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2009年1月22日(木)

【『フラジール』インタビュー】主人公とヒロインの出会い――その描き方とは?

文:電撃オンライン

『フラジール』

 バンダイナムコゲームスより本日1月22日に発売されたWii用ソフト『FRAGILE~さよなら月の廃墟~(以下、フラジール)』。その制作に関する話を、開発スタッフに伺ってきた。

 『フラジール』は、人類が滅び廃墟(はいきょ)となってしまった世界を舞台に、孤独の切なさや、人との共感をテーマにしたドラマを描いた廃墟探索型RPG。プレイヤーは主人公・セトとなって、自分と同じ人間の生き残りを探すため、廃墟となった遊園地やダム、東京タワーを探索していく。

 本作は、『7(セブン)~モールモースの騎兵隊~』や『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』を手がけた川島健太郎さんが、自分たちの“体験”をベースにしてプレイヤーに“体験”を提供するという試みを詰め込んだ初の作品でもある。その開発の経緯やきっかけについては、2008年12月29日に掲載した記事をご覧になってほしい。

2008年12月29日掲載
開発の苦労と秘話が満載!! 『フラジール』スタッフが語るクリエイターとは?
『フラジール』

 講演では、“体験”をベースにした『フラジール』制作の経緯や秘話が明かされた。

 他では見ることのできない、企画当初の資料や、開発スタッフのクリエイターというものに対する考え方など、参加者たちも興味深く耳を傾けている様子がうかがえた。


 今回のインタビューでは、バンダイナムコゲームスの川島プロデューサーと原田恵子さん、共同で本作を開発したトライクレッシェンドの安井宗史さんと齋藤理詠さん、あわせて4名にお話を聞くことができた。川島さんは制作のディレクションやシナリオなどを、原田さんはOPムービーやデモシーンの演出などを、安井さんはメインプログラムを、齋藤さんは音楽を担当している。

『フラジール』
左から、川島さん、原田さん、齋藤さん、安井さん。

 なお、インタビューは前編、中編、後編に分けて3日連続でお送りする。本作が気になる人、手にとって遊んでみた人は、目を通していただけると幸いだ。

→中編はこちら

→後編はこちら


■“動き”で表現するキャラクターの感情

『フラジール』

――セトとレンとの出会いでは、「さわった」というセリフがとても印象的に描かれています。主人公とヒロインである2人の出会いのシーンは、どのようなことを特に意識しましたか?

川島:ストーリーそのものは、コミュニケーションや共感についてを描いた話なんです。その中で、言葉の重要性というものをずっと描いているのですが。でも最初は、体の動きを見せたかったんですね。本に書いてある文や言葉だけでもコミュニケーションは成立するんですが、本当はそうじゃない。空気感とか仕草とか、その人の動きにこそ情報が詰まっていると思っています。だから、最初にちゃんと触って、生きた人間としてそこに存在するんだ、ということを描けば、レンは“生きている人”というのを明確に描けるのではないかと思いました。

原田:この作品は、冒頭でおじいちゃんが死んでしまい、寂しいシーンから始まります。そこからOPムービーを経て、2人が出会う。それを見せる絵としては、「これから物語が始まるんだよ!」という予感をさせるため、リアルより少し芝居がかった舞台セットのような場所で、象徴的にレンとセトの出会いを見せたかったんです。それを演出するためのマップも、少しファンタジックに蓮をいっぱい配置してみたり、本当はそんなに明るくない月夜をわざとキラキラさせたり、お客様が「キレイ!」と感じてくれるように作りました。

 このシーンで、レンが脚をぶらぶらさせている動きも、もともと絵コンテにはなくて、モーションアクターさんが歌いながら動いたら、ああいう脚の動きが出てきたので、最終的にそれを生かしたレンの動きを出しました。

『フラジール』

――瓦礫の上で脚をぶらぶらさせているのは、印象的に残る動きでした。

原田:アクターさんとお話をした時に、おしとやかではかなげ、というステレオタイプでハンコを押した感じのレンだとつまらないよね、っていうお話をして。天真爛漫さを、カッコつけずにレンの動きとして表現できたらと考えて、アクターさんには自然体で動くというのを心掛けてもらいました。女の子なのにわざと脚を開いていたりとか。

――デモシーンでは、キャラクターの表情も豊かですよね。

原田:人間の感情的なやりとりを重視しているゲームなので、それを如実に表してくれるのは顔の動きだろう、と思いました。そのため、フェイシャルモーションには、かなり重点を置いて作業をしてもらっています。フェイシャルを担当したスタッフも、1人は男性だったんですけど、ほぼ女性で。最初から、すごくきめ細かい演技がキャラクターに付いていて、表情豊かなモーションが上がってきてくれました。だから、クオリティアップも結構スムーズにできましたね。

『フラジール』

――男性が担当しているのはクロウですか?

原田:今回モーション編集作業は、キャラクターごとではなく、シーンごとに担当していただきました。男性スタッフが担当しているのは、チヨが「ありがとう」と言うシーンとか、シンが石を持って逃げていくシーンとかですね。けれど全体を通して見た時に、男性と女性でフェイシャルの質が違うじゃない、とならないよう気を付けています。なので、プレイしても男女の差はわからないと思います(笑)。

――シーンの演出は原田さんが担当なさっているとのことですが、川島さんはどの段階でチェックを?

川島:コンテのタイミングと、粗で動いてるデモシーンと、詳細に動いてるデモシーンのタイミングですね。そこで原田さんが確認を振ってくれるので、その時に多少の意見を言わせてもらいます。でも基本的にはお任せですよ。やっていておもしろいのは、思っていることと全然違うものが、あまり上がってこないんです。むしろ、よくなって上がってくるので、そういった意味で、僕は今回楽でした。

『フラジール』

――各シーンに感情を挿入する際、シナリオ面で心がけたことはありますか?

川島:泣かす時に泣かすとか、笑わす時に笑わすとか、ストレートにやってしまってもあまり感情が入ってこないと思うんですよ。お客様があるシーンを見た時に、自分の中でそれをもう1回かみしめる感じで再生します。かみしめた時に、それが自分の過去の記憶や経験と、無意識に照らし合わされていて、「ああ、そんなことあるよね」と思った時、シーンに対する共感が生まれると思うんですね。それは、何気ない普段の仕草とか、目を合わせて外すとか、そういった動作から感情的なものを想起できればいいなと考えて作ります。

 キャラクターの動きをちょっとしたト書きにして渡すと、イベントを作る方とか、演出する原田さんとかが膨らませてくれます。戻ってくると、自分で「ああ、そうか」と思うようなものができていて。変な話ですけれど、僕はセリフを信じていないので、どちらかというとシチュエーションや動作の方が大事だなと思っていますね。例えば、サイがセトのおでこにバンソウコウをはってキスした時に、ワンカットだけ入る、レンの「キスしてる……」という表情。ああいうのが、すごく好きです。

→ストーリーを体験する? 『フラジール』ならではの楽しみ【次頁へ】

(C) 2009 NBGI

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データ

▼『FRAGILE~さよなら月の廃墟~』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:Wii
■ジャンル:RPG
■発売日:2009年1月22日
■価格:7,140円(税込)
 
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