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2010年2月10日(水)

前作でやれなかったことを! 『タツノコ VS. CAPCOM UAS』開発者インタビュー

文:電撃オンライン

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 カプコンから1月28日に発売されたWii用ソフト『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS(タツノコ VS. カプコン アルティメットオールスターズ)(以下、タツノコ VS. CAPCOM UAS)』の開発スタッフに、インタビューを行った。

 本作は、2008年12月に発売されたWii用格闘ゲーム『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES(以下、タツノコ VS. CAPCOM)』の海外バージョンを国内向けにリリースしたもの。新たなキャラクターが登場することに加えて、キャラクター性能の調整やWi-Fiを使った通信対戦にも対応しているのが特徴だ。

 以前、電撃オンラインがカプコン広報のビッグマウスIKEと『タツノコ VS. CAPCOM UAS』の対戦企画を行い、見事に勝利を収めたのはこちらの記事で掲載した通り。その後、雪辱を誓ったビッグマウスIKEが、PS2『史上最強の弟子ケンイチ 激闘!ラグナレク八拳豪』や『ストリートファイターIV』を手掛けてきた新妻良太プロデューサー、さらに格闘ゲーム好きにその名が知られるエイティングの番長さんを巻き込み、壮大なリベンジマッチを開催。その模様は、こちらの記事をご覧いただきたい。

 そのリベンジマッチ終了後、興奮覚めやらない電撃オンラインのkbjとカネキングは、新妻プロデューサー、プランナーの番長さんに加え、同席していたエイティングの井川亮太プロデューサーにインタビューを敢行。『タツノコ VS. CAPCOM』の開発秘話から、追加キャラクターのコンセプト、そして要望が多かったが追加されなかったキャラの秘話など、さまざまなことを語っていただいたので以下に掲載する。なお、インタビュー中は敬称略。

『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』
▲左から番長さん、井川プロデューサー、新妻プロデューサー。

■ソフトの開発経緯、そして海外での反応とは!?

『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』
▲2008年に発売された『タツノコ VS. CAPCOM』のジャケットがこちら。

――前作『タツノコ VS. CAPCOM』が2008年の12月に発売されましたが、開発はいつごろからスタートしたのでしょうか?

新妻:エイティングさんに依頼したのが2007年の初頭です。その前に、タツノコさんからゲーム化のお話しをいただいていて、カプコン内では2006年の中ごろくらいからどうしようかと話し始めていました。ちょうどそのころに格闘ゲームを再び作っていくという流れが社内でありました。実は、小野(※1)と僕で、『ストリートファイターIV』と『タツノコ VS. CAPCOM』を作っていたんですが、2人で2作作るならば、1人1作のほうがいいだろうということで、途中から枝分かれしました。しかしタイトルが大きかったので、『ストリートファイターIV』はアーケード版が一区切りするまで担当してましたね。

※1……小野義徳プロデューサー。『ストリートファイターIV』や『モンスターハンター フロンティア オンライン』をプロデュースしている。古くは『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』や『CAPCOM FIGHTING Jam』の開発にも携わっている。

――ゲーム化の話は、タツノコプロさんから持ちかけてきたと?

新妻:そうですね。「うちのキャラでゲームを作りませんか?」とご提案いただきました。最初から格闘ゲームに決まっていたわけではなく、ゲームを出すことの提案でしたね。

――そして、対戦格闘ゲームとして動き出すと思うのですが、アーケードとWiiを選択したのはなぜだったのでしょうか?

『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』
▲新妻プロデューサー。お気に入りのキャラは大鷲の健。

新妻:対戦格闘ゲームなので、アーケードは出したいと思っていました。ただ、業界的に基板の転換期だったんですよ。それまであった“SYSTEM256”基板(※2)がもう作られなくなるということで、それに変わるものを探す必要がありました。“Taito Type X”やプレイステーション3にあわせた“SYSTEM357”という選択肢もあったんですが、予算などと照らし合わせると、そこまで高性能である必要はない。とか考えている時に、Wii互換基板の存在を知りました。Wiiで出すことも選択として考えていたので、その基板を使ってアーケードとWiiでリリースしようという流れになりました。

※2……バンダイナムコゲームスがリリースしていた基板・SYSTEM256のこと。プレイステーション2との互換性がある。カプコンでもこの基板を使っているタイトルはある。

