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2010年1月27日(水)

『Angel Beats!』のピーエーワークスが目指す未来とは? 堀川取締役を直撃

文:電撃オンライン

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■ みんなに愛される普遍的な作品を……。オリジナル作品にかける情熱 ■

――若手を育成しつつ、土台を固めてきたこれまでの10年間。それでは、これからの10年間の目標をお聞かせいただけますでしょうか。

堀川氏:僕は幼いころに見ていた『トムとジェリー』が好きで、見るたびに楽しい気持ちになれるアニメーションでした。その魅力は、アニメーションならではの躍動感にあり、動きだけで視聴者をひきつけるという、とても高度な作画技術で作られています。今あの作画を求めても量産はできないです。でも、それを嘆いていても何も始まらない。できる人を探すか、自分で育てるしかないですよね。僕は後者を選びました。今するべきことは、トライ&エラーを繰り返しながらTVシリーズをグリグリまわして、若いスタッフに経験を積ませることだと思っています。シンプルなキャラを使った、アニメーションならではのキャラクターの感情表現と躍動感にとことんこだわった作品を作りたい。そんな技術を持ったスタッフを、これからの10年かけて育てたいです。

――昨年は『レイトン教授と永遠の歌姫』で初の劇場アニメも制作されましたね。

堀川氏:完全オリジナルの劇場用アニメーションもいつか作りたいです。やはり銀幕はあこがれですから。僕が目指すアニメーションの制作スタイルはオーケストラ。みんなが好き勝手をやっていては表現できず、作品として成り立たせるためには、最後に1回シンバルを叩くだけの人も必要……その与えられた1音を完璧に表現する職人がいる。そんな制作チームです。もちろん、個人の作家性が色濃く出たショートフィルムも楽しいものですが、オーケストラがシンフォニーを奏でるようなアニメこそが、今の業界にとって一番生み出しがたいもの。だからこそ、僕はそういう集団を作りたい。今はまだ楽団員も数十人しかいないし、やっと楽譜を見ながら楽器を弾けるようになった程度。でもゆくゆくは、自分の役割……指揮者の表現意図が解って、なおかつソロとしても1人前の奏者であるような集団にしたい。彼らとチームを組んで、5年も10年も愛され続けるようなアニメが作れたら、素晴らしいことだと思うんです。アニメーション業界の一流のクリエイターの方々が、これまでに何人もこの富山本社を訪れてくださって、皆さん、この環境、僕たちの試みに賛同してくださいました。もっとも、外からそう見えても、中にいるスタッフには比較対象がないので、恵まれた環境をいまひとつ実感できない面もあるでしょうね。彼らも外に出てやってみたい作品があるかもしれない。そう思うなら、食べていけるくらい一人前に早くなって、ここを出て外の世界を見るのもかまいません。出てはみたけれど、作品制作にとって恵まれた環境は外にもそれほどないぞってことにも気づくでしょうね。そうしたら、もう一度ピーエーワークスで作品が作りたいと思ってくれる。そう信じていますし、そう思ってもらえる組織を作るつもりです。だから、僕のビジョンに賛同してくれる者は信じてついてきてくれと。いつもスタッフにはそう言っています。

――――――――――

 ピーエーワークスのあり方と目指す方向性について、エネルギッシュに語ってくださった堀川社長。穏やかな人柄でありながら、アニメ業界の将来を憂いつつ、明るい未来へ向けて歩みを進める情熱的な語り口が印象的だった。現在制作中の『Angel Beats!』で、堀川氏は挑戦したいことがあるという。良質なスケジューリングで制作を進められれば、当然、特定のセクションに力を入れる時間的余裕が生まれる。はたして、堀川社長が『Angel Beats!』で目指すものとは?

 このインタビューの続きは、1月30日発売の『電撃G’sマガジン』3月号に掲載される『Angel Beats!』特集記事でチェックしてもらいたい。気になるキャストの発表や、こもわた遙華先生によるピーエーワークス取材レポートコミックなど、独占情報満載でお届けしているので、ぜひご覧あれ。

『Angel Beats!(エンジェルビーツ)』

(C)VisualArt's/Key (C)VisualArt's/Key/Angel Beats! Project

データ

▼『電撃G’sマガジン 3月号』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年1月30日
■価格:990円(税込)
※毎月30日発売
 
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