2009年2月26日(木)
若林 (この曲がリクエスト曲であることから)律子にこんな激しい歌を歌わせてみたいと思っていたんですね、と感じました。収録している時、ライブハウスでお客さんを前にして、こぶしをガンガン振り上げているイメージで歌ってほしいと言われまして、そんなテンションで、ガッツリワシワシと、“ハッキりつこ”(編注:ハッキリ+律子)で歌っております(笑)。よく考えると今回、律子はソウルフルな曲が多かったですね。
下田 こうした曲も亜美・真美に求められているんだなと感じました。皆さんの中で新しい亜美・真美を最近見つけていただけたのかなと思っております。前回のカバー曲は『夏空グラフィティ』だったのですが、(『青空のナミダ』は)それと同様のガールズロックであり、女性独特の力強さがある曲だと感じています。
この曲だと決まったときは「また難しい歌だなぁ」と思いました。亜美・真美にとってはテーマが難しい歌だったんじゃないかと。歌詞の「どんな運命が 待ってるんだろう」なんて、絶対考えたことねーだろ! って(一同笑)。ですのでプロデューサーから、亜美・真美が持つ自分たちのかっこよさやいさぎよさを全面に出して歌うんだと言われた、という設定で歌っています。サビをがっちりハモっていて、亜美と真美がそれぞれの自分の持ちパートでハモったつもりで歌っていますので、そこも聴いていただきたいですね。
若林 これは何と言えばいいんですかね……エレクトロポップ? 困った時の中川さん!(一同笑)
中川 うーん、エレポップともちょっと違いますね。昔のアナログシンセとかで音楽を作っていたころのようなアレンジです。アナログな、昔の時代のデジタルポップと言えばいいでしょうか。
若林 声の加工が気持ちいいカンジで入っていますよね。もっと機械的なものになるかと思っていたんですけど、うちらの声だとちゃんとわかります。
下田 実は今、初めて完成したものを聴いたんですけど、曲がすごくよくなっていてビックリしました。『my song』はしっとりしたイメージが強かったので、収録の時にどう歌えばいいのか戸惑ったんです。でも、クールな感じには歌いたいなと。音の魔法を加えることで、すごく自然にカッコよくなったなぁと感じています。
若林 そうなの。私も最初に声を加工すると聞いていたので、どんな曲になるんだろうと思っていたんですよ。
下田 もっとブツブツしたものになるかと思っていました。
若林 うん。こんなバラード曲にエレクトロニックなものをあわせると聞いた時、私はエレクトロニックなアレンジは好きだ、でも『my song』か……、と複雑な思いがあったのですが、最終的にはとてもいい感じに仕上がっています。クールさもあり、エレクトロニックな部分もありで。それと、私の声は下田と合うなぁって。
下田 それ、私も思っていました。
若林 (声と声とが)ビッッチャアーってなってるよね。
下田 なんか汚いなぁ!(一同笑)
若林 違う違う! 私たちの声って“溶け合う”というよりは、ブッシャー、ベッチャァーってカンジなんだよ! それだけ融合していて、混ざっているってこと。フワッと混ざってるんじゃなくて、ビシャーっと。その混ざり方がうまくいっているってことです。それにしてもこの曲は、すごく心地がいい。亜美・真美の『黎明スターライン』もそうだけど、この曲に乗ると酔って、いい気持ちになりそう。
下田 そう。いいカンジに歌えているんじゃない!? って思っていまして……手前ミソですみません。今回、かなり歌唱的に自信アリ!
若林 言っちゃった! ただ私も、歌に対してちゃんと音を合わせなきゃ、テンポを合わせなきゃという思いが強すぎて、音楽を楽しむっていうことを忘れかけていたんですよ。だから今回、この曲を歌ってから、音楽に対する向き合い方が少し変わったような気がしています。『my song』を録った後に『Resolusion』や『livE』を収録したこともあり、いろいろな意味で、この『02』1枚を通じて成長したと感じています。下田はどう?
下田 ……え、振られると思ってなかったよ!(一同笑) えーと、このCDで変わったというよりは……。昨年は、歌を歌わせていただいたり、ライブをしたりといったことが多かったんです。特に『アイドルマスター』では、楽曲とひたすら何年も向き合っていることもあり、『アイドルマスター』の収録をし始めたころとは、音楽に対する意識が大きく変わってきています。曲というのはギターがあって、ベースがあって、それぞれいろいろな音が混ざり合っているものですから、上手に歌うだけじゃなくて、そうした音1つ1つが大事なのだと。レコーディングでも、1つ1つの音を意識するようになってから、歌いやすくなってきました。yuraさんにも『my song』で下田さんは変わったと褒めていただいて、テヘヘ。普段は(yuraさんが)褒めてくださらないですからねー。
若林 今までも歌うことに向き合ってきた私たちですが、“音楽に対して”ではなくて“役者として”向き合っていた点があったってことですね。
下田 そうそうそう、それが言いたかった! 私たちは声優で、歌う曲はキャラソンですから、しっかりとキャラクターのイメージを出すことは間違っていないと思うんですけれども、それだけではなくプラスアルファとして、キャラクターとして歌いつつも、音楽も表現できるようになってきたんですよ。
若林 これまでは音楽を役者視点から見ていたんですが、それだけだと限界が来るな、と感じていたんです。「芝居だとこう表現するのに、歌でそう表現すると汚い」とか。この『02』では、そうしたところもきっちり向き合って、歌い手としての方向からアプローチすることができたのではと思っています。自分たちに合った曲を作っていただいているのもあるし、(CDの)コンセプトがしっかりしていることもあるので、それぞれの曲に合うそれぞれの歌い方を、無理なく作りすぎずにできているのではないかと思っています。
若林 この曲は……(キーが)低いし、高い(一同笑)。
下田 ……そこから入るんだね。私はとっても歌いやすかった。ただ、AメロとBメロがちょっと低かったかな。
若林 そうか、下田はこのキーは歌いやすいんだっけ。キーの低いところでキャラクターの声を表現するのは難しいんですよね。それとこの曲は(『アイマス』キャラクター)全員で歌うべき曲だと思った。2人だと、ちょっと足りない気がしない? うちらの声はかなりシンクロしていて、1つの声としての厚みは出ているから、そこに今まで録ってきた春香ややよいの歌声を重ねたら、厚みが増して、きっともっと盛り上がる曲になるんじゃないかな。
下田 『02』の新録曲は亜美・真美の正統派な曲から少しズレていると思うんですが、『L・O・B・M』はかなり正統派だと思うんですよ。きっちり亜美・真美。もちろん(CDに入っている曲は)どれも亜美・真美が歌っているんだけど、皆さんが一番イメージとして浮かべやすい亜美・真美が『L・O・B・M』だと思うんですよね。そんな感じで歌いましたし、アッ!とね、ウットリ、ガッカリなど、感情表現の言葉が結構入っていて、それをしっかり表現することが私自身、好きだったりするので、そういった意味では気に入った歌い方ができました。
若林 『L・O・B・M』って、このCDの中に入っているものの中で一番、これまでの『アイドルマスター』らしい曲ですね。逆に『livE』や『黎明スターライン』は“新しい”。ある意味、このアルバムって本当に盛りだくさんですよ。
(C)窪岡俊之 (C)NBGI
■『THE IDOLM@STER MASTER SPECIAL 02』トラック