2009年5月15日(金)
4月30日に発売となりました、PSP用ソフト『とらドラ・ポータブル!(以下、とらドラP!)』。皆さんはもう遊んでいただけましたでしょうか? 担当も亜美ちゃん90点エンドにDOKIDOKIしながら日々プレイしております。
さて、そんな今回は『とらドラP!』も発売されたということで、竹宮先生インタビューのこぼれ話などをお届けしようかとッ! 正直、あんまりゲームと関係ありませんので、肩の力を抜いてゆるりと読んでいただければと。
ちなみにゲームや原作に関するインタビューは、3月26日の記事と4月2日の記事の2回にわたって掲載しておりますので、まだ読んでいない人はチェックしてくださいね。そして『とらドラP!』の情報は『週刊とらP!』で! では竹宮先生のインタビュー番外編を、どうぞご覧くださいませ~。
――竹宮さんといえば、近況を赤裸々につづったあとがきも名物だとは思うんですが。
竹宮先生:あの部分は私の日記帳です(笑)。
――顔毛のその後は、どうですか?
竹宮先生:そういえば、あとがきに書きましたね、毛が生えてくるフェイスクリーム(笑)。実は今日、剃ってきたんですよ……指毛も剃りました。手にも塗っているんで、顔同様にフサフサしちゃって。でもね、女友だちに会った時に、「あるクリームを付けたらすっごい顔毛が生えてきた」って相談したら、彼女がじっと見つめてきて、「ああー……ほんとだねえ……で、どこで? いくら? なんていうメーカー? ネットで買える?」って素早くメモって、同じクリームを即買ったんですよ。「いいんだ顔毛生えて」って思いましたね(笑)。
―― ……顔毛って、生えてうれしいものなんでしょうかね?
竹宮先生:生命の息吹が感じられるのは確かです。おらが顔の細胞、まだ生きてる……! っていう(笑)。ちなみに、そのクリームの中には、DNAが入ってるんですよ。
――D……NAですか?
竹宮先生:ええ。書いてありました。DNAが入ってるって。
――DNAって、遺伝子のDNAなんでしょうかね?
竹宮先生:そうなんじゃないでしょうか? 誰のかわかんないですけど(笑)。よくわからないんですが、入っているらしいです。
――それで、モッハーって生えてくるんですかねぇ。わざわざ書いてあるってことは、そのクリームのウリだったのかもしれませんね。
竹宮先生:そう。DNAと、RNAが入ってるっていう。
――RNAですか……。ちなみにその後、お肌はいい感じなんでしょうか?
竹宮先生:……なんとなく?
――なるほど。目に見えてわかる一番の効能は、“毛が生える”だと(笑)。
竹宮先生:そうなんですよね(笑)。下まつげとかもフッサーって。フェイスクリームというより、なにか別のものですよね、もはや(笑)。
――確かに(笑)。それと、あとがきで個人的に印象に残っているのはご飯のお話ですね。読んでてとてもお腹がすいてきちゃって。
竹宮先生:(笑)。結局、貧乏舌っていうかB級モノが好きなので。ホントしょうもないものを食べ続けています。しかも、1回ハマると延々とそれを食べ続けるタイプなんですよ。
――最近だと、何かハマっている食べ物はありますか?
竹宮先生:最近ですか? 最近は逆に、今までハマっていた奴らとちょっと距離を置いているんですよ。たらことか。会う人会う人に、「あんなに食べたらいけないよ」とか言われたりして。不意に学生時代の友人たちから、「本出したんだってー、聞いたよー。たらこスパばっかり食べてたらダメだよー」みたいな感じにも言われて(笑)。なんか、自分が思っていた以上に、周囲の人々にご心配いただいてたみたいです。
――たらこスパは控えるようにしている、と。
竹宮先生:そうです。寂しい食生活ですよ。それに歯医者に行き始めたこともあって、本当に日々の食事にJOYが足りない。今、ちょいちょい治療中なんです。ですから、硬いものは食べられない。……って深刻に言ってみたものの、まあ、硬いもの以外はおおむねJOYしてるんですけどね(笑)。
――春になると(※インタビューは、3月中旬に行いました)、おいしいものがいっぱい出てきますからね。特に今はイチゴなんか並んでますし。
竹宮先生:ウチの近所のお店だとイチゴの甘さを書いてくれるんですよ。「普通・甘い・すごい甘い」って書いてあって、まだ「普通」か「甘い」なんですよ。「すごい甘い」に丸がついたら買おうかと思って毎日見てます、あまおうコーナーを。獣の目で(笑)。
――なるほど(笑)。どうせ食べるんなら、甘いほうがいいですもんね。
竹宮先生:ですよね。
――ちょっぴり食べ物つながりなんですけど、昨年の秋には「山に登りたい、石を見たい、山菜を食べたい、キノコ採りたい」とおっしゃっていたようですね。その思いは今も変わらない感じなんですか?
