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2009年8月6日(木)

初期設定での主人公は風海ではなくあの人!? 『流行り神3』インタビュー

文:電撃オンライン

『流行り神3』インタビュー

 日本一ソフトウェアから、本日8月6日に発売されたPSP用ソフト『流行り神3 警視庁怪異事件ファイル(以下、流行り神3)』。本作のディレクターに、『流行り神』シリーズに関するインタビューを行った。

 『流行り神3』は、都市伝説を題材にしたホラーAVG『流行り神』シリーズの最新作にして完結作。今作の物語は、これまでのシリーズ作品より1話分増えた、全5話+αで構成されている。プレイヤーは警視庁の警察史編纂(さん)室に所属する刑事・風海純也となり、常識だけでは解決できない怪異事件の真相を“科学的見地”、もしくは“オカルト的見地”から究明していくことになる。

 今回お話を伺ったのは、『流行り神3』のディレクターを務める簗瀨涼司(やなせりょうじ)さん。本作への意気込みや、開発陣を襲った怪異事件(?)まで、驚がく必至のインタビューをお届けする。(インタビュー中は敬称略)

『流行り神3』インタビュー
▲『流行り神3』ディレクター・簗瀨涼司さん

■シリーズ“完結編”として、謎はすべて明らかにする!

――最初に、『流行り神』シリーズにどのようにかかわっているか教えてください。

簗瀨:まず、『流行り神』の『1』のプロジェクトが立ち上がった時に、プロジェクトメンバー募集でプログラマーに手を上げさせてもらいました。そこから、『2』ではプログラマー兼ディレクターとして、今回の『3』ではディレクターを専任しました。

――早速ですが『3』についてお聞きします。今までのシリーズはPS2で発売後、他のプラットフォームで発売されましたが、『3』は最初からPSPでの発売です。これには理由があるのでしょうか?

簗瀨:今までのシリーズ作品もPSPで発売して、ユーザーの皆さんに非常に喜んでいただけました。ユーザーの皆さんの反応を見て、PS2からPSPへの流れというものを感じました。携帯ゲーム機ですので、自由なスタイルで遊べますし、性能面でも十分『流行り神』の世界をお届けできると判断して、最初からPSPでの発売を選びました。

――シリーズファンの間では、「PS2でも出してほしい」との声があるようですが……?

簗瀨:その声は我々も聞いております。据え置き機のよさというものも確かにあるのですが、ぜひともPSP版のほうについてきてもらいたいなと。

――なるほど。それでは、今作の制作にあたって、こだわった点などはありますか?

簗瀨:『1』、『2』でもこだわってきた点ですが、このタイトルの重要なところはストーリーなので、ここに時間と人を費やしました。今回も、満足していただけるものにたどり着いたと思っています。

――ストーリーですか。全5話+αのシナリオを制作するのに、どれくらいの期間がかかりましたか?

簗瀨:プロットから始まって、シナリオ自体には7カ月、8カ月くらいかかっています。結構スケジュールオーバーしていて、大ピンチになったりとかしましたね(笑)。

――それだけこだわってシナリオを作成しているということですよね(笑)。そこから、ゲームとして仕上げていくのにどのくらい時間がかかるのでしょうか。

簗瀨:オムニバス構成になっているので、シナリオができた話からキャラクターデザイナーの菅原健さんや、グラフィックチーム、サウンドの酒井良さんにお願いして、同時進行で制作を進めています。ですので、開発全体だと1年ちょっとくらいの期間となります。

――やはり、シナリオの制作期間が占める割合が大きいですね。ちなみに、今作はシリーズ完結編とのことですが、“組織”のことなど今まで明らかになっていない謎が明らかになるのでしょうか?

簗瀨:完結編とうたったからには、これまでの、“組織”や“電話の男”などの、今までは表に出てこなかった裏側のところまで見ていただけるようしました。クリアした後に謎が残って、続きがあるようにするつもりはまったくなく、謎はすべて解明されるようになっています。

――ゲームとしては最終作ですが、別のメディアで何かやりたいなと考えていますか?

簗瀨:ぜひやりたいですね。これまでも、キャラクターデザイナーが書いたコミックがあったり、小説もあったりと、いろいろな広がり方をしているので、今までにないメディアでやりたいなと思っています。風海たちのストーリーも本作で完結はしますが、ユーザーが喜ぶカタチで何かしたいですね。風海たちの編纂室での『流行り神』という世界はこれで完結しますが、別の風海たちの姿も見てみたいなと、僕自身も思います。

■羽黒の秘密と、ゆうかの変ぼうの謎とは!?

『流行り神3』インタビュー

――『3』の登場キャラクターを見て驚いたのですが……、新キャラクターの羽黒薫は、やはりゆうかの親友・羽黒薫と何か関係が?

