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2009年6月17日(水)

試行錯誤を楽しんでほしい! 『勇者死す。』を桝田省治さんと河上京子さんが語る

文:電撃オンライン

 ジー・モードはモバイルサイト・R.P.G-modeにおいて、ケータイアプリ『勇者死す。ディレクターズカット』を配信している。今回、その開発スタッフにインタビューを行った。

『勇者死す。』

 『勇者死す。』は、魔王を倒したものの自らの命を失ってしまった勇者の視点でつづられるRPG。魔王を討伐し、自身も力尽きてしまった勇者が、5日間だけよみがえって、魔王がいなくなった世界を冒険していくという物語だ。シナリオとゲームデザインを桝田省治さん、キャラクターデザインを山下しゅんやさん、音楽を伊藤賢治さんという豪華クリエイターたちが担当している。

『勇者死す。』 『勇者死す。』
『勇者死す。』 『勇者死す。』

 先月5月25日に『勇者死す。ディレクターズカット』の配信がスタート。桝田さんによる、エンディングやヒロインの台詞が追加されている他、各種ゲームバランスの調整がされている。

 今回は、桝田さんとプロデューサーの河上京子さんに、ゲーム開発のきっかけやディレクターズカット配信の理由についてインタビューしたので、以下にその内容を掲載する。

――勇者の死からスタートする『勇者死す。』ですが、このゲームの構想を思いついたのはいつくらいですか?

桝田:構想だけなら15年くらい前かな。具体的にゲームとして思いついたのは、アルファ・システムで『俺の屍を越えてゆけ』を作っているころで、昼飯を食べている時に冗談混じりに「“死んだところから始まるゲーム”とか“勇者が魔王を倒した直後から始まる”っていうのはアリだよね?」と話していたんですよ。『俺の屍を越えてゆけ』は、死んで生まれて、死んで生まれてというサイクルがある。そこから派生して「死んだところから始まって、数日生きて葬式で終わるというのはどうかな?」と。

――クリエイター陣は、どのような経緯で集められたのですか?

河上:私と共同プロデュースをしているピラミッドの飯淳さんから電話があって、『勇者死す。』の企画を聞きました。私としては、もしやるとしたら桝田省治という名に恥じない人を集めたいと思いましたね。その後、「こういう絵なら色っぽいよね」と山下しゅんやさんを、「音楽が伊藤賢治さんだったら、たまらなくない?」という感じで、こちらから希望を出していったら、第1希望で決まっていきました。ゲーム業界的には、スタッフ全体がレジェンド的なメンバーになっている企画なんですが、その人たちですら看板の3人に関しては「萌える!」と言っていましたね。でき上がったものを見て、モチベーションを上げて制作するというサイクルでした。

桝田:あとから振り返ると、「よく集ったなあ」って思いますね。スタッフは決まらない時は全然決まらないけど、決まる時はスッと決まるんですよ。ホントにタイミングですね。

――最初からケータイのアプリとして構想していたのでしょうか?

桝田:たまたまですね。1つは制作期間や制作費の問題。そしてもう1つは、飯くんと河上さんのパイプの太さの問題。他のハードなら、ボリューム的な問題や、工数の問題とかがあったんですが、それがクリアしていたのでケータイで出したと。

――最初企画していた段階から、変化・追加されたポイントなどはありますか?

桝田:僕が制作する時にまず考えるのはゲームの画面ではなく、“プレイヤーの表情”や“心の葛藤”なんです。他のゲームと違った部分で心を動かすオリジナリティにこだわるんですが、商品化した時の形というのは細かいところをあんまり気にしないんですよ。この企画を立てた時には、音楽やゲームサイズ・ハードなどは考えていないんですね。後からベターなものをチョイスしたという形ですが、自分のイメージしていたものは表現できたと思います。

――5日間という限られた期間の中で物語が進行していく上で、気をつけたポイントはどこですか?

桝田:パラメータが落ちていくスピードと、時間の経過のバランスですね。定期的に一定の数値が落ちていくのか、途中から加速していくのか、最終的な数値などは、わりと考えました。僕はもうすぐ50歳になるんですが、体力だけでなく、記憶力も落ちる。……みんな、すぐわかるようになるよ(笑)。

(一同笑)

桝田:「この単語が出てこない」とか「前なら、電車が来る5分前に出れば間に合ったのに、無理になった」とか、「重いものが持てなくなった」とか。でも、我が家の場合なら息子に重いものを持たせれば、僕単体ではステータスは落ちていても、桝田家のパーティとしては能力は上がっているわけですよ(笑)。その感じを5日間でどう置き換えていくか、それに関してはあれこれ考えました。

――勇者が死ぬまでの期間を5日間としたのは?