竹宮先生:それが……山に登りたいと言った理由の1つに、“かわせみ”を見てみたいというのがあったんですね。「山に行ったら、さぞかしキレイな小鳥がいるんだろうな! 私の青い鳥も見つけられるかもしんねーな!」って。そしたら近所にいたんですよ……駅ビルに。看板にとまってました。それで、山に行く理由をやや見失った感はあります。
――ちなみに今、理由の1つと言っていましたが、その他には何か理由があるんでしょうか?
竹宮先生:そうですねえ……、ひょっとすると癒されたいのかもしれません。
――『とらドラ!』も最終巻を迎えて、一段落ついたかと思うんですが、それでもやっぱり癒されたいという気分は……。
竹宮先生:なくなってないですよ、生きているだけで疲弊しきっていますもん。ざらっざらの、洗いざらしの破れデニムの膝みたいに毛羽立った生活ですもん(笑)。しっとり癒されたいですよ……夏になったら南の島に行きたいですねえ。ただ、今現在バリバリ進行中の仕事がないということで、とりあえずは結構のんびりした時間を満喫できてはいます。
――そうですか。のんびりした時間を満喫しているということですが、具体的に何かしてらっしゃることは? ゲームをやったり、本を読んだりとか。
竹宮先生:本を読んでいますね。ある時期からしばらく全然読めなかったので、それを取り返すみたいに。ちょっと前は、何を読んでも仕事とつなげちゃうというのがあったんです。作り手側の意図を読もうとしちゃったり、技巧を見ようとしちゃったり、商売の方法に目がいっちゃったり……雑念だらけすぎて、本の中に没頭できなかったんです。「もう本やマンガを一生楽しめないのかもしれない、そういう感性は失われたのかもしれない」と思うこともありました。楽しくないから、読もうという気力も沸かないですし。でも、原稿でとにかく忙しかった時期が終わって、さあ時間ができた、と思ったら、自然になにか読みたいという欲求が蘇ってきて。ごく単純に、すごく疲れていたから体力も集中力も切れていて、余暇を楽しむ元気がなかったんだな、って思いました。
――最近だと、何かおもしろい本はありましたか?
竹宮先生:そうですねえ……。『ブーリン家の姉妹』とか。書店で見かけて、映画にもなっているみたいだし、歴史文芸ものかしら、と思って読んでみたら、なんか……なんか違って……愛憎ドロドロで……。
――愛憎ドロドロとだけ聞くと、まるでメロドラマみたいですね。
竹宮先生:そうなんですよ。まさに昼ドラですよ。姉妹で「あんたなんか牝の家畜」「あんたこそ牝の家畜」的ノリでグルーヴィーに罵り合ってましたよ。上下巻だったんですが、上巻だけ買って読んでみて、「なんか違う……違うが、これは!!」と思って翌日すぐに下巻を買いに走りました。
――原稿執筆当時は、朝起きて昼ぐらいに喫茶店に行って書いて、一段落したら店じまいっていうサイクルで生活されていたようですが、執筆を終えて変わったりしましたか?
竹宮先生:わりと自由なノリで毎日生活してますね。ただ、いい歳なので、若いころみたいに寝たいだけ寝る! 寝続ける! みたいなことはできなくて、朝はやっぱり起きちゃうんです。で、やることもなくただボーっと……あ、いや、ないわけじゃないんですよ。普通に人生を生きてますよ(笑)。でもまぁ、緩急あったほうがいいですからね。今はちょうど、緩急の緩なんでしょう。
――いつまでもお休みばっかりでも飽きちゃいますからね。
竹宮先生:そ……うですね(笑)。
――ファンへのメッセージは前回伺いましたので、最後にこれからについて少しお聞かせ願えますか?
竹宮先生:終わったばかりで「じゃあまた新作で!」というのも、ちょっぴり違和感があるんですよね。私自身が、「これは好き」って思った作品は永遠に書いていてほしいって思うタイプですので。現実的にはそうもいかないんでしょうけど。
――「まだまだ足りなかったなぁ」という気持ちを作品に残しているということなんでしょうか?
竹宮先生:正直に言ってしまうと、そういう気持ちはありますね。今は、終わってしまって切ないような気持ちのほうが強いです。ただ、きっと『とらドラ!』の世界観では皆(キャラクターたち)は変わらずに、明るく楽しくやっているんだろうなって思います。彼らの未来はこれから何十年も続いていくはずですので、これからも竜児や大河たちを仲のいい友だちのように思っていただけたら幸いですね。
というわけで、前2回のインタビューでは掲載を見送っていた幻(?)の竹宮先生インタビューをお届けいたしましたが、いかがでしたでしょうか? そして今回、バンダイナムコゲームスさんからプレゼントをいただいちゃいました!!
「プレゼントが欲しい!!」という人は、5月21日更新のプレゼントコーナーをご覧くださいませ~。それではまた会う日まで!! イタリア行きてえ!
(C)竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス/「とらドラ!」製作委員会
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