簗瀨:本編をプレイすればわかります(笑)。このキャラクターに関しては、最後までプレイしてもらうと「え、どうなってるの?」と感じられるかもしれません。羽黒薫のアイデアが出た時も、どう扱うのか、一番初めにお客様がどう受け止めるかがすごい議論になったんですけど、この手のゲームが好きなお客さんはこういった謎が多い形で登場させるのは喜ばれるんじゃないかと思いました。

――もう1つ、キャラクターのイラストを見て驚いたことがあります。『2』からイラストが変更されたキャラクターがいますよね。特に……。

簗瀨:間宮ゆうかですよね(笑)。ゆうかは、『1』から『2』の時にデザインを変更したら、お客さんからいろんなお言葉をいただきまして。それで、どうしようかなという話になって、今回もデザインを変更しました。他のキャラクターについても、同じデザインのままのキャラクターもいますが、表情などはかなり増やしています。女性陣は服装も変わっていたりとかもしますし、我々のできる範囲内で、いろいろと用意できたと思っています。

『流行り神3』インタビュー 『流行り神3』インタビュー 『流行り神3』インタビュー
▲左から『1』のゆうか、『2』のゆうか、『3』のゆうか。

――なるほど。ちなみに、一番表情パターンが多いのってやっぱり……。

簗瀨:ご期待の通り、小暮ですね(笑)。表情に加えて、服装もさまざまですので、女性陣よりも小暮のパターンが多いです。『2』の時でも、パジャマを着ていたりとか、南の島に行ったりとか。かごめも南の島では服装が変わっていましたが、やっぱり小暮が一番パターンが多かったです。

――女性陣よりパターンが多いとは、さすが小暮さんです。

簗瀨:ユーザーの皆さんにも言われていますが、小暮はヒロインポジションですから。「ヒロインの座は譲らない」って(笑)。

■新しい都市伝説に出会うのは難しい――

『流行り神3』インタビュー

――『3』では、ネット上での殺人予告など、現代社会の問題を積極的に取り入れているようですが、これは意識して入れているのでしょうか?

簗瀨:そうですね。現代社会で耳にするキーワードというものは、ユーザーの興味に引っかかるものだと考えています。最近はニュースなどを見ていると、実際の世界のほうがセンセーショナルなんじゃないかと思ってしまいますが……。リアルな話のおもしろさを追求しているので、そのあたりが反映されているのかなと思います。それと、今回のシナリオには、かなりの人数のシナリオライターに参加してもらっています。各話で味が違ったものになっていると思うので、そこも楽しんでいただけるといいですね。キャラクターの扱い方などでも違いがありますので。

――話によってキャラクターの見方が変わるかもしれないですね。

簗瀨:かごめに関しては、ほとんどのライターが扱いやすいと言っていますね。女王様キャラで、「こう動いてくれればかごめらしい」というのがわかりやすい。逆に小暮は、一番登場シーンが多いのですが……、ヒロインっぽさがエスカレートしすぎてしまって(笑)。そういうところもライターと話し合って作っていますので、見ていただければと思います。

――わかりました(笑)。他にも『3』で気になったのですが、データベース周りが少し変わっているような気がしました。今まではストーリーに出てきた言葉がそのまま登録されていましたが、今回は直接的な言葉じゃなくてもデータベースが埋まっていく感じがしたのですが、変更などがあったのでしょうか?

簗瀨:データベースの作り方が今までと違うんです。今までは、シナリオを先に考えて、シナリオ内で出てきた言葉をデータベースに収録するようにしていました。逆に、データベースに入れたいから、シナリオ中に登場させたりもしています。

――シナリオとデータベースを、同時に作っていたということですか?

簗瀨:そうですね。同じ人間が担当してやっていました。今回は、データベースチームがシナリオチームと完全に別になっています。なので、ちょっと今までと違うと感じるところがあるかもしれません。

『流行り神3』インタビュー 『流行り神3』インタビュー
▲『3』のデータベース。都市伝説や怪談、民俗学、心理学などの専門用語が収録されている。

――なるほど。ちなみに、データベースやゲーム中に登場する都市伝説は、どのように調べているのでしょうか。

簗瀨:“ネットロア”と呼ばれる、ネット上で新たに生まれた都市伝説を調べたり、書籍や文献を読ませていただいたり、なにか新しい話がないか人に聞いたりしました。でもやはり、派生系が多いんですよね。いい都市伝説というのは、派生系がどんどんできていくものなんです。なかなか、新しい都市伝説に出会うことは難しいですね。

――『2』が発売された時に、もし『3』が出るとしたら、都市伝説のネタがある程度集まらないと制作が厳しいというようなことをおっしゃっていたそうですが。

簗瀨:結構厳しいですよ(笑)。まず『3』の企画が立ち上がった時に、ストーリーのネタとしては、「こういう風にしたらおもしろくなりそう」というのが持ち上がるのですが、データベースはどうするよと(笑)。ただ、データベースはユーザーも期待している部分だと思うので、しっかり用意しました。ぜひ、すべて集めて読んでほしいですね。

 →初期の主人公は○○だった! インタビューの続きはこちら!

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データ

▼『流行り神3 警視庁怪異事件ファイル』
■メーカー:日本一ソフトウェア
■対応機種:PSP
■ジャンル:AVG
■発売日:2009年8月6日
■価格:5,229円(税込)

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