2009年11月27日(金)
以上が、市村氏が意図的に仕掛けたプロモーションやゲーム内容だ。ここまで語ったところで市村氏は、3次元プロモーション戦略にはもう1つの軸があると話して、それがすれちがい通信と宝の地図の相乗効果が巻き起こした“すれちがい通信の大ブーム”であることを語った。
コミュニケーション拡大のため市村氏らが自分たちで仕掛けたすれちがい通信だが、“まさゆきの地図”や“川崎ロッカーの地図”の誕生、ヨドバシカメラマルチメディアAkibaの1階エントランス付近にできた通称“ルイーダの酒場”と呼ばれるスポットの登場は、市村氏らの予想を超えたものであったようだ。
すれちがい通信のおもしろさが、“誰かに自分のプレイを自慢できる”、“誰かにメッセージを送れる”、“誰かに自慢の宝の地図が渡せる”といったコミュニケーション要素を含むことにあると話す市村氏。これにより、すれちがい通信が、SNS、ブログ、Twitterといったネットコミュニケーションと、日本古来からあるお土産というコミュニケーション文化を内包した、コミュニケーションの集大成にあたるのではないかとも市村氏は分析している。
そのすれちがい通信の持つおもしろさによる必然と、自動生成システムによる偶然が錬金されて生み出された“ミラクル”。市村氏は、すれちがい通信の社会的な大ブームを、そのように呼んでいた。
市村氏は最後のまとめとして、『ドラクエIX』が400万本の大ヒットを達成した理由は、“『ドラゴンクエスト』×ニンテンドーDS×コミュニケーション”という組み合わせを、あらゆる方向から企画・プロモーションを構築し、ドラクエファンと新たなユーザーが互いにつながり合った成果だと話した。完成披露発表会の際に、「『ドラクエIX』がみんなのコミュニケーションツールになればいい」とコメントしたことを引き合いに出した市村氏は、今は正に「コミュニケーションツールに進化したと言えるのではないか」と結んだ。