2009年8月17日(月)
――武器について、7種を選別した理由を教えてください。
藤岡:もう1度『モンスターハンター』を作り直そうと考えた時に、武器を見直したんです。今までのシリーズでは11種類の武器が登場してますが、あれはシリーズを重ねていくことで増えていったものです。ですので、まずは『モンスターハンター』に一番根強く設計されているものを選び、そこを考え直すというのが最初でした。なので、太刀とスラッシュアックスは後で作ったんですよ。しっかり5種を見直して、その次に2種を足して7種にしました。スラッシュアックスに関してはせっかく新しい作品なので、新ジャンルの武器を作ろうというのが早くからあって、いろいろな形を模索した結果、今の所に落ち着きました。
辻本:武器を深く作って、1つ1つにあっての個性や新鮮味を出したかったんです。そこの深みを出すために保証できる武器数を作ったという意図です。
――1人用モードで、スラッシュアックスと太刀を最初から使えないのは何故ですか?
藤岡:新しいものが増えても根本的な部分が楽しくないと、新しいものだけが新鮮で終わってしまう。古い武器種に変化がないとあまり意味がないと思うんですね。まずはこれまでのシリーズにある武器が新鮮であって、本作の仕組みにマッチしたものになっている。まずは、そこをさわって欲しかったという意図があります。
辻本:もう1つあって、モガの村はいろいろなことを覚えてもらうような作り方になっている。覚えてもらう要素が多いうちは、武器に関しては敷居が低いものにしたかったというのもありますね。あそこは『MH3(tri-)』を覚えていくという場所なので。
――スラッシュアックスは、慣れるとハマってかなり気持ちいいんですが、しばらくの間、文字通り振り回される印象がありました。
藤岡:『モンスターハンター』の武器って何でもそうなんですが、いきなり初見で使いこなせる人ってほとんどいないと思うんですよ。慣れてきた時に「俺、使いこなせるようになってきたな」っていう楽しさがあるゲームだと思うので、個性を大事にして躊躇なく設計しましたね。
――まだスラッシュアックスを使っていない人へ、アドバイスをいただけますか?
藤岡:慣れないうちは、あまり変形させようとしないほうがいいと思います。変形させながら立ち回っているとカッコよく見えるんですが、いきなりは難しいと思うんです。斧モードは攻撃力があるので、それをちゃんと当てていけるようになれば、モンスターがひるんだり、隙を見せるようになってきます。その時に剣モードに切り替える。最初はそれだけでいいと思います。慣れてきたら、立ち回りの中に変形を入れて、剣モードで懐に飛び込んでガンガン攻撃することができるようになる。変形できるポイントが限られているので、まずは斧で距離感を覚えていくほうが僕は使いやすいと思います。
辻本:斧から変形させて、攻撃をつなげていって属性解放突きまでいけるんですが、連係はリスキーなんですよ。気持ちいいから最後までやっちゃうんですが、そこを我慢できるか。もちろんチャンスの時は最後まで狙うんですが。でも逆に、最初から変形をバンバンやって、属性解放突きをドンドン出して、やられて覚えていくでもアリだと思いますよ。真剣に「うまく使いこなしたい」というようになってから、藤岡が言ったようにするでも。
藤岡:辻本流の乗りこなし方はそうみたいですね(笑)。僕は結構基本から入ったほうが覚えやすいと思っているので。でも、きっとどっちでもいいんだと思います。
辻本:性格の違いですかね?(笑) 僕の性格だったらバンバン変形して気持ちよさを体感していくっていう。
――ちなみに、現在2人はどの武器を使っていますか?
藤岡:ランスです。シリーズで一環して使っています! どこかのタイミングではスラッシュアックスを使おうとは思っているんですが、今はランスです。
辻本:僕はハンマーです。『モンスターハンターポータブル 2nd G』では弓を使っていたんですが、もともとハンマーを使っていたので、戻ってきた感じですね。まずはそれをやってから、スラッシュアックスに行こうかなって感じです。
――今回、遊びやすさについて、改善した点、気を使った点を教えてもらえますか?
藤岡:シングルモードで遊ぶ場合、狩りに同行してくれるキャラがいたほうが遊びやすいのは間違いないので、チャチャを入れたいというのは、開発当初からありました。さらにシングルモードがストーリー仕立てなので、出てくる愛嬌のあるキャラをからませて、遊び終わった時に記憶に残るようなキャラにしたかったという意図もあり、チャチャはああいう位置づけにしましたね。個性を以前の作品に比べて強くだそうとしています。しゃべるのもそうですし、お面を変えられるとか、踊りでサポートとか。あと、ゲーム的には意味は少ないんですが、アクションにも反応するんですよ。そこには、飽きずに連れてほしいという気持ちが入っています。
――フィールドを歩いていて、採取や採掘できる場所のところでアイコンが表示されるのも、遊びやすさからですか?
藤岡:Wiiリモコンで操作すると決めた時からですね。WiiリモコンはAボタンでいろいろなことをやることになると思ったので、使いわける必要が出てくるなと。今まではいろいろなボタンを押してもらうようにしていたんですが、Aボタンだけで行う場合、今何ができるのかをアイコン化してあげたいというのが、キッカケです。また採取が楽しくなるように、さまざまな場所に採取ポイントが出現するのですが、そのポイントをアイコンで教えてあげるという役目も入れています。
――ネットワークモードで苦労した点はありますか?
