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2010年2月5日(金)

【CβT最速レポ第19回】『スーパーアクションオンライン』後編・プレイレポ

文:電撃オンライン

 ケイブが1月28日~2月1日までクローズドβテスト(CβT)を実施していた、PC用2DオンラインACT『スーパーアクションオンライン~天使たちの聖戦~』(以下、SAオンライン)。前編・SS集でもサラリと触れたとおり、クライアントの不具合やサーバの度重なる切断が目立ち、今回のCβTのにはややストレスを感じさせられた。

 では肝心のゲーム内容はどうだったのか? 80年代~90年代に青春を家庭用ゲーム機、そしてアーケードゲームに燃やした“ACT好きオヤジのためのオンラインゲーム”、『SAオンライン』のプレイレポートをDOG恒例の5段階評価とともに、不肖“ゴンタ丸”がお届けしよう。わりと率直に、容赦なくビシビシいきますよ!

ゴンタ丸の気になるキーワード5段階評価 ※★…1点、☆…0.5点
アクションゲームとしての操作性 ★★
パズル要素の楽しさ ★★★★
戦闘の爽快感 ★★★
ゲーム全体の完成度 ★★☆
運営のがんばり度 ★★★☆


■古すぎて新しい? 2DタイプのオンラインA・RPG

『スーパーアクションオンライン』

 多様なジャンルのオンラインゲームがサービスされるようになってきたとは言え、いわゆるクリックゲータイプのMMORPGが国内市場の主流を占める昨今。『SAオンライン』は久しぶりの新作2Dオンラインアクションだ。左右への移動とジャンプ、各種スキル攻撃を駆使してモンスターを倒し、クエストを達成してレベルを上げ、新天地を目指すシンプルなゲーム性は、『メイプルストーリー』や『トキメキファンタジー ラテール』を思い出してもらえば想像しやすいだろう。

 プレイヤーが選択できるクラスは、剣による近接攻撃に特化したファイター、弓で遠距離攻撃をするアーチャー、魔法を使うマジシャンの3種類。成長して強力なスキルを覚えていけば変わるかもしれないが、2Dゲームだけに序盤の育成しやすさは遠距離攻撃の得意なアーチャーが少し有利なようだ。マジシャンは中衛的なクラスになるが、序盤から防御系スキルを習得できるため、防御力の弱さを差し引いてもファイターよりレベルアップしやすく、敵に近づかねば攻撃できないファイターは若干きつい。

 ちなみに今回のレポートはファイターでプレイする予定だったが、攻撃時の「イェァアアア!」というボイスにどうしても(心が)馴染めなかったので、使用キャラクターをわざわざアーチャーに変更してしまった。すまん、ファイターよ。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』

 『SAオンライン』についてざっくり説明すると、街とフィールドは、他プレイヤーと共有するMOタイプになっている。ごく一般的なMMORPGのようにチャットで交流できるし、レベル帯が同じプレイヤー同士なら狩場で出会うこともあるだろう。基本的にはNPCから受けるクエストと、モンスターを倒した際に得られる経験値をためてレベルアップし、スキルポイントとお金を支払うことで新スキルを習得。さらにスキルポイントをつぎ込めばスキル強化も行える。その他、素材を集めてアイテムを生産したり、装備品を強化するシステムなどもあった。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲言いたいことは分かるんだが、ちょっぴり投げやりなNPCの会話。CβT開始当初は大半が“No Match Text!”だったので、これでもだいぶ助かった。▲クエストは一度に受けきれないほどある。片っ端からこなしていけば、レベルはどんどん上がっていくはずだ。▲思ったよりも操作感はクセが強く、慣れないうちは余計なダメージを受けがち。体がなじむまでは一発ずつ、確実にヒットさせよう。

■昔懐かしいアクションアドベンチャー風ダンジョン

 なぜこんなに駆け足で基本システムを(かなり省略して)説明したかと言うと、『SAオンライン』最大の特徴はフィールドでの狩りやクエストシステムではなく、ダンジョンにこそあるからだ。先述の『ラテール』や『メイプルストーリー』と大きく異なり、『SAオンライン』のダンジョンは最大3人が一緒に遊べるインスタンスタイプで、単純にフィールド上よりちょっと強いモンスターやボスを倒すだけではない。随所に施された“仕掛け”を解きながら進む必要がある。

 踏むと何かが起動するスイッチ、上下左右に動くリフト、乗ると落ちる足場、押せる岩……そしてロープをよじ登り、崖にしがみつき、ダッシュで坂を駆け上がる。今でこそほとんど見なくなったが、80年代後半~90年代のアクションゲーム全盛期には、この手のギミックは当たり前だった。そう、『SAオンライン』のダンジョンには、あの当時のゲームを思わせる懐かしいギミックが満載されているのだ!

