結成しなければなりません。タルティーンの地に3種族が集い、力を合わせてキホールに対抗していきます。

――「影の世界」はダンジョンと同じイメージですか?

ハン氏:はい。影の世界はインスタンス空間なので、出てくるモンスターやNPCも通常の世界とはいろいろ変わってきます。NPCは、“エラハ”という「インキュバス」が影の世界で登場するのですが、この“エラハ”は影の世界と現実世界を行き来しているという設定です。他にもさまざまなNPCが登場します。また、既存のダンジョンはボスを倒すことが目的でしたが、影の世界ではさまざまな目的を持って冒険に臨めるようにしました。これまでと同様にボスを倒すミッションもありますし、基地を防衛するミッション、NPCを救出するといったミッションもあります。

『マビノギ』 『マビノギ』 『マビノギ』
錬金術の街タランティーン。ウルラ大陸に新たに追加されるこのマップを中心に、「チャプター3」の物語が展開していく。
『マビノギ』 『マビノギ』 『マビノギ』
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影の世界では、キホールだけでなく数々の凶悪なモンスターが待ち構えている。そして、黒い翼を持った謎のNPCの姿も!?

■日本での今後の展開は?

――課金システムのリニューアルは、新規ユーザーに対するアプローチとして導入したのでしょうか?

佐々木氏:それもありますが、既存のユーザーでも課金がネックになって転生ができなかったという点の改善でもあります。転生して強くなるというのも『マビノギ』の1つの楽しみですから。転生で発生する課金の負担を減らして、今以上に楽しんでいただければいいなと思っています。

――他にも経験値テーブルを見直すとのことですが、どれくらい必要経験値が下がるのでしょうか?

佐々木氏:中間のレベルといいますか、30~50レベルくらいが顕著に変わりますね。このレベル帯は1レベル上がるごとに必要経験値が大きく増加していましたが、それが軽減されると思います。

――『マビノギ』は日本オリジナルのものなど、イベントを積極的に開いていますが、今後……特にクリスマスはどんなイベントを予定していますか? 雪だるまなどがまたでてきたりしますか?

佐々木氏:うーん、そうですね。ヒントとしては、今年もツリーは登場します。雪だるまはないですね。って、なんのヒントにもなっていないですけど。あと、今回は街中にクリスマスの雰囲気を出そうと、イルミネーションにこだわってみました。

――“ナオ”がクリスマスプレゼントを持ってくるとか?

佐々木:ドキドキ。詳しくは言えないですけど、当日を楽しみにしてください。だからこそ、プレス向けのリリースからも情報を外させてもらいました。

――今後の展開として「日本からの要望を実装していく」とありましたが、日本からの要望と韓国からの要望は異なっているんですか?

キム氏:要望での差はあまりないですが、海外でサービスを展開するうえで日本のユーザーの意見は大切ですし、『マビノギ』を親しく感じるひとつのキーワードになっていると思います。ですので、努力を惜しまず応えていくつもりです。

――日本では花見イベントなどがありましたが、韓国ならではのイベントはどのようなものがありますか?

キム氏:日本でも投入されたシーソーイベントですね。シーソーは韓国で正月に伝統的に行われている風習なんです。

――なるほど。なぜシーソーなんだろうと思っていました。

キム氏:韓国では大人も子どももやっているんですよ。

佐々木氏:楽しそうだったので、スポーツの秋にちなんで一部変更して実装させてもらいました。

――イベントだけでなく、浴衣などの日本の衣装も実装されましたね。

佐々木氏:浴衣は日本から要望を出して毎年作ってもらっていますね。デザインもかなりこだわって作ってもらっています。ちなみに、水着は日本と韓国で柄が違ったりしています。

――そのこだわりで、“ナオ”のアルケミストルックとか作ってもらえませんか? プレイヤーキャラクターには、アルケミストっぽく白衣とか……。

キム氏:計画してはいないですけど、日本のユーザーからの要望が多ければ作ります(笑)。

佐々木氏:要望が多かったら、ぜひお願いします!

――ちなみに、今年も福袋はやりますか?

佐々木氏:やりますよ。そして値段も変わると思います。楽しみにしていてください。

――最後に、すでにコミックやボイスドラマなど、ゲーム外での展開を行っていらっしゃいますが、今後、ゲーム外の展開でやってみたいものはありますか?

佐々木氏:フィギュアなりコミックなり、ユーザーの方が楽しんでもらえるものを積極的にやっていけたらなと思いますね。何をやるというのは、まだ具体的には決めかねていますけど。

キム氏:“ファーガス”の鉛筆削りとかおもしろいかな。ゲームと同じようによく失敗するんですよ。だれも作ってくれないと思いますけど……。

佐々木氏:エンピツが壊れるのはいやですもんね(笑)。

――最後におもしろい話が(笑)。今日はどうもありがとうございました。

『マビノギ』 『マビノギ』 『マビノギ』
クリスマスイベントは、街全体に装飾がされて華やかな聖夜となりそうだ。NPCとしてサンタクロースも登場!?
『マビノギ』
インタビュー中、記者が気になって仕方なかった“ナオ”のアルケミ姿。日本のユーザーの要望が集まれば、この衣装が実装されるかも!?

 『マビノギ』の戦闘はアクション性が高く、テクニックでプレイヤーのレベル差をある程度カバーできた。今回の「チャプター3」によって、さらに初心者も上級者も同じように冒険を楽しむことができそうだ。そして、新たな街とメインストリームが実装され、『マビノギ』の世界がさらに広がる。今までのメインストリームだけでは明かされなかった謎も、少しずつ明らかになるそうなので楽しみにしてほしい。

 最後に、日本オリジナルイベントやオリジナル装備など、ユーザーの要望に極力応えてくれるとのこと。この記事を読んでくれているみんなの力があわされば、“ナオ”のアルケミ服の実装も夢ではないかも!?

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データ

▼『マビノギ』
■メーカー:ネクソンジャパン
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2005年4月26日
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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