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2010年5月11日(火)

独裁者となり東西冷戦の狭間で甘い汁を吸うユーモラスな箱庭ゲー『トロピコ3』

文:電撃オンライン

■米ソの対立をうまく利用しつつ、海外からの援助で自国を豊かにする

 3Dで描かれた島内を歩き回る住民には、それぞれ食料・住居・医療・娯楽・宗教・自由といった基本的な欲求が、1人1人違った優先度で設定されている。そうした欲求を満たして住民たちの“幸福度”を上げ、前途ある安定した国家運営を目指すのがプレイヤーの仕事だ。農場をいっぱい建てて島の雇用と食糧事情を改善する、公営住宅を増やして住む場所を提供する、バーやレストランを建てて楽しんでもらう、教会を建てて神父を招き、ゆくゆくは大聖堂を、といった方法で、それらを段階的に満たしていく必要があるわけだ。

『トロピコ3』 『トロピコ3』
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『トロピコ3』 『トロピコ3』
▲いま考えていることまでダダ漏れなのはゲームならではの設定だが、通行人をつかまえて片っ端から考えていることを見てみるのもちょっと楽しい。

 しかし、それらのためには財源が必要であり、住民にはより多くの外貨を稼いでくれる産業に従事してもらいたい。だが高度な仕事ほど高い教育を受けた人が必要になるのは理の当然だ。そのために必要なのは高校や大学で……という具合に、ゲーム内のさまざまな要素は住民を介してつながっている。どこから重点的に整備していけば未来が拓けるか、それを考えるのもひたすらプレイヤーの仕事。なにしろ独裁者なんだから仕方ない。

 ただし、いちいち海外情勢に振り回されるのも、決して悪いことばかりではない。たとえば教育者や高度な技術職については明治日本の“お傭(やと)い外国人”よろしく、お金を払って海外から招へいすることも可能だ。また『トロピコ』の時代設定である1949年~1990年という期間に対応して、世界ではアメリカとソ連という二2大超大国がメンチを切りあっており、お互いに仲間を集めて自陣営を拡大したがっている。そのどちらか、あるいは両方と良好な外交関係を築けば、財政援助が受けられる。また、特定の施設の建設費用を出してくれたりもするのだが、そこでソ連が住宅政策を重視するとか、アメリカが商業・娯楽施設にお金を出してくれることが多いといった点も、知っている人は思わずニヤリとしてしまう、実にそれらしい設定だ。

『トロピコ3』 『トロピコ3』
▲“診療所”に海外から医師を招へいするところ。お金がかかるが手っ取り早い、社会インフラの整備方法だ。▲“高校”を建ててみる。“大学”まで揃えばあらゆる人材を自国民でまかなえるが、育成には時間がかかる。

 アメリカ陣営(西側)とソビエト陣営(東側)に挟まれた小さな島国といえば、キューバを思い浮かべる人も多いと思うが、『トロピコ3』でプレイヤーに降りかかる事態には、キューバの史実を踏まえたものも多い(ただしゲーム内でのイベントメッセージでは、キューバは別の国としてきちんと存在することになっている)。実際、極端にアメリカの機嫌を損ねると、島の周りにアメリカの巡洋艦が現れて、海域を封鎖する。こうなると商品の輸出も人材の招へいも観光客の往来もストップされて、国は干上がってしまう。そこでアメリカに妥協するのも、ソビエトとの関係をますます強めて対抗するのもプレイヤーの選択次第。ユーモラスな絵柄や音楽に彩られながらも、ときにシリアスなのがこのゲームである。

『トロピコ3』 『トロピコ3』
▲シナリオによっては、序盤の苦境を乗り切るために海外からの人道援助が使える場合もある。限られた予算の使い方に自由度が増すため、非常にありがたい。ごっつぁんです。▲難民受け入れと引き換えのヒモ付き援助だが、労働人口が不足気味のときは“渡りに舟”といった心境。食糧不足や急速な治安の悪化を警戒しつつ、受け入れてみる。

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データ

▼『トロピコ3』
■メーカー:ラッセル
■対応機種:Xbox 360
■ジャンル:SLG
■発売日:2010年5月20日
■価格:7,140円(税込)
 
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