 通常フィールドは間合いを読みつつ、スキルを駆使してさくさくモンスターを倒す、アクションRPG色が強かったが、ダンジョン内部はフロアに仕掛けられたギミックを解除し、道を開いて各エリアを攻略していくアクションアドベンチャー要素が強い。序盤こそ、扉の目の前にスイッチがあったり、ジャンプでは届かない高台の手前に動かせる岩が置かれていたりと、チュートリアルの延長のような簡単すぎるギミックに物足りなさを感じたが、ダンジョンレベルが上がるにつれて難易度も当然上がっていく。移動速度の速いリフトや時間で消える足場を踏み外すと、「今度こそ!」と再挑戦したくなる。この少しムキになってトライ&エラーを繰り返す感覚が懐かしく、子供のころ夢中になって遊んだ数々のゲームを思い出した。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲色のついたスイッチは、同じ色の扉に対応している。見つけたらぶったたけ。▲ダンジョン最奥にはボスが待ち受けている。ボス本体よりも、際限なく呼び出すザコの処理が大変。

 さて、キャラクターが覚えるスキルには、戦闘に使用する“アクションスキル”と“守護スキル”に加えてもう1つ、ダンジョンの謎解きに必要な“アドベンチャースキル”と呼ばれるものがある。これはクエストを通じて習得でき、より重い岩を動かせるようになったり、特定の障害物を破壊できるようになる。新しいアドベンチャースキルを覚えることで塞がれていた道が開通し、新しいエリアへ進めたり、面倒なルートをショートカットできるのだ。この“特定の条件で行動範囲が広がる”という要素も、実はオヤジ世代の琴線に触れる部分といえる(電撃オンラインの読者には、わかってもらえないかもしれないが……)。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲アドベンチャースキル“巨人の腕力 Lv1”を習得。これで×印のついた大きな岩も動かせるようになった。▲仕掛けを解くと、頭の中で“ピロリロリロリン♪”と分かる人にはわかる例のジングルが流れる、かも。

 当たり前の話だが、CβTではプレイヤー全員がダンジョン初挑戦なので、これらの仕掛けに苦戦した人、謎解きにつまった人もいただろう。効率重視になりがちな既存MMORPGの場合、攻略情報という名の単なるデータベースになりがちだが『SAオンライン』の場合、オープンβサービスが始まれば、「あそこは右からでも通れるよ」「ここでショートカットできるの知ってた?」など、まるで小学校の休み時間に、仲間内でかわすような会話がファンサイトやプレイヤー同士のチャットで見られるのかもしれない。

 いずれは装備自慢やレベル自慢とは違う、高難易度のダンジョンを“まさに神技!”と言いたくなるようなスーパープレイでクリアする動画が、投稿サイトにアップされたりするのかなぁ、と思うと少しワクワクしてしまうのである。

■キーの組み合わせで変わる連続攻撃システム

 『SAオンライン』の操作はすべてキーボードのみで行える。通常攻撃ボタンは2種類あり、ファイターは斬りと蹴り、マジシャンは中距離と近距離魔法、アーチャーは矢の発射と近接攻撃を使い分けられる。

 ファイターの基本攻撃にはDキーの“よこ斬り”とFキーの“まわし蹴り”があるのだが、連打すると攻撃方法が変化するのもポイント。F+F+Fキーの3連続攻撃前蹴り→タックル→足払いの順だし、F+D+Dキーならまわし蹴り→突き→剣回転など、キーの組み合わせによって多彩な攻撃方法を見せてくれるのだ。アーチャーの弓矢攻撃も、ただ前方に矢を撃つだけでなく、しゃがんで低空に撃ったり、飛び上がって斜め下に撃ったりとバリエーションは多い。さらに全キャラ共通でダッシュ攻撃に敵を浮かせる技があり、空中コンボに持ち込み使いやすい。これらの通常攻撃と各種スキルを使って、並み居るモンスターたちをなぎ倒していくのだ。

