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2009年7月21日(火)

『グラナド・エスパダ プラス』3周年記念オフラインイベントレポート

文:電撃オンライン

 ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下、HUE)は7月19日、PC用MMORPG『グラナド・エスパダ プラス(以下、GE)』の3周年記念オフラインパーティを開催した。

 東京都内で開催された本イベントは、日本での正式サービス開始3周年をプレイヤーと一緒に祝いつつ、次なる4周年へ向けて盛り上げていこうというもの。コスチュームデザインを手がける小林智美さんや、ゲーム内音楽を担当した作曲家の久保田修さんなど豪華ゲストが登場した。また日本オリジナルキャラクターやアイテム、イベントなどの最新情報の発表、さらに開発元であるimc GAMESのキム・ハッキュCEO自ら、2009年後半のアップデート概要を語った。

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 イベントは、まずHUEのキム・ユラ代表取締役のあいさつでスタート。氏は元々は韓国・T3 Entertainmentの社員だったが、7月にHUE代表取締役CEOに就任したばかりだ。続いてキム・ハッキュCEOと、『GE』日本プロデューサー中尾圭吾さんによる、今後の『GE』の展開が発表された。キム・ハッキュCEOは2009年後半のアップデートについて、より高い戦略性を楽しむ・時間に縛られないプレイ・オリジナルコンテンツという3つのキーワードを挙げた。

 “戦略性を楽しむ”ことについては、コロニー戦の一部システム変更と新スタンス追加の、2つの新要素を指している。まずコロニー戦のシステム変更はかなり大胆なもので、既存ユーザーからは賛否両論が予想される。占領に必要なコロニー数の増加、コロニーごとに異なる効果のバフ、そして毎月1回コロニーのデータがリセットされるというのだ。複数コロニーを制圧している大手の党でも、今後のコロニー戦では攻守ともにより緊張感が高まるだろう。

 そして新スタンス。『GE』ではレベル100以上をベテラン、エキスパートと呼び、ベテラン以上でなければ習得できないスタンスが用意されているが、その数はあまり豊富とはいえなかった。今後はエキスパート専用の新スタンス約20種、既存のベテランスタンスのアップグレード版が約23種、ノーマルスタンスにもアップグレード版68種が加わり、全111種類のスタンスが登場する。武器の構え方から戦闘スタイルまで変わるスタンスは『GE』の特徴であり魅力でもあるだけに、新スタンスの詳細公開が楽しみだ。

 “時間に縛られないプレイ”については、これまで一定周期でしか出現しないレイドボスをミッション化するという。従来は前回レイドボスを倒した時間から次の出現タイミングを予想し、予定時刻には党員が該当エリアを延々探しまわる必要があった。また、他の党員による横ヤリを防ぐために、深夜や早朝といった時間が選ばれることも多く、参加したくてもできないプレイヤーも多かった。ミッションはいわゆるインスタンスゾーンになるため、今後のレイドボス討伐は他プレイヤーからの妨害もなく、メンバー全員の都合がよいタイミングに始められる。すべてのレイドボスが一度にミッション化されるわけではなく、実装直後はグリフォンなど数種のボスからはじめ、プレイヤーの反応を見つつ追加していく予定だ。

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▲imc GAMESのキム・ハッキュCEO(写真左)と中尾圭吾プロデューサー(写真右)。▲前回レイドボスを倒した時間や、次回出現予定時間は各党で情報流出に気をつけるなど、レイドは本気のプレイヤーでないと参加しづらい空気があった。▲ミッション化でもっと気軽に遊べるコンテンツになることを期待したい。
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▲新スタンスやアップグレード版スタンスの実装は、プレイヤーにとってかなりうれしい要素だ。気になるのはスタンス習得の前提条件と、必要アイテムがどこまで有料アイテムになるのか、といったところだろう。

 “オリジナルコンテンツ”としては、日本プレイヤーがデザインした新キャラクター“ミフユ”を始め、バレリア、エミリア、カトリーヌの4人が新たな仲間候補として実装される。特に行方不明となった学者の父を探すエミリア、トルシェー屋敷で人形として存在していたはずのカトリーヌなど、キャラクターとしての性能とは別に、物語の展開も気になる編入NPCが登場する。有料キャラクターなのか、ゲーム内クエストのみで入手できるのかといったことは不明だ。

 また、メインシナリオも新たな展開があるようだ。新大陸グラナド・エスパダの名付け親の1人でもあるフェルッチオ・エスパダの遺産探し、十人貴族の正体も明らかになるらしい。新大陸開拓をテーマに掲げた『GE』には、実は本国とグラナド・エスパダの間に渦巻く陰謀、貴族たちの利権争いなど奥深いバックストーリーが設定されているので、NPCが聞かせてくれる物語、そしてそれにまつわるクエストの実装を楽しみにしていてほしい。

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▲着物風の不思議な衣装を着た、日本独自キャラクターのミフユ。日本人なのに金髪なんですね。▲あの可憐なエミリアに何が起きたのか? 悪女となったエミリアは化粧がちょっと濃い目。
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▲ガブリエラ姫の妹・バレリア。見た目はお姉さんよりもキツそうだ。 ▲人形ではなく実は生きていたカトリーヌ。どんなスタンスを操るのかが気になるところ。
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 次に中尾プロデューサーから、3周年を記念した設定資料集『ビジュアル&ヒストリーブック』の発売、過去最大規模となるワールドトーナメントの開催、人気イラストレーターによる新たなコラボ衣装などが、画像とともに紹介された。「2009年後半のキーワードは“チャレンジ!”です」と述べた中尾プロデューサーだが、そのチャレンジの内容として毎月最低2本のゲーム内イベント実施、3カ月に一度のオンライン座談会、3カ月ごとのアップデート実装を挙げていた。これらが本当に今後実現できるかどうか、現役プレイヤーは見守っていよう。