藤岡:トラブルが起きないようにしようというところと、システム周りですね。僕たちにとってWiiでオンラインゲームを運営することが、Wii版『モンスターハンターG』、『MH3(tri-)』が初めて。そういう意味で運営に向けていろいろと用意をするのは緊張感がありました。
辻本:ネットワークゲームは初日にトラブルが起きて、遊べないということもある。トラブルを起こさないようにすることには尽力しました。そこが一番神経質になった点ですかね。
――ネットワークモードに関して、今後の展望はありますか?
辻本:開催しているイベントクエストのプランを長めに取っています。まだ現状では、ネットワークモードの段階を楽しんでいる状態だと思うんです。今後は、ネットワークゲームとしての『モンスターハンター』の楽しみ方が出てくると思います。新規ユーザーと既存のユーザーとコミュニケーションを取る遊びを提供するために、どうすれば盛り上がるかを模索しながら、長く楽しんでもらえるコンテンツ作りを目指したいです。
――コラボレーションやイベントについて聞いていきます。“恐竜2009-砂漠の奇跡”とのコラボが行われていますが、いかがでしたか?
藤岡:プレスデーに見学したんですが、楽しかったですね。恐竜博士の方々と話をさせていただいて映像も見ていただいたんですが、今の学説での捕らえ方などいろんな話が聞けてとても有意義でした。骨格についても、今の生き物がベースで想像しているということで、想像の塊なんですよね。それがああいう形になって展示されていると思うと夢があってゾクゾクしますね。モンスターの行き着く先も「もしかしたら、実際にいたのでは?」と感じられるようなものになったらいいなと思います。
――物販にあるラギアクルスの頭骨の迫力には驚きました。いずれは全身骨格ができるのでしょうか?
藤岡:できたらいいですけどねぇ……かなりデカイですから。まあ夢としてはやりたいですね。
――あとは“狩人達の宴 Final”が行われていて、今後“モンスターハンターフェスタ’09”が開催されると。
辻本:そうですね。今回の“モンスターハンターフェスタ’09”は、前2回と比べて規模的にも大きくなっています。モチロン主役は『MH3(tri-)』になるんですが、シリーズのお祭りイベントなので、そこが一番大きいアピールです。今はまずは5ケ所での開催に全力を注いでいきたいですね。
――昨年のフェスタで名物となっていた“教えて藤岡先生!モンスター生態講座”は復活するのでしょうか?
辻本:ワハハハハ。どうなんでしょうかね?
藤岡:……そこが気になっている人いるんですかね?(失笑)
――沖縄で行われた“沖縄やんばる地方~リアル密林フィールドをめぐる旅”で一夜限りの復活をしましたが、どうなるのか、気にしている人は多いんではないでしょうか?
藤岡:……先生に聞いてください。
辻本:今、藤岡のカバンを開けたら、白衣が入っているかもしれませんよ(笑)。
――なるほど。楽しみにしておきます。以前に辻本さんは「5周年という節目の年。さまざまなことをやっていきたい」と話していましたが、フェスタの後にも何か控えているのでしょうか?
辻本:『モンスターハンター』シリーズの特徴として、1つ1つこなしていって、その段階でユーザーが何を求めていくかを考えていくことが多いんですよ。あまりにも前から決めすぎていると、ビジョンがずれてしまうことがある。それはイヤなので、いろいろ見ながら考えていきたいと思っています。
――では最後に、読者へメッセージをお願いします。
藤岡:『MH3(tri-)』には、大きくわけてシングルモードとネットワークモードがあります。ネットワークで遊ぶのは絶対に楽しいので、環境が整うならぜひやってみてほしいです。それとは別に、今回のシングルモードは、久々の据え置き機での開発ということで、ストーリー仕立てにしてゆっくり遊びやすいことを意識して作っています。ストーリーを進めながらゲームに慣れていける作りになっているので、まだシリーズにさわったことがない人もぜひプレイしてほしいです。
辻本:今回、『MH3(tri-)』は新しい要素を多数入れています。操作面に関してなら、Wiiリモコンとヌンチャクを使った操作と、クラシックコントローラを使った操作があって、自由な作りにしています。初めてこの世界にふれるなら、両方フレッシュな気持ちで遊べますし、今までシリーズをプレイしている人は安心したクラシックコントローラでも遊べます。ですが、もしクラシックコントローラでやり尽くしてしまったと感じたら、Wiiリモコンとヌンチャクを手に取ってほしいですね。このゲームの世界がさらに広がる楽しみがあるので。あと、ネットワークにまだ入っていない人は、気軽に入ってきてほしいです。環境に関してだけなら、対応している人はかなり多くなっていると思います。ためらっている人もいると思うんですが、20日間無料お試しキャンペーンもやっているので、この機会を逃さず、気軽につないでもらいたいです。すごく楽しい世界が広がっています。また、この夏にはフェスタもあるので、ぜひ足を運んでほしいです。
2人はユーザーに対して、「モンスターの動きをよく見て、彼らとかかわっていってほしいです(藤岡ディレクター)」、「ユーザーの方々の期待に応えられるような作りにしています。他のハンターと会話して、回りを巻き込んで、一緒に楽しんでもらいたいです(辻本プロデューサー)」とメッセージを送っていた。 |
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