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2009年6月3日(水)

新規プレイヤー獲得が今後のカギ――Wiiに見る、任天堂の今後の戦略

文:電撃オンライン

 任天堂カンファレンスの速報でもお伝えしたとおり、Wii関連の動きが何点か発表されたので、そちらについてお伝えする。

 カンファレンスで任天堂代表取締役社長・岩田聡氏の発言にもあったように、任天堂はさらなるゲームユーザーの獲得を目指して、新たなゲームの方向性を模索することになるようだ。任天堂の調査によれば、日米欧における現在のアクティブなゲームプレイヤー人口はおよそ2億9,500万人、ゲームを今後プレイするかもしない人の数は1億4,900万人だという。同社はこの1億4,900万人をどのように開拓していくかに重点を置いていると、岩田社長が語っていた。

 この姿勢の裏づけとなるのが、今回発表されたWii関連の4アイテムだ。まずは『Wii Fit Plus』。プレイヤー個々人のニーズに合わせて、まるでスポーツマネージャーのようにフィットネスプログラムを細かく作成できる。また『Wii Fit』から6つの筋肉トレーニングとさらなるアクティビティ、そして15のバランスゲームを追加。ただのエクササイズゲームではなく、身体を使ったゲームとしての完成度を高めようとしているようだ。発売は北米で今秋を予定しているとのこと。

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▲“部分やせ”にも対応可能なほど細かいプログラムが組める『Wii Fit Plus』。右の画像は、オシリで風船を割ってポイントを獲得するバランスゲーム。

 そして『Wii Motion Puls』と『Wii Sports Resort』。これまでゲームコントローラの新たな可能性に挑戦してきた任天堂が出した1つの答えが『Wii Motion Puls』であり、Wiiリモコンの性能をさらに強化させるデバイスだ。Wiiリモコンのカバーに内蔵される形状で、従来のカバーと代えるだけで簡単に装着できる。これを利用するとWiiリモコンの感度が飛躍的に上昇するので、特にスポーツ系のタイトルには欠かせないデバイスとなりそうだ。

 『Wii Sports Resort』では、そんな『Wii Motion Plus』を使用する。すでにタイトル自体は以前から発表されていたが、『Wii Motion Plus』に対応したことで、さらに細かい操作や大胆なアクションが可能になりそうだ。コントロール性能の向上も、潜在的ユーザーを獲得するためには重要な要因だとの考えが伝わってくる。ちなみに『Wii Sports Resort』は、『Wii Motion Plus』を同梱したバージョンの発売も予定されている。他にも『Wii Motion Plus』対応のタイトルとして、ACT『Red Steel 2』や『タイガー・ウッズ PGA TOUR 10』、『グランドスラム・テニス』が予定されているので、そちらにも注目したい。

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▲手先の細かい動作もしっかりと感知できる『Wii Motion Plus』。複数のWiiリモコンが部屋のどこに位置するのかも、より高い精度で認識するらしい。
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▲『Wii Sports Resort』に収録されるアーチェリーゲーム。『Wii Motion Plus』を使用することで、より敏感に手もとの動きに反応し、狙いどおりに的を射抜けるようになる。

 そして最後に紹介するのが、ゲームの異なる方向性を見出し、新規ユーザー獲得のカギを握りそうなデバイス『Wii Vitality Sensor』だ。指先の脈拍を検知するコントローラだが、人間の不随意活動である脈拍が、ゲームにおいてどのようにフィードバックされ、どのような楽しみをもたらしてくれるのか。その可能性を追求する新デバイスから目が離せない。岩田社長によれば、指先から脈拍を感じることでプレイヤーの緊張状態を感知し、それを和らげる、といったゲームもこれからは作れるのではないかとの言葉があった。

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▲コントロールできない“脈拍”という生態活動が、いかにしてゲームに組み込まれ、どのような動作を生み出すか、ゲームユーザーならずとも気になるところではないだろうか。

 ここ数年と同様に、ゲームユーザー拡大戦略を引き続き進めていくことが明らかになった任天堂のカンファレンス。今後どれだけの新規プレイヤーを獲得できるか、一ゲーマーの筆者も期待したいところだ。

(C)2009 Nintendo


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