桝田:河上さんから、ケータイのゲームはどんな人が、いつどこで遊んでいるかを聞いて、1回あたりのプレイは20~30分にするとか、1つのゲームプレイにかける時間は週刊の漫画と同様なんだとかを決めていったんです。ちらっと考えたのは、会社なり学校に5日間通って、行き帰りで1時間くらいの時間で1シナリオ終わるくらいのサイズにしようと。それをゲーム内の時間に置き換えたら、5日間だったという理由ですね。

河上:プラットフォームがケータイなので、ケータイゲームユーザーさんのスタイルを考慮して必然的に決まっていったという感じですね。

桝田:量的な問題もありますね。据え置きのハードなら10日間にして、キャラ数を多くして街が多くなる。そうなっていたかもしれません。逆にゲームブックやテキストアドベンチャーなら、3日間とかにしようとも思いました。

河上:最終的には5日間というのは、遊んでいて気持ちよかった、ちょうどいい感じだったので、これで行こうと。

――最初から、ゲームのラストシーンは勇者の葬儀にしようというのは、ぶれなかったんですか?

桝田:見せ方はいろいろあると思います。それこそ、3Dのポリゴンを使って遺影の向こうから見るとか、テキストベースなら女の子のグラフィックを出すとか。演出に関してはいろいろ考えましたが、勇者の葬儀で終わらせるというのは、変わりませんでした。

河上:リアルな人生で言うと、自分の葬儀って自分は見られないじゃないですか? 自分の葬儀を見られたらおもしろいと私は思ったので、イケイケで「やろう!」と。

――今回ディレクターズカットが配信されました。こちらはどういった経緯で出すことになったのでしょうか?

河上:ドコモでは最初、従量課金制で出したのですが、配信する手段を増やして、もっとたくさんのユーザーさんに遊んでもらおうと思ったからです。

桝田:月額課金として配信し直す時に、パラメータとテキストは修正してもいいということだったので、1年間で集めた反響を取り入れて作り直しました。

――具体的に桝田さんは、どんな遊び方を想定していたのですか?

桝田:1回目のプレイでは、トーマスじいさんしか来ない。来ても1人だけとか。それで「2回目はこうやろう!」と考え、4回目くらいで「やっと全員が葬式に参列してくれた」という感じになると思っていました。短いゲームなので、繰り返して探索していくだろうと。ところがユーザーさんのブログなどを読むと、1回目から何度もリセットして、葬式に4、5人参列するエンディングを見る人が多いみたいなんですよね。本作はプレイ時間が短いので、3回プレイしていろいろなエンディングを見るのと、リセットしてやり直していくのと、プレイ時間の合計は大して変わらないと思うんです。そう思うくらい、1回目のプレイに時間をかける人が多いようです。

『勇者死す。』 『勇者死す。』
『勇者死す。』 『勇者死す。』

――ディレクターズカットのポイントを教えていただけますか?

桝田:システムは変わっていませんが、今のプレイヤーのスタイルに合わせることで、自分が思っていたテーマに近付けています。

――具体的には?

桝田:最初の葬式は1人か2人しか来ないと思っていたので、そこのバリエーションを増やしました。ところが、4人か5人が参列するエンディングを増やしたほうがエンディングの数が多いと感じるプレイをしているようなので、そこのバリエーションを増やしました。ゲームバランスも、1回しか遊ばないのならば、最後の1日まで遊べるようにしたほうがいいと思ったので、若干ゆるめにしています。

河上:バランスは調整していますが、自由度が高くて説明も少ないので、1回目は何をやったらいいのか悩むユーザーさんもいるかも知れません。ですが、いったん遊ぶとやることがわかってくるので、2回目以降の楽しみを見出せると思います。たとえば、今回は「泣いてくれる人を増やそう」とか目標を決めて、それでダメならまた挑戦するとか、繰り返し遊べるゲームには仕上がっていると思います。

――5日間を何度も遊んでほしいと。

河上:5日間という限られた期間なので、1回のプレイでは全部の要素はできない。どの要素を埋めていくか、それが私はすごくパズル的なゲームだと捕らえていますね。そういう風に遊んでもらうとまた違うので、万遍なく遊んでもらいたいです。新規ユーザーさんはもちろん、すでに遊んでくださった方にも触ってもらいたいです。

――桝田さんはゲームの中に“死”をテーマにしていることが多いような気がしますが、死について、どのようなイメージを抱いていますか?

桝田:たまたまだと思うよ(笑)。『天外魔境II 卍MARU』や『リンダキューブ』、『俺の屍を越えてゆけ』のころって、結婚したり子どもができたりした。そうすると自分の最期も意識するようになる。だからそれが、ゲームの中に入っているんだと思います。

――最後にユーザーへメッセージをどうぞ。

桝田:失敗を楽しんでください。試行錯誤をぜひしてもらって、いろいろ遊んでもらいたいです。何も知らないでプレイしても、1回遊べば2回目以降の楽しみ方がわかってきます。「時間が半日詰められた」とかいろいろ発見してもらえるかと。

河上:どんな行動をしたかにより、ユーザーさん個人の性格が出るゲームだと思います。葬儀の結果を見て「自分はこんな人間だったんだ」という自分探しプレイをしてみてもいいかと。あとは、お安い価格で自分の葬式が見れるので、ぜひ。

『勇者死す。』
終わりから始まるRPG『勇者死す。』のディレクターズカット版は、ドコモにて5月25日より配信中。このゲームをきっかけに、自分の死や残りの人生について考えてみては?

(C)G-mode (C)Shoji Masuda / Pyramid Inc. ILLUSTRATION:山下しゅんや

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