新妻:ただ、エイティングさんともかなり相談しました。基板は従来通りにPS2基板にして、コンシューマをWiiで開発するのと、基板からWii準拠でやるという選択。この時点でWii互換基板は未知数だったんですが、エイティングさん的にも「Wii互換基板の方がやりやすい」ということだったので、決断しました。Wiiで出すことも含めて、アーケードと関係がありましたね。

『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』
▲今年の1月に発売されたばかりの『タツノコ VS. CAPCOM UAS』のジャケット。

――今回発売された『タツノコ VS. CAPCOM UAS』は、海外で発売されたもののローカライズ版ですよね。国内でもリリースされることになった理由を教えてください。

新妻:海外で要望がすごかったので、最初は国内で作ったものを向こうで発売するだけだったんですよ。ただ、キャラクターを足したり、ゲームバランスの調整などは元々するつもりでした。そしたら、営業サイドから「これだけ作ったんだから、やっぱり国内でも出さない?」と言われ、急いで調整して「これで決定」というトップの会議があるんですが、それの直前……1週間前くらいで滑り込みで決まりました(笑)。

――そんなことがあったんですね。

新妻:海外向けに作っていたので英語表記だけど、日本で出せないことはない。ただ、ギリギリすぎたので音声などの変更は大変でしたね。日本で出すなら、さすがにボイスは英語ではなく日本語にしたかったのであわてて調整しました。

――VS.シリーズというと海外のファンが多いというイメージがありますが、『タツノコ VS. CAPCOM UAS』の海外での反応はどうですか?

新妻:日本と比べて、ケタ違いの人気ですね。『ストリートファイター』よりも簡単な操作で派手な演出が展開するというVS.シリーズのゲーム性が、海外のユーザーとマッチしているのかもしれません。E3(Electronic Entertainment Expo)で発表してから何度か出展しているんですが、毎回好評でした。1月23日にニューヨークにあるニンテンドーワールドストアでイベントをやらせていただいたんですが、何百人という方に集っていただきまして……。サイン会もやったんですが、1時間の予定が3時間半にもおよんで大変な状況でした(笑)。

――タツノコキャラの受けはどうでしたか?

新妻:タツノコキャラということを知っている人はコスプレをしていたりしますし、知らない人でもVS.シリーズの最新作という形で受け入れられていて、こちらがビックリするくらい盛り上がっていましたね。やはり、ガッチャマンやヤッターマンはかなり知られていました。それ以外のキャラは、そこまで知られていなくても「カッコいいよね!」という風に受け入れられている。“キャラクターのかっこよさ”というのは、ある意味全世界共通なんだとと感じました。

――今回、Wiiのみで開発することになったのには、どういった理由があったのでしょうか?

新妻:海外で売ることを考えると、向こうはアーケードという市場がない。海外メインで売らなくてはいけないものに対して、それを最大限取りにいけない座組みを組むのはよくないかなと。またアーケードは特殊なジャンルで、準備に時間が必要。他にも予算や昨今のアーケード事情の問題もあります。一部のユーザーさんには大変申し訳ないんですが、アーケードという選択肢は最初から考えていませんでした。個人的に一番よくないのは、このタイトル自体がなくなること。これが続くのであれば、それはある意味成功だと思うんですよ。

■追加されたキャラクターのコンセプトをまとめて紹介!

――今作の売りはどこでしょうか?

新妻:ユーザーさんから一番要望の多かった、Wi-Fi通信対戦部分をしっかり作ったというところですね。あとは、そのまま出しましょうというのではなく、キャラクターを追加したり、バランス調整を行ったこと。追加したキャラに関しては、ユーザーさんからの声をかなり反映しています。リクエストが集った時点では『タツノコ VS. CAPCOM UAS』が出ることは決まっていなかったんですが、「もし出るなら、このキャラを」というリクエストの中から、チョイスした形になっています。

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▲プランナーとして、開発に深くかかわった番長さん。お気に入りのキャラはテッカマンブレードだとか。

――その追加されたキャラですが、それぞれのコンセプトについて教えてもらえますか? まずは、テッカマンブレードから。

番長:自分は原作である『宇宙の騎士テッカマンブレード』を全話見ていたんですよ。今回追加されることを聞いて「よし!」と思って、また全話見たくらい好きなんです!

