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2010年6月26日(土)

『エルシャダイ』に詰め込んだおもしろさとは? 木村雅人プロデューサーを直撃!!

文:電撃オンライン

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『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
▲木村雅人プロデューサー。

――なぜ“エノク書”をモチーフにした作品を作ろうとしたのか、そのキッカケを教えていただけますか?

木村氏:イグニッション・エンターテイメント・リミテッドはイギリスに本社があるのですが、本社のスタッフでこの作品の種になる部分を考えていた人間がいたんですよ。そのアイデアに竹安の絵が非常にマッチして、「これはすごい作品になるんじゃないか?」という話になったんです。

――なるほど。本作で竹安氏はディレクターも手掛けていますよね?

木村氏:そのアイデアを持っていたスタッフがゲーム制作の経験がなく、本作の制作自体にも携わっていなかったんです。そこで竹安がディレクションを手掛けることになりました。

――“エノク書”をモチーフに据えたことへの感触は、どのように感じていますか?

木村氏:聖書というのは世界でもっとも有名な本で、ワールドワイドで見た時には、とても多くの人に親しみを持てるストーリーになっているんじゃないかと思います。どうしても日本人にはなじみのないモチーフなのですが、それだけに新鮮に映るんじゃないかと思います。

――世界と日本で、まったく違った第1印象を与える作品なのかもしれませんね。

木村氏:ええ。それと“エノク書”自体もとてもおもしろいところがあって、簡単に言うと“すごくおもしろくない本”なんですよ(笑)。

――おもしろくないところがおもしろい……ちょっとした謎かけのようですが、それはどういうことでしょうか?

木村氏:1つ1つのエピソードはとても興味深いものなのに、全体としてはすごくゆる~いお話ばかりが続くんですよ。だからこそ、自由度がとても高かったんです。エピソードごとに守る部分さえ守ってしまえば、あとはクリエイターの力量次第で物語をふくらませていけるんです。

――なるほど。作り手の目線からすると、とても脚色しがいがある素材だということですね。

木村氏:ええ。ですから、海外の人にも入りやすいストーリーになっているし、もちろん日本のプレイヤーにも楽しんでいただけるモノになっているかと思います。

――それでは、続いてタイトルについて質問します。『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~(El Shaddai ~ASCENSION OF THE METATRON~)』という言葉には、どのような意味が込められているのか教えていただけますか?

木村氏:『El Shaddai』は造語です。全能という意味の“shaddai”と天使を意味する“el”を組み合わせています。副題にもきちんと意味は持たせてあります。見る人が見れば、「ああ、なるほどね」と気付くようなものなので、気になる人はぜひ調べてもらいたいですね。

――次に開発について伺います。制作期間はどれくらいなのでしょうか?

木村氏:インタビューの冒頭でも述べた制作のキッカケ自体は、3年前のことなんですよ。もともとイグニッション・エンターテイメント・リミテッドには日本の開発部がなくて、最初の1年は開発部の立ち上げに費やしました。実際に開発が始まってからは、2年弱といったところでしょうか。

――制作にまつわるエピソードなどはありますか?

木村氏:イギリス本社の社長は、竹安の絵にほれ込んでいて、この絵で何かを作りたいという純粋な願望があったんですよ。それでイギリスからわざわざ竹安に会いに来たんです。

――企画ありき、というワケではなかったんですね。

木村氏:ええ。本当にゼロから、人集めからこのゲームの制作は始まっています。純粋な創作意欲から生み出された作品ですね。日本開発は、そうした作品を扱うところになりつつあります。

――ビジュアル面のイメージが特徴的な本作ですが、どういった形で作り上げていったのでしょうか?

木村氏:ビジュアルイメージは、竹安がメインとなって作り上げたものですね。加えて、彼が信頼するスタッフが一緒になって作っています。ビジュアル的な部分でのフックを非常に重要視していて、“新しくて引っかかるけれどイヤじゃない”というのを目指して作っていますね。

『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
▲こちらは本作のイメージボード。年代や国などを意識させない、幻想的なイメージが印象に残る。
『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
▲壁画のような演出で語られる伝説の一場面。こうした演出を駆使して、壮大な物語にプレイヤーを引きんでいく。

――アクション要素でこだわった点は?

