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2009年6月2日(火)

マイクロソフトのカンファレンスを終えて【その2】

文:電撃オンライン

 取材班がロサンゼルスの現地から綴る、E3 2009の四方山話。随時記事をアップしていきます。

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 E3でのプラットフォームホルダーのカンファレンスって、例年、会場がギンギンに冷房が入って冷えているんです。今年のE3は天候がそれほどよくなくて、肌寒い感じのLAで行われているにもかかわらず、やはりギンギンなんです。寒くて寒くて、ホント震えながら見ている自分の隣では、Tシャツに半ズボンの外人がそ知らぬ顔で、というよりは、暑いくらいな感じ(偏見です)でたたずんでいる。その彼(タトゥーあり)が、自分に負けずに会場を見ながら、ごん太な手で、デバイスを壊して――もとい、いじっている。ここ数年、電撃オンラインの“E3どうでしょう”もそうですが、会場からスマートフォンを使ってリアルタイムにUPしている風なオーディエンスが多く見られるようになった(電撃オンラインはかなり先駆けてたと自負するが)。ふと思うのだが、あれは仕事なのか、個人的な趣味なのか? と考えていたら、TwitterとFacebookが360上で! という話が壇上でなされている。偶然の一致に、あらびっくりである。

マイクロソフト

 TwitterとFacebook、mixiとかの話をすると、長くなるので割愛するが、Xbox 360のみならず、いまやゲーム機は、何でもお腹の中に取り込んでしまう悪食なくじらのようである。というか、取り込まざるを得ないのであろう。エンターテインメントの御旗のもと、ゲーム以外の過剰なサービス合戦になっているように個人的に思う。ゲーム機という考えは古すぎるのかもしれないが、あくまでゲーム機として見ていたいのである。とはいえ、その“ゲーム”という言葉自体も、時代とともに解釈が違ってきていると思う。そういう意味では自分は古くてダメなオジサンなのかもしれない。ただ、純粋にゲームを楽しめるためだけにテクノロジーを使って、純粋におもしろいゲームを作って、純粋におもしろいゲームを楽しみたい。愚痴っぽくなる前に、問題の“Project Natal”である(今の話とつながるかもしれないが)。

 まずは“Project Natal”とは――であるが、堅い言い方をすると、RGBカメラ、深度センサー、マルチアレイマイクロフォンと、ソフトウェア起動のためのカスタムプロセッサを内蔵した機器。センサー(たぶん2つあったカメラっぽいものだと思う)がユーザーの動きを3Dで追跡して、コントローラを使用することなく、ゲームを操作できるようにするのである。その上、ユーザーの顔を認識し、発した言葉も理解できるという。こう書くと、PSのEyeToyや、Wiiの一連の操作と同様なものと思われるが、明らかに次元が違うのである。

 カンファレンス終了後、数人のゲームクリエイターさんとこの発表について、少し話したが、テクノロジー的にはすごいことなのらしい。わかりやすく言うと、少し違うかもしれないが、ゲームでキャラの動きを作る際、モーションキャプチャーっていう技術を使うんですが(モジモジクンスタイルに、関節ごとにピンポン玉みたいなものを付けて映像を取り込んで、コンピュータでその動きをゲームキャラの動きにするやつです)、“Project Natal”は瞬時にそれと同様のことを行うようなものである。クロマキーもピンポン玉(正式名称は知りません)もなく、人の関節を判断する、超~がつくほどすごいものだ。あと、顔認識にしても、最先端のセキュリティシステムとして、超高級マンションで、それもほんの一部で採用されている技術と同じようなものであるらしい。先ほども言ったが、ゲームは悪食である。それは、ゲームを支えるテクノロジーの分野でも。それまで、ゲームと関係のなかった技術も、飽くなきクリエイティビティを求めるために何でも吸収するのである。

マイクロソフト

 技術的にはとってもすごいのだが、自分としてはすごいのはわかるけど、だったらWiiでもいいし、もっと言うと“ボタンを押す”でもいいかもって。要は、ゲーム自身がやはり重要であり、技術があるからゲームを作るとか、旧来の操作はダメとかいうことではない。あくまで主役はゲームであり、ゲームユーザーなのである。

 かつてモノクロのバーと丸でテニスプレイヤーを表現していたころ、2Dで動くプレイヤーの立体的な動きを想像したり、汗をかくところを想像したり、顔の表情を想像したり――その表情や汗も、もはや表現できる時代だ。当時は想像であったものが次のステップでは実現し、人々に感動や熱狂を与える。しかしながら「昔の方がよかったね」と脳内補完をしながらのプレイもまた、人間だからとても楽しいのである……チープなのだが。なんだか偉そうに他愛もないことを書いているが、“Project Natal”を見てすばらしいゲームの登場に期待した。

 これまでの流れで、日本のユーザーが“Project Natal”にどのように反応するか、気になるところであるが、これを使ったSLG、たとえば恋愛シミュレーションとかは、ヤバげな気がする。うぁ、リアルにリアルな想像をしてしまった。今後も賛否両論があるであろう。今後の動向が期待される。

 いろいろなサプライズに出会えるのがE3。今回、MSのカンファレンスだけでもさまざまな種類の感動と驚きに出会えた。明日以降も楽しみだし、ここで直接見たり出会ったものが、数カ月後だったり数年後だったり、そのままの姿だったり、姿を変えて現れる。自分の中の大きな蓄積になる。だからE3に来ることが止められないのである。では、明日(正確には4時間後に始まる)任天堂、SCEのカンファレンスと、EEEエキスポ。たくさん感じてきたいです。そして、ほんの少しでも皆さんにも伝えられたらと思います。

 あ、こちら発の新作の話をしていないので、それも含めて続きを(体力が続けば)頑張ります。(電撃・江口)

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