(一同笑)

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番長:イメージ的には速い! 強い! その2つがあって、デカい技を振るというのがある。早くてパワーがあったら強いのは当たり前なので、そこをどうしようかというのがテーマでした。ダッシュは出が遅いんだけど、加速すると早くて一瞬で画面端まで行くとか、コンボの威力もあるけど技の振りが大きいので当て難く隙が大きいなど、スピードとパワーはあるけど、技自体はそこまで使いやすいのはないという仕上がりになっています。

新妻:テクニカルキャラという位置づけですね。でも慣れると選択肢に入るキャラでしょう。

――コンボの威力がありますよね。

新妻:ユーザーさんが高いレベルに到達するのが想像よりも早かったので、もうちょっとクセがあってもよかったかなとも思いました(笑)。

――次は東京ゲームショウ2009で発表されたフランク・ウエストをお願いします。

番長:フランクは原作の『デッドライジング』がああいう作品なので、いろいろやりたかったんですよね(笑)。やっているうちに地味になってしまったんですが、原作はあれだけ派手でいろんなことをやっている。今回のゲームがVS.シリーズなので「思い切ってやってしまえ!」ということで、いろいろなものが画面を飛び回るキャラに落ち着きました(笑)。このキャラもテクニカル……というか、マニアックなキャラになっています。

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新妻:ハチャメチャなんだけど、キャラクターの中でネタキャラにはならず、ちゃんと戦えるキャラになっています。なお技に関しては、タツノコさんに多大なご協力をいただきました。『ロックマンDASH』のコブンの頭を、タツノコキャラにかぶせることについて「大丈夫かな?」って思っていたんですが、「いいですよ」と言ってもらえて、逆に「ええっ! いいんですか!!」って(笑)。本当にタツノコさんに感謝したいキャラクターです。

――なるほど。では、コンドルのジョーとゼロは?

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番長:ジョーはどう戦わせるか迷いましたね。すでに『科学忍者隊ガッチャマン』から、大鷲の健と白鳥のジュンがいたんですが、同性能のキャラにはしたくなかった。最初は横方向飛び道具とかを持っていたんですけど、オーソドックスなキャラをこれ以上増やしてもしょうがないと思い、複雑な仕様の羽手裏剣を出してみたり、斜め上に打つ飛び道具を作ってみたり……でも、このゲームは飛んでいることが多いので、それを打ち落とせるって「この技だけで強いのではないか?」と考えたりとか。そこに肉弾戦も入れてという感じで、いろいろ調整しましたね。

――あまり格闘ゲームに詳しくないユーザーはバードミサイルが好きで、とりあえず飛び回ってバードミサイルを撃ちまくれば戦えるというのを聞きますね。

番長:バードミサイルは、入れなきゃいけないだろうって(笑)。

新妻:もはやネタ技になっていますけど、僕らは大真面目に作っていました。あと、前作を含めて悪役を入れてないんですけど、コンドルのジョーは唯一ダークヒーローの側面もあるキャラです。相手を拘束して撃ったりとかって、ヒーローではできない技を入れてますね。他にも演出では当て身ばっかりしてみたり。そういう、他のキャラにはない動きを意図的に入れてほしいという要望をしました。

番長:当て身はいろいろと試しましたね。自分でも決めたくて出しますからね。

新妻:当て身は、スクリーンショットとか取ると見栄えがいいですね。でも狙って使うと、スカるんだよね(笑)。

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番長:ゼロは、スピードと手数で戦うキャラにしたかったんですよ。そして武器も持っているので、ある程度リーチも長い。そうすると、前作の鴉を省みて、体力は下げざるを得ないかなと(苦笑)。でも、スピードと手数で動き回れて、高性能の飛び道具や対空必殺技があるので、本作の新キャラの中では使いやすい部類だと思います。ただ、やられやすくはありますね。

新妻:体力は低いんですけど、このゲームを覚えるという意味では高性能な要素がちりばめられています。飛び道具も対空もあって、差し込める技もある。攻撃が当たった時の硬直――ヒットストップが大きいので、ヒット確認もしやすい。パートナーが援護するヴァリアブルアシストだったり、強制キャンセルができるバロックコンボを行える余裕があったりと、使いやすいと思いますね。ネックとしては体力が低いので、少しやられると厳しくなります。ただ、使っているうちにうまくなるのを実感できるため、初心者にもオススメのキャラです。

