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2009年3月13日(金)

京都で開催された『マジック:ザ・ギャザリング』プロツアーを詳しくレポ!

文:電撃オンライン

 2月27日~3月1日にかけて、京都で開催されたTCG『マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)』の世界大会“プロツアー京都”。その模様をレポートしていく。

 『MTG』は、1993年に世界初のトレーディング・カードゲームとして誕生したもの。現在では世界60カ国、9つの言語にわたって発売されており、プレイヤー人口は700万人をはるかに超える人気ゲームだ。プロ制度の導入や大規模な大会の上位入賞者に多額の賞金が出るなど、今やゲームという枠にとどまらず、1つの競技、頭脳スポーツとしての地位を確立しつつある。

 近年、この『MTG』の国際舞台における日本人プレイヤーの活躍には目ざましいものがある。2005年の世界選手権では日本勢が個人戦の総合優勝、国別対抗団体戦の優勝の2冠を達成しており、2006年も個人戦は優勝、団体戦でも準優勝を飾っている。もちろん、2007年、2008年の世界選手権においてもベスト8に選手を輩出しており、加えて年間最優秀選手に贈られる“プレイヤー・オブ・ザ・イヤー / Player of the Year”の称号も、2005年~2008年まで、すべて日本人選手が獲得している。

 今回のプロツアー京都でも、全体の2割ほどにあたる71人の日本人プレイヤーが参戦しており、その中から棚橋雅康選手と山本明聖選手の2名がベスト8へと進出。残念ながら決勝までコマを進めることこそできなかったが、プロツアー初参戦という新進気鋭の2名の活躍は、マジックにおける日本の層の厚さを存分に知らしめる結果となったと言えるだろう。

 では以下に、プロツアー京都の模様を実際に体験したことなどを交えてお伝えしていく。

▲本選の中で特に注目される組み合わせはフィーチャー・マッチと呼ばれ、別卓で試合を行う。プレイヤーやジャッジはもちろん、観戦しているギャラリーまで表情は真剣そのもの。▲こちらは優勝者に贈られるトロフィー。シンプルなデザインが、ただのカードゲームではなく競技としての『MTG』の側面を物語っている。

 プロツアーの本選では、各国の予選を勝ち抜いてきた350名超の選手たちが熱い戦いを繰り広げていたが、プロツアーやグランプリのように、プレミアイベントと呼ばれる大規模な大会では、大会の本選とは別に数多くのサイドイベントが併催される。こちらはプロツアー本選の参加者でなくともマジックに興味を持っている人であれば、誰でも楽しめるものとなっている。

 このプロツアー京都でも、次回以降のプレミアイベントへの参加権利を取得できるトライアルや、人数が集まり次第開催されるミニトーナメントなどのイベントをはじめとして、『MTG』の開発スタッフや歴代の名プレイヤーたちに挑戦できる“チャンピオン・チャレンジ”や、カードのイラストを手掛けるアーティストたちのサイン会、会場の床に直接描かれたトリック・アートのパフォーマンス、海外のバイヤーたちによるショップ展開など、会場を散策するだけでも『MTG』を存分に味わうことができる。また、来場するだけで、箔押し仕様の記念カードがもらえるというのも、ファンにはうれしいポイントといえるだろう。夜になってからも、レアカード1,000枚をかけた“マジック・ゲームショー”が開かれるなど、会場にいれば1日中『MTG』を楽しむことができるようになっているのだ。

■ 体験その1・“チャンピオン・チャレンジ”に挑戦してみる ■

 というわけで、電撃オンライン取材陣もさっそくプロツアー京都を味わってみることに。まずは“チャンピオン・チャレンジ”のコーナーで、ウィザーズ社の射場本正巳さんにお相手していただいた。射場本さんは、かつては“日本三大地雷”と呼ばれるほど個性的かつ高度なデッキ構築力で、数多くのデッキを生み出してきた名プレイヤーだ。

 今回、筆者が使ったのはナヤカラーと呼ばれる白・赤・緑のデッキ。現在発売中の最新セット『アラーラの断片』および『コンフラックス』で取り上げられている3色の組み合わせの1つで、強力なクリーチャーと攻撃的なスペルで相手を圧倒する、非常にわかりやすいコンセプトのデッキだ。対して射場本さんが使っているのは、どうやら多色のコンボデッキ。耐久力のあるクリーチャーで序盤をしのぎ、必殺のコンボを決める。過去、多彩なコンボデッキを開発、実用化させてきた射場本さんならではのデッキである。

▲こちらは、“チャンピオン・チャレンジ”のコーナー。ある意味、一番気軽に世界レベルを体験できる場所とも言えるだろう。

 序盤、手札に恵まれた筆者はマナを生み出すエルフを召喚し、そのまま巨大クリーチャー《長毛のソクター》を召喚。対して射場本さんは土地をセットし、召喚することでライフを回復させ、さらに、やられても一度だけ自動的によみがってくる《台所の嫌がらせ屋》で、コンボ完成までの時間を稼ごうとする。

 ここで筆者は一時的に相手のクリーチャーを自分の支配下に置く《脅しつけ》で《台所の嫌がらせ屋》を排除して総攻撃。ライフの半分を奪い取ることに成功する。しかし続くターン、射場本さんがプレイしたのはデッキの中から好きな土地を持ってくる《風景の変容》。“秘匿”と呼ばれる特殊能力を持つ土地が並び、場には一気に危険な雰囲気が。このままでは時間を稼がれた末にコンボ発動かと思われたが、筆者の次のドローは、好きなパーマネントをゲームから取り除ける《忘却の輪》。これで、射場本さんの支配下に戻った《台所の嫌がらせ屋》を除去し、再び総攻撃。さらに手札から火力呪文《火葬》をプレイしてライフを削りきり、なんとか勝利することができた。

▲射場本さんとのデュエルの模様。射場本さんのデッキの本領を見ることはかなわなかったが、もし発動していたら、いったんどんなコンボが飛び出していたのだろうか?

