2009年9月14日(月)
小清水さん:ロレンスって商人をしているのに、嘘が苦手というか、ボロが出やすい素直な性格ですよね(笑)。
小梅先生:それがロレンスのいい点でもあると思うんですけど、僕としては、ロレンスは完全に商人には向いていないと思っています(笑)。
小清水さん:私もそう思います(笑)。あまりにも嘘がつけないので、見ていておもしろいです。ホロもそれをおもしろがって、手の上で転がしているじゃないですか。そこがかわいくってもう……。
小梅先生:その辺は、ホロと出会って成長していくかもしれないですからね。
小清水さん:あと、こういうまっすぐで嘘が付けない人だからこそ、ホロも心を開いているのかなって感じますね。もしホロと出会っていなかったら、第1期の最初の儲け話でだまされて終わってということになっちゃったんでしょうか?
小梅先生:たぶん、その儲け話には乗らないと思います。ロレンスって、自分のやるべき道みたいなものからはあまり外れない人だと思うんですよ。安パイが大好きな感じです。
小清水さん:なるほど。ホロがいるからこそ、ちょっと冒険をしたり、いいところを見せようと頑張ったりするんでしょうね。ホロが、そんな夢をつかめるようになるんじゃないかっていう希望や可能性を見せてくれる存在なのかなって。
小梅先生:知っている顔のところを転々と回って小麦をやり取りし、ちょっとずつお金を貯めていくタイプだと思うんですよ。それで、自分のお店を持つのは40歳手前くらいで(笑)。
小清水さん:そういえば、以前マ王でノーラの物語を描いていましたよね。これって原作になかった物語だと思ったんですけど。
小梅先生:アニメではクロエという女の子になったんですけど、原作やマンガにはヤレイというキャラクターがいるんですよ。そんなヤレイは、かわいそうな目にあっちゃうんですけど、それだけだとあんまりだと思って、ちょっとだけ掘り下げたんですよ。それの延長として、ノーラも掘り下げて描いてみたいなというのがあったんです。あと、個人的な挑戦として、スピンオフみたいな形にできればいいかなって。あの司祭がものすごく嫌な人度を加速させて、リュビンハインゲンは悪徳の町と化していますね(笑)。ノーラって、すごくいい子っていう以上の情報が入ってこなくて。その辺はちょっと自由にやらせてもらおうと思っています。
小清水さん:ノーラって、あまりにも優しいというか、思いやりが強いように見えてしまうんですよね。アニメでは中原麻衣ちゃんが演じていたっていうところもあって、天然小悪魔みたいな印象も受けたんですけど(笑)。ただ彼女もホロと出会って、ロレンスみたく人生が変わった口だなって思っています。
小梅先生:そうですね。『狼と香辛料』自体が、物語の主人公が他の土地から訪れて、事態を変化させていくというストレンジャータイプの物語ですしね。ノーラってもともとが孤児じゃないですか。戦災孤児なのか両親に捨てられたのか、そういう事情はわからないんですけど、そんな彼女が苦労して身につけた仮面が、今の姿なんじゃないのかなとおもっています。気を許せるのは牧羊犬のエネクだけで、根っこの部分ではロレンスに気を許していないみたいな。ただ、ホロには勝てないって本能的に感じたところがあるかもしれないですね。だからホロには逆らわないようにしている感じはしますけど(笑)。あ、でもノーラはまだお嬢さんなので、ドス黒いものとかはないと思いますよ。
小清水さん:なるほど。人をだまそうとかというよりは、何かツラいこととか苦しいことを我慢するために身につけたっていう感じがしますね。大変そうですけど、それはそれで人間らしくって好きですね。
小梅先生:そういう感情を墓場まで持っていくのがノーラで、ツラいところをロレンスとかに言って発散させるのが、ホロなのかなって気がします。小清水さんは『狼と香辛料』で、ロレンスの他に気になっている男性キャラクターはいますか?
小清水さん:アマーティですね。それとマールハイトさんです(笑)。
小梅先生:声もそうですけど、いい男すぎますよね(笑)。
小清水さん:もうかっこよすぎて、何をどうしたらいいのかわからないみたいな(笑)。
小梅先生:しかもいい人だし。
小清水さん:とにかく頭の回転が速い人なので、敵に回したら怖いなとは思いますけど。
小梅先生:冷酷な一面も見せていますからね。でも、わりとロレンスに肩入れしていたイメージがあります。
小清水さん:ロレンスがあまりにもわかりやすすぎて、この人は本当に悪人じゃないと思って手助けしちゃったとか(笑)。マールハイトさんくらいの人になったら、ほんのちょっとのことですべてわかっちゃうんだと思うんですよ。
小梅先生:意外とロレンスのバックにあるローエン商業組合とのコネを作るためかもしれないですよ。
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