 ここまで読むと「難しいけどおもしろそう」と感じるかもしれないが、実際にプレイした感想としては、動作の緩慢さが非常に気になった。あらゆる動作で攻撃判定が出るまでが遅く、コンボのつなぎもゆっくりなため途中で敵に割り込まれることもしばしば。空中コンボなら反撃される心配はないが、何十匹と敵を倒しているうちに操作が面倒になってしまう。判定の発生やコンボのつなぎを速くし、スキルによるキャンセルなどを導入すればテンポのいい戦闘が楽しめそうだが、あまり強くしすぎるとRPGとしてのバランスが崩れてしまう。正直なところ、CβTでの戦闘システムは“もっさり”していて、爽快感という点では評価できない。今度の調整に大いに期待したいところだ。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲2つのボタンの組み合わせて色々な攻撃が出せる。マジシャンは岩や大砲を出して攻撃する。▲“守護スキル”は敵を貫通する数少ない攻撃手段。スキが大きいので間合いを取って使おう。▲パーティを組めば戦闘は格段に楽だ。拾ったアイテムは自動でメンバーに分配される。

■大味な操作性はよりいっそうのブラッシュアップを望む

 本タイトルの核となるアクションの操作性も、あまりよいとは言い難い。ジャンプの飛距離に慣性が効かず、空中でも左右移動ボタンで普通に方向転換できてしまったり、ジャンプボタンの押し加減による高さを調節もできない。ジャンプ台を使って跳んだ場合などは、加速度もつかず放物線も描かず、同じ速度で上昇・下降して着地する。既存の2D横スクロール型MMOのプレイ経験があれば、「まぁ、こんなもの」と思える範囲だし、数百人~数千人が同時接続するオンラインゲームの場合、あまりに細かい操作を可能にしてしまうと、PCのスペックや回線による差が大きく生じてしまうデメリットもある。実は以前、別のアクション系オンラインゲームの開発者から、開発当初はジャンプの高度・飛距離ともに任意で調節できるようにしていたが、あまりにも同期が取りづらく、あえて一定距離しか跳べないように変更したという話も聞いたことがある。

 しかし、『SAオンライン』はアクション性の高さにこだわったタイトルであり、差別化できる大きな特徴としているだけに、なんとかもう少し改善してほしいところだ。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲家庭用ゲーム機と比較するのは無茶を承知で、あともうひとひねり、アクション性という部分に力をいれてほしい。▲ダンジョンの難易度は場所によって異なる。中には異様に厳しいエリアもあった。

 CβT最終日の2月1日に行われたGM主催トークイベントでは、オークション、召喚、ペット、第四のキャラクターの実装予定が発表された。個人的にうれしいのは、ゲームパッドへの対応が最優先にされているということだ。キーボードでも操作できるが、やはりアクションゲームはパッドでプレイしたいところ。またアクション性についても、格闘ゲームのようなヒット効果を入れるべく開発中との話だ。詳細は不明だが、今のもっさりした動作が改善されるのであれば大いに歓迎したい。新マップ作成にも意欲的に取り組んでいるらしく、日本オリジナルマップなども登場するかもしれない。

 テスト初日こそ不具合が目立ったが、その後の運営側の対応は申し分のないものだった。特に、午前0時をすぎでもゲーム内にGMキャラが現れてプレイヤーと会話したり、日曜にも関わらず問い合わせのメールに数分で(テンプレートではない)返信が来るなど、運営スタッフの頑張りが伝わってきたことは、ここにキッチリと記しておきたい。

『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』 『スーパーアクションオンライン』
▲マップ上で目的地を指定すると、そこまでの経路を矢印で示してくれるガイド機能。▲ダンジョン内部でさらに道が分岐する。目的のエリアへ続く扉を探そう。▲見るからに崩れそうな足場。途中に敵や機雷が配置されていることも。
【ゴンタ丸(ライター)/プロフィール】
 『SAオンライン』のターゲット層にピタリ当てはまる年齢層ながら、今なお反射系ゲーム(ACT・SHT)を好む、雑食ゲームライター。なぜかゲーマーと呼ばれると否定し、単なる無類のゲーム好きと言い張っている。「理想のゲームを作る」といってプログラム言語の勉強を開始して数年たつが、一向に進展する気配がない。

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データ

▼『スーパーアクションオンライン~天使たちの聖戦~』
■メーカー:ケイブ
■開発:LIVE PLEX
■対応機種:PC(対応OS:Windows XP/Vista)
■ジャンル:A・RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:未定
■プレイ料金:無料(アイテム課金)

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