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2010年8月27日(金)

【経営者は語る第9回】縮小するPCゲーム市場の可能性に着目するSi-phon

文:電撃オンライン

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■マップは国単位だが国内には潜在的な敵もいる

――国からの収入を左右する“安定度”については、どのくらいの落差を想定していますか?

石川氏:潜在能力からみて、2割程度にまで落ち込み得る状態を考えています。それと“安定度”が低い状態で敵に攻め込まれると、その国の中の反抗的な領主達=地侍が敵に加わるという形で、敵の兵力が増える設定になっています。

『【経営者は語る第9回】Si-phon』 『【経営者は語る第9回】Si-phon』
▲領国の安定度を上げるためには“統治”コマンドを実行する。“統治”は一種の掃討戦と位置づけられているため、コマンドを割り振った武将は戦に出撃できない。

――それはある意味リアルですね。マップこそ国単位だけど、切り取った国をきちんと軍事的に制圧しないと掌握したことにならない。越前の朝倉家や越後の上杉家とかの置かれた状況を再現できると。ところで自分が知行地を与えた譜代大名と、もともと独立していたがプレイヤーに従った臣従大名は、似たような位置づけになるのでしょうか?

石川氏:どちらも敵に寝返ると領国ごと持っていかれる点で似ていますが、戦に動員したときの位置づけが大きく違います。譜代大名の軍勢はプレイヤーのコントロール下にあるのに対し、臣従大名の軍勢はあくまで援軍として戦に参加しますので。

――俸禄や知行地を与える判断の基礎となる、武将ごとの能力値はどのように設定されているのでしょうか?

石川氏:有効に戦力を発揮できる兵力の大小が変わる、という仕組みです。ある武将が5000人の兵を連れていても、その武将の能力しだいで1000人分くらいまでの戦力しか発揮できないかもしれない。そういった形で武将の能力に差を付けています。

■戦争を繰り返すとむしろ勝てない戦国ゲーム

――テンポ良く進むストラテジーゲームとなると、外交要素が気になるポイントです。どんな形で進むのが『戦ノ国』の特徴なのでしょうか?

『【経営者は語る第9回】Si-phon』

石川氏:対等な同盟関係や従属関係を含め、自家を中心とするネットワークを広げていくというイメージですね。豊臣秀吉のように、すべての勢力を武力で打ち負かさなくても勝てるようにしました。それと、例えば同盟に成功したとしても、その関係が長期的に続くかどうかは分かりません。互いの友好関係や政治方針に沿ってAIが深く同調している場合もあれば、状況に応じて打算的に同盟している場合もある。そんな風に作っています。

谷村氏:他社さんの先行作品を見たときに、同盟による拘束度合いやペナルティが非常に大きい例が多いと思ったんですね。それは必ずしもリアルでないし、ストラテジーゲームとして見たときに、失っているものも多いと感じました。

『【経営者は語る第9回】Si-phon』 『【経営者は語る第9回】Si-phon』
▲無駄に戦を重ねず、相手を平和的に臣従させたり、同盟を駆使したりするのが勝利への早道らしい。

――ストラテジーゲームの華というべき戦闘については、どんな工夫がなされていますか?

石川氏:まず損害を非常にシビアに見ています。受けた人的損害が領国全体の収入や安定度の低下に直結します。勝ち続けても損害が大きければ疲弊しますので、外交要素をうまく使っていく必要があるわけです。

 戦闘そのものは国単位ですが、なるべく多くのルート=隣接国から同時に攻めたほうが有利になっていますから、そこでも合従連衡が活きるはずです。ただし、防御側は城を核にして部隊を各方面に再配置できるのに対して、攻撃側は別の攻撃ルートに武将と兵を割り振り直すことができません。

『【経営者は語る第9回】Si-phon』 『【経営者は語る第9回】Si-phon』
▲戦争では同盟/臣従大名を援軍として活用しつつ、多方面から侵攻するのがよいようだ。

――内線の利、というわけですね。ところで、最初のほうのお話にあった“プレイ時間を無駄にしないエンディング”について、もう少し詳しいお話を教えてください。近年の欧米製ゲームのように単純にプレイログが残ります、というお話ではなさそうですね。

石川氏:このゲームのエンディングの大筋は、“誰が天下を取ったか”と、“そのなかでプレイヤー大名家がどういう立場だったか”の二要素で決まります。それに加え、ゲーム内で取った行動や満たした条件によってオプション項目が発生する仕組みです。地域の特産品に大名の名前が残ったとか、ある戦いでの活躍が長く語り継がれたといったエピソードが年表に挿入されるわけです。同じような大きさの勢力で終わったときでも、プレイヤーが途中でとった行動によってオプション部分が変わっていきますので、そこを楽しみにしていただけたらな、というところです。

――では最後に読者に向けて、Si-phonブランドが今後目指していく方向性に関するアピールをお願いします。

石川氏:ストラテジーゲームの楽しさを、ぜひ体験してほしいですね。決して小難しいわけではなく、やっただけの充足感が得られる、そんなゲームを作っているつもりです。ストラテジーゲームというとどうしても、プレイがたいへんなんじゃないか、面倒なんじゃないかというイメージが付きまといます。しかし、ここまで述べてきたように例えば『戦ノ国』では、煩雑な要素を可能な限り排しつつ、プレイの仕方しだいでさまざまな結果が見られるように作っています。これをプレイしていただければきっと、「ストラテジーゲームっておもしろいんだ」と感じてもらえると思います。ぜひプレイしてみてください。

谷村氏:ストラテジーゲームが1980年代になぜ広まったかと考えたとき、ifの体験ができて自分だけのストーリーを作れるところが、むしろPRGやアドベンチャーゲームと一番違うところだったと思います。『戦ノ国』ではその原点に戻り、プレイを面倒にしている不要な要素がないゲームとして制作してみました。ストラテジーゲーム本来の楽しさを、ぜひ味わってもらえたらと思います。

――本日はありがとうございました。

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