番長:マニアックになるんですが、溜めバスターと、相手の背後に回れる移動技がかなり強力です。初心者の方が飛び道具と対空技を覚えた後でも、やれることは多くて楽しいキャラですね。

新妻:……あとは、ファンの多いキャラなので気を使って作りました(笑)。

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――確かにゼロはファンが多いですよね。

新妻:そうですね。なので、気を使っています。

井川:演出に何度かNGを食らった記憶があります(苦笑)。

新妻:ロック・ヴォルナットもそうなんですが、『ロックマン』って手足をデフォルメしているので、そのままキャラを作ってしまうと、手足が大きくなりすぎてイビツになってしまうんですが、そこを外すと『ロックマン』のテイストがなくなってしまう。また、格闘ゲームにおいて、当たり判定の問題でそこまで大きくするわけにはいかない。そこで葛藤(かっとう)はありましたね。実際に作ってみて「どうする?」という感じでした。あとは、普段は絵にあまりダメ出しをしないんですが、このゼロだけイラストを手掛けた森気楼(しんきろう)に何度か描きなおしてもらいましたね。

――最後に公開されたのは、ヤッターマン2号ですね。

『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』

番長:パワーキャラではないので、スピードキャラで手数も欲しいという印象が最初にありました。でも、そうするとオーソドックスになりがち。飛び道具が画面をずっと飛び回っているようにしたり、これまでなかったオプション・オモッチャマを出せるようにしたりと、かなり力を入れて作りましたね。……あとは、レベル3のハイパーコンボのボタン連打で、どれくらいのダメージを出せるのかを競い合ってほしいです(笑)。

新妻:VS.シリーズにおいて、ボタン連打でダメージアップは基本。ヤッターマン2号のハイパーコンボは演出的にもわかりやすいので、ぜひ連打してください。あとは、やっぱりキャラクター性をしっかり出したかったというのは意識しました。そこはいろいろ指示を出しています。他には……アイちゃんの顔が気に入らないって、何度かリテイク出しましたね(笑)。

井川:そうですね、5~6回はやり直したと思います(苦笑)。

新妻:目が! 鼻が! 口が! って。

井川:「笑わせてみよう」とかもありましたね。

――ハクション大魔王が消えてしまったのはなぜですか?

新妻:版権の問題ですね。日本では問題ないんですが、北米や欧州では問題になりそうな設定もあったので外させてもらいました。

――ただ、その結果としてタツノコサイド13人、カプコンサイド13人というキレイな形になっていますね。そこを踏まえて、追加キャラが5人というのが決まったのですか?

新妻:エイティングさんと相談して、発売日から逆算すると5人くらいだという結論になりました。キャラクターチェックや調整はタツノコさんともやらせていただきますし、テッカマンブレードに関しては創通さんにもお願いする必要がある。もうちょっと時間をかければ入れられたキャラもいたんですが、コストの部分も考えて、今回はこの数に落ち着きました。

→次のページでは、細かい調整内容やボツになったキャラの情報が!

(C)タツノコプロ (C)2005 タツノコプロ/鴉-KARAS-製作委員会
(C)CAPCOM CO., LTD. 2008, (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2008 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)Tatsunoko Pro duction (C)SOTSU・Tatsunoko Prod uction
(C)2005 TATSUNOKO Pro./KARAS Committee.ALL RIGHTS RESERVED
(C)CAPCOM CO., LTD. 2010, (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.
「タツノコVS. カプコン」は一部(株)竜の子プロダクションの許諾を受けて、(株)カプコンが製造・販売するものです

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データ

▼『TATSUNOKO VS. CAPCOM ULTIMATE ALL-STARS』
■メーカー:カプコン
■対応機種:Wii
■ジャンル:FTG
■発売日:2010年1月28日
■価格:3,990円(税込)
 
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▼『タツノコVS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES』
■メーカー:カプコン
■対応機種:Wii
■ジャンル:FTG
■発売日:2008年12月11日
■価格:7,340円(税込)
 
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