 なお、『グラナド・エスパダ』のコミカライズも決定しており、こちらはアスキー・メディアワークスの『電撃マ王』で2009年9月から掲載される予定。ぜひ一度『電撃マ王』を手に取ってみてほしい。

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 この他にも会場では、久保田修さんとS.F.A:Sevinさんによるミニライブ、キム・ハッキュ氏サイン付ポスターなどがもらえるジャンケン大会などが行われていた。イベント終了後、imc GAMESのキム・ハッキュCEOと、HUEキム・ユラ代表取締役にインタビューすることができたので、最後にその内容を紹介しておこう。

──今日のイベントを見ての感想や、日本の『GE』ファンと直接会話して感じたことなどを教えてください。

キム・ユラ:韓国ではこういった形でプレイヤーさんとお会いすることは、ほとんどありません。ですが皆さんの真剣な表情を見て、もっとこういったプレイヤー参加型のイベントを増やし、頑張らなければと思いました。

──コロニー戦のシステムリニューアルの理由を教えてください。

キム・ハッキュ:現在は同じ勢力の党が複数のコロニーを制圧してしまい、なかなか新規の党がそこに食い込めない状況となっています。その解決策として、1カ月に一度のコロニー戦データのリセットや、制圧したコロニーごとに違うバフの導入などを決めました。

──本日の発表内容について、新キャラクターが4人とも女性なのでイケメン男性キャラクターがほしいと会場から要望が出ていましたね。それについてはいかがでしょう。

キム・ハッキュ:十人貴族の正体が今後のアップデートで明らかにはなりますが、残念ながら彼らは編入NPCではありません。しかしイケメン男性キャラクターについては、ぜひ検討したいと思います。

──新編入NPCでは、またもやエミリアが登場しますね。約50人もいるNPCの中でも、彼女ばかりが注目されている気がしますけれど……。

キム・ハッキュ:開発スタッフの好みがちょっと反映されてしまってますね(笑)。先の話にはなりますが、その他の編入NPCについても必ずシナリオを進めていきますので、今後にご期待ください。

──キム・ユラさんは7月にHUE代表取締役CEOに就任したばかりとのお話でしたが、これからのHUE全体の方針について教えてください。

キム・ユラ:現在Hanbit Softの筆頭株主となっているT3 Entertainmentでは、10の新規タイトルを開発中でして、年内には3タイトルのサービスを開始する予定です。ただ、すべてのタイトルをHUEからサービスするわけではなく、他社さんとのチャネリングなども視野にいれています。『ドラゴンクエスト』シリーズの売り上げを見る限り、日本にはちゃんとゲーム市場と呼べるものはあるはず。ならば、遠方のプレイヤー同士でも一緒に遊べる、障壁のないオンラインゲームの楽しさを日本のプレイヤーにもっと知ってほしいです。

──市場があると一口に言っても、日本と韓国ではプレイヤーの傾向がかなり違うと思いますが。

キム・ユラ:安易にローカライズ、つまりゲームをプレイヤーに合わせていくのではなく、まずはその作品の特徴的な部分を好むロイヤリティの高いプレイヤーに遊んでもらい、その後、幅広いプレイヤー層への訴求を考えていきます。今はまだ、HUEという企業の認知度がまだまだ日本では低いので、そこを上げていくことから始めたいですね。



 『GE』はもともと3キャラクターを同時操作できるMCCや、冒険の途中で出会うNPCが仲間に加わる編入システムなど、当時のMMORPGとしては珍しい機能を導入することで、ソロでもパーティでもしっかり遊べるタイトルだ。多忙な社会人でも時間を気にせずプレイでき、プレイヤー層を選ばず広く受け入れられている。今後のアップデート予定も、よりハードに遊びたい上級者向けといえるコロニー戦へのテコ入れ、そして党員や友達と一緒に遊びたい、限られたプレイ時間を有効に使いたいという中級プレイヤーに喜ばれそうなレイドボスのミッション化と、上級~ビギナーまでをきちんとフォローしたアップデート内容になっている点は評価したい。

 1点気になったのは、日本独自の衣装やキャラクター、ゲーム内イベントについてだ。『GE』は中世ヨーロッパを世界観のベースとしながらも、現実世界のどこの国とは言えない曖昧(あいまい)さゆえに、中近東風顔立ちから、ロシア系をイメージさせるようなNPCが混在していても世界観を壊すことなくバランスを保っていた。イベント中にも開発こぼれ話として「ピコピコハンマー風の武器なんて、世界観に合わないので作れません」という開発側を説き伏せたという話が紹介されていたが、明らかに日本を意識したキャラクターのミフユや、彼女が手にしている日本刀(と思われる)など、ハッキリと国籍がわかるもの、あるいはネコ型の頭装備のようにネタに走ったアイテムを安易に実装すれば、いかに“なんでもアリ”なファンタジー世界といえどもバランスは崩壊する。

 プレイヤーの意見・要望を取り入れることや、サービス国にあわせたローカライズをすることは、常に変化し続けるMMORPGでは非常に重要なポイントだ。しかしスキルやキャラクター性能値とはまた違う、ゲームの世界観の部分にももう少し慎重になってほしいと、筆者個人としては願うところだ。

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(C)2003-2009 IMC Games Co., Ltd. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.

データ

▼『グラナドエスパダ プラス』
■運営:ハンビットユビキタスエンターテインメント
■対応機種:PC(対応OS:Windows 2000/XP)
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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