 遊べば遊ぶだけ強くなる『MTG』というゲーム。それを世界レベルのプレイヤーと、カジュアルな雰囲気の中で戦うができる「チャンピオン・チャレンジ」。また開催されることがあれば、ぜひ足を運んでいただきたい企画である。

■ 体験その2・アーティストのサインをもらってみる。 ■

 続いて取材陣は、アーティストのサイン会の列に並ぶことに。プロツアー京都にはトッド・ロックウッドさん、D・アレクサンダー・グレゴリーさん、ジェレミー・ジャーヴィスさんの3名が来日していた。いずれもトーナメントをにぎわしたカードを手掛けたアーティストたちで、ロックウッドさんは《絶望の天使》や《カヴーのタイタン》、アレクサンダーさんは《十字軍》に《けちな贈り物》、ジャーヴィスさんは《ロクソドンの戦槌》や《水辺の学舎、水面院》のイラストを手掛けている。また、アレクサンダーさんとジャーヴィスさんは《ザルファーの魔道士、テフェリー》を合作してもいる。

 列に並ぶこと10数分、いよいよ筆者の番が回ってきた。筆者が今回サインをお願いしたのはアレクサンダーさんの《迫害》。色を1つ選び、相手の手札からその色のカードをすべて捨てさせるという強力なカードだ。また、下の写真にあるようにカードの強さ以外にも、淡い青色で描かれた牢獄と描かれた人物の表情が独得の冷たさ、恐ろしさを感じさせてくれる、非常に雰囲気のある1枚だ。

▲アレクサンダーさんにサインをいただく。イベント参加の記念品としてはこれ以上ないものになった。画像背後に写っているが、2月6日に発売された新エキスパンション『コンフラックス』でその姿を現した《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》も彼の作品だ。▲自分で用意したカード以外にも、その場でアーティストプルーフというイラストカードを購入して、それにサインをもらうことも可能。前述の《迫害》と《ニコル・ボーラス》の他、《エルフのチャンピオン》や《けちな贈り物》にもサインをいただいた。

 このように、サイドイベントの内容が非常に充実しており、さまざまな方向から『MTG』を楽しめるようになっていた今回のプロツアーだが、それに加えて、大会開催地が京都ということもあって、観光もおおいに魅力的なものであった様子。会場で何人かのプレイヤーに話を聞いたところ、大会の他に1日、観光のための時間を取っているという答えが多く、清水寺から始まる細かな京都観光プランまで教えてくれた外国人プレイヤーもいた。『MTG』の販売元であるウィザーズ社は、世界各地でのイベント開催にあたって“Play the Game,see the World”という理念を提唱しているが、そういった意味では今回のプロツアー京都は、成功をおさめたと言えそうだ。

▲会場の入り口付近には、初心者向けにPCで基本的な『MTG』のルールが学べたり、試合を体験できる場所も用意されていた。▲一般のプレイヤーも参加できるサイドイベントが盛りだくさん。これは8年前に発売された『インベイジョン』ブロックのカードを使ってのミニトーナメント。長い歴史があるのも『MTG』の魅力の1つだ。
▲大迫力のトリック・アート。描かれているのは、現在の『MTG』の顔とも言える、“プレインズウォーカー”と呼ばれる魔法使いの1人だ。▲『MTG』の世界観をあらわす垂れ幕。狡猾で強大なドラゴン、ニコル・ボーラスの野望を阻止するべく、4人のプレインズウォーカーが立ち向かう。カードに描かれるストーリーを追うのも『MTG』の楽しみと言えるだろう。

 なお、4月18日~19日には“グランプリ神戸”が開催となる。神戸国際展示場で開催されるこのイベントでも、上で紹介しているようなアーティストのサイン会(ロブ・アレクサンダーさん)や、彼が描いた<<嘆きの井戸、未練/Miren the Moaning Well>>がもらえるチャンスとなる“原画大会”などの併催イベントも予定されている。詳細は随時更新されるこちらのページでチェックしよう。

 次回の記事では、棚橋・山本両選手が出場したトップ8の戦いの模様を中心にディープな記事をお届けしていく予定だ。こちらも楽しみにしていてもらいたい。

(TEXT by ねこひげ合同会社/ゆば)

■グランプリ神戸 概要
【開催日程】2009年4月18日~19日
【会場】神戸国際展示場

■プロツアー京都 概要
【開催日程】2009年2月27日~3月1日(※すでに終了)
【会場】京都市伏見区“パルスプラザ”


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