2010年5月28日(金)
──金社長ご自身は、以前のバージョンの『HELLGATE』が成功せず、急速にプレイヤー数を減らしていった原因をどう見ていますか?
金 裕羅氏:当時の担当ではないので必ずしも正確に把握しているわけではありませんが、準備が足りなかった、見切り発車だったというのが一番問題だと思います。FPS/TPS(3Dシューティング)っぽい性格を持つMOスタイルのゲームを、いまよりもオンラインゲームのジャンルが狭かった時期に、準備不足のまま送り出してしまったことでしょうね。とくに日本のゲームファンの目は厳しいですから、今回のリニューアルに当たっては十分に考え、そのうえでテスターさん達の率直な意見をいただければと思っています。
──サービスとしての完成度の問題だからこそ、あえて日本市場でHUEが挑戦するのだと考えると、非常に興味深く思えてきますね。
金 裕羅氏:本当にゲームが大好きな、日本のプレイヤーさん達に認めてもらえる作品に仕上げていくのは、確かに大変だろうと思います。ただ、これまでプレイヤーさん達の意見をゲームに反映し、また自分達でもゲームの完成度にこだわってきたHUEとしては、ぜひ挑戦してみたいことでもあります。もともと『HELLGATE』のゲーム性は高く評価されてきたのですから、それに十分なサービス形態が組み合わされば、有力な作品として甦るはずです。
──ゲームの中身についてはいかがですか? HUEが自分達のアイデアを活かしながら運営するならば、細かい部分ではいかにもいろいろな変更/追加が出てきそうな気がします(笑)。
金 裕羅氏:もちろんローカライズ/カルチャライズ要素だけでなく、この作品がもともと持っていた壮大な構想を活かす方向での拡張を、さまざまに検討しています。また、日本のゲームファンの方に気に入ってもらえるであろうさまざまな要素を追加していくことも、先々でもちろん考えています。
オンラインゲーム市場だけでは、まだまだ小さい市場だと私は考えています。ふだんコンソールゲームをプレイしている方に触っていただいて、コンソールゲームと通じる魅力を感じてもらえたらな、とも思っています。MMOでなくMOタイトルである『HELLGATE』は、それに適した作品でもありますから。身近な友達数人で楽しむのに最適であることは、今後強調したい部分ですね。
──リニューアルされた『HELLGATE』に、シングルプレイモードは存在しますか? また、難易度設定についてはどうでしょうか?
金 裕羅氏:シングルプレイモードはありません。難易度設定についてはミッションごとに用意され、考え方がまったく異なるものになっています。
──なるほど、そのあたりも含めてオンラインサービスにふさわしい形に変更されているわけですね。そもそも基本プレイ無料/アイテム課金制で運用されるとのお話でしたし。
金 裕羅氏:パッケージゲーム型からオンラインゲーム型への変更、課金体系の変更は、おおむね『HELLGATE Resurrection』のときに果たされていまして、これに対する韓国での反応は、とくにFPSになじんだプレイヤーが“打撃感”の心地よさを評価してくれる、という感じでした。今回のテストは、これに若干我々なりの意見を反映されたバージョンからスタートします。
──韓国で追加されたTokyoマップとは、どんなエリアなのでしょうか? また、これから始まる改善テストにも出てきますか?
金 裕羅氏:『HELLGATE: London』の舞台はロンドンで、暗い地下が主体のマップでした。Tokyoマップでは地上のフィールドに力を入れています。東京以外の土地も含まれていますし、桜の木が見どころのマップなどもあります。また、アジアっぽい外見のキャラクターも追加しています。ロンドンマップに続いて、戦いの舞台が東京マップに移る、という形でストーリー上に位置づけられています。
今回のテストでは、残念ながら含まれていません。まずは最新の基幹システム+ロンドンマップからスタートして正式サービスまで完成度を上げていきますので、東京マップはその先のアップコンテンツの一つと考えていただければと思います。
──リニューアル版『HELLGATE』では今後、独自のアバター要素が盛り込まれていきますか? 旧『HELLGATE: London』はいかにも洋ゲーという風情でしたが、日本を含むアジア地域でのオンライゲームサービスとしては、避けて通れない大きな検討課題の一つですよね。
金 裕羅氏:先ほどお話したように、東洋人風のキャラクターなどはすでに含まれています。その先は……まだ詳しくはお話しできません。ただ、私が2009年6月に日本に赴任してから、日本市場では本当にキャラクターの可愛らしさ、微妙な造作が大きなポイントなのだと実感させられています。ですからキャラクターについては、キレイ、ステキと思ってもらえるように追加と変更を続けています。
──今回の評価・改善テストの段階で、キャラクターの造作以外にHUEとしてこだわって『HELLGATE Resurrection』からさらに変えた部分はどういったところでしょうか?
金 裕羅氏:細かい部分では相当あるのですが、具体的なお話はテストと開発を進める段階で、さまざまな意見を聞きつつ、あらためてアナウンスしていきたいと思っています。以前の『HELLGATE』で足りなかった部分、直してしかるべき部分は改善されていますので、ぜひご覧いただきたいですね。
──脈絡のない質問で恐縮なのですが、『HELLGATE』の開発スタッフのなかに旧FlagShip Studioの方はいるのでしょうか?
金 裕羅氏:現在はいません。昨年(2009年)までは35人くらい在籍していたのですが、昨年中に引継ぎが完全に終わって、現在は100%韓国で開発されています。
──では最後に、HUEが『HELLGATE』をリニューアルするに当たって抱いている抱負や意気込みの部分をお聞かせください。
金 裕羅氏:HUEが目指しているポジションは、単に“ステキなゲームをサービスする会社”ではなく、日本のゲームファンの方が望む形をコミュニケーションのなかで汲み取り、ほかの会社がやらない方法でマーケティングと運営を進めて、成長していく会社です。ですからその意味で、今回の『HELLGATE』についてもテスターさんの意見をじっくり聞いて、実現可能なことを提供していきたいと思っています。
──本日はありがとうございました。
韓国における『HELLGATE Resurrection』で果たされた、基本無料/アイテム課金のオンラインゲーム化を引き継ぎつつ、新たに日本でリニューアルがスタートする『HELLGATE』。インタビュー終了間際に「あくまでまだ検討段階の話」として聞いたところ、ゲームパッドでの操作に対応する、声優さんを起用してキャラクターボイスをリニューアルするといったことも考えているようだ。
PCオンライゲームとコンソールゲームにまたがるトレンドとして、FPSの普及と、3~4人での協力プレイの流行は、どちらも『HELLGATE』にとって追い風といえる。旧『HELLGATE: London』の爽快なゲーム性を活かしつつ、どんなゲームに仕上がっていくのか、評価・改善テストの経過とHUEの打ち出す施策に今後とも注目していきたい。(Guevarista)
■次ページで『HELLGATE』のゲーム性やスクリーンショットを紹介
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■『HELLGATE(仮)』評価・改善テスト概要