木村氏:“戦闘の緊張感”を大事にしようとは考えていますね。それと操作のシンプルさという点にも気を配っています。では、ヘビーユーザーにはどういうフックを用意しているのかというと、こちらはコンボです。ものすごくたくさんの分岐があって、探っていけばいくほど、多くの答えが見つかる作りになっています。このゲームを作る際に、ユーザーフレンドリーをガチンコで突き詰めようということがあったんです。

――たとえばそれは、どのようなところですか?

木村氏:まずユーザーインターフェース(以下、UI)がないこと。ダメージなどは、鎧がはがれるなどの演出によって把握できるようにしています。どうしてもライフゲージのような表示が出てしまうと「ゲームだからね」とプレイヤーが冷めてしまう部分があると思うんです。そういうところはなくそうと。ですが、逆にライフゲージのようなUIがおもしろさを味わわせてくれる部分もあると思うんです。ですから、それも楽しんでいただけるようになっています。詳しいことはまだ秘密ですけど、お楽しみにしていてください。

『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
▲こちらが攻撃によって鎧がはがれる様子。ここまでに掲載したスクリーンショットにも、視線をさえぎるようなUIは一切配置されていないので、気になる人は見直してみては?

――6月21日の記事では、“アーチ”という武器が紹介されていますよね。かなり特徴的な形状の武器ですが、これはどういった武器なのでしょうか?

木村氏:このゲームにおける一番スタンダードな武器で、一般的なアクションゲームにおける剣のような存在ですね。とはいえ、単なる剣にはしたくなかったんですよ。やはり神から与えられた特別な武器ですので。この武器に関してはテーマが2つあるんですよ。1つは“見たことがないモノであること”そして“パッと見て武器だとわかること”。誤解を恐れずに言ってしまえば、『スター・ウォーズ』におけるライトセーバーですよね。あれくらいわかりやすく、魅力のある武器にしたいなということで生み出された武器なんです。

『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』 『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
▲“アーチ”を構えるイーノック。はたしてここから、どんな攻撃が放たれるのだろうか?

木村氏:“アーチ”を使ったアクションについては、私たちもどんなモノにすればいいのか苦労しましたね(笑)。弓なりの形状をしているから、回転系のアクションのカッコよさもありますし、半月刀のような斬るアクションのカッコよさ、さらに棒術のアクションなども織り交ぜて、この作品でしか見せられない気持ちいいアクションを追求しました。

――刃の部分のギザギザなんかは、なんだかノコギリのような凶悪さも感じさせますよね。

木村氏:あのギザギザの部分は、先ほど言った“パッと見て武器だとわかること”というテーマが現れたモノなんですよ。最初は、刃の部分を光のオビのように表現していたのですが、それだと今ひとつあの部分が“刃である”ということが伝わらなかったんですよ。あのギザギザはどうしたって鋭利なモノ――斬れそうなモノを連想させてくれますよね、だからギザギザなんです。

――武器というのは、“アーチ”以外には登場するのでしょうか?

木村氏:ええ、登場します。武器には1つ1つにいろいろな特徴を持たせていますから、そこも楽しんでもらえるのかな、と思っています。

――では最後に、ユーザーにひと言メッセ―ジをお願いいたします。

木村氏:ひと言というのは何とも難しいですが、「こんな画面、見たことありますか?」ですかね。画面を見て、興味を持って足を踏み入れていただければ、きっと後悔させないおもしろさを提供できると思います。皆さん、ぜひ『エルシャダイ』に足を踏み出してください。

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データ

▼『エルシャダイ~アセンション オブ ザ メタトロン~』
■メーカー:イグニッション・エンターテイメント・リミテッド
■対応機種:PS3/Xbox 360
■ジャンル:ACT
■発売日:2010年予定
■価格:未定

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