2009年9月24日(木)
今年のE3での発表されて以来、長らくベールに包まれていたPS3用ソフト『人喰いの大鷲トリコ』。国内初公開となる本作の魅力を、上田文人ディレクター/ゲームデザイナーに伺った。(インタビュー中は敬称略)
――日本初公開ということで、ここを見てほしいというところがありましたらお願いたします。
上田:E3の時にかなりのボリュームを見せてしまったので、今回はあまり新しい情報を出せないんですね。ただ、今回はロゴが決まりまして。それとゲームコンセプトとしてはこれまでの集大成になっていまして、『ワンダと巨像』で培った変形コリジョンと『ICO』で培ったAIキャラクターをPS3の表現力で見せられればいいなぁと思っております。これまでの作品は技術的なチャレンジが開発のほとんどを占めていたんですが、今回も無論技術的なチャレンジはあるんですが、それよりも物語だったり、物語の表現のほうに時間を使って開発できればと思っています。
――ユニークなロゴですね。
上田:3種のフォントが混ざっているんですね。トリコのデザインもそうなんですが、いろいろなものをミックスして、ある種ミスマッチ感を表現したかったんですね。それはなぜかと言うと、いろんな要素があるということを見せたかったということなんです。ロゴも少し大人っぽい書体であったり、子どもっぽい書体であったり、そういう要素がすべて作品に入っているんだよということが言いたかったんです。
――トリコと仲よくなっていくことでのパラメーター変化はあるのでしょうか。
上田:感情移入に必要なら考えますが、パラメーターを入れてしまうとどうしても手順ありきになってしまいます。それは避けたい。無論自分のできないことをトリコにやってもらうということはありますが、トリコも生き物なので、100%思った通りに動いてくれない。あんまり動いてくれないとわずらわしいので、そこのバランスが難しいんですが。
――今回のムービーでここが見どころというところがあれば。
上田:“大鷲トリコ”に関連する部分ですね。動物の動きはいろいろなものを入れています。それがすべて伝わるかはわからないんですが、ひげが細かく動いていたり、耳が独立して動いたりとか、そういうところが苦労しているところなので気づいてほしいなと思います。
――前作までと異なるところは。
上田:動物としての生態表現ですね。『ワンダと巨像』の時には、PS2という環境だったので、動きの情報量も出せなかったんですね。それなので、ああいう形になったわけですが。たとえば目の表現もそうですね。眼球が入って動いた方がどこを見ているとかインフォメーションとしてもよかったのですが、そこに実際感を持たせられるほどのハードスペックがなかったので。今回PS3で新しく表現できるようになったものとして、生態表現であるとか、動物が持っている残酷さであるとか、そういうものが見せられるといいなと思っています。
――参考にされた作品はありますか?
上田:いろいろあるんですが『ET』であったり『となりのトトロ』であったり。最初のイメージからどんどん親しみに変わっていけばいいなと思っています。いろいろな動物の魅力が凝縮されているんですけど、違和感もあって、気持ち悪い部分も含めて魅力になればいいなと思っています。
――架空の生き物が発する音が気になりますが。
上田:それは僕も気になります(笑)。いろんな音をこういうイメージでといってあわせてもらっています。
――最後にメッセージをお願いします。
上田:ものすごくプレッシャーを感じていますが、期待を裏切らないよう、それを超えるように頑張っています。ですからもう少し待っててください。
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