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2010年8月24日(火)

【洋鯨亭 第24回】意外なところに良作が! Xbox 360のDLC『LIMBO』プレイレポ

文:電撃オンライン

 2週間ぶりのごぶさたでございます。洋ゲー紹介所“洋鯨亭”亭主のRonです。

【洋鯨亭 第24回】意外なところに良作が! Xbox 360のDLC『LIMBO』プレイレポ

 先週はお盆ということで更新をお休みしたわけですが、実際のところ休日ありませんでした(汗)。なぜなら出版社はこの時期、皆様おなじみのお盆進行という恐ろしいスケジュールで動くからです。

 そんなプチ多忙な時期ではありますが、ゲームを楽しむ心は忘れない私。ということで、気分転換にXbox LIVE アーケードの洋ゲー『LIMBO』をDL購入してプレイしてみました。

【洋鯨亭 第24回】意外なところに良作が! Xbox 360のDLC『LIMBO』プレイレポ

 これはデンマークにある開発スタジオ・PLAYDEAD社によって制作されたタイトルです。なんでもこのゲームが同社の1作目になるそうなんですけど、そのわりには作り慣れた感じのする良ゲーだったので、今回はこのタイトルをご紹介したいと思います。ちなみに、電撃オンラインの紹介記事はこちら

■『LIMBO』って何のこと?

 タイトル名の『LIMBO』とはキリスト教の用語で、死者が一時的に向かう、地獄でも天国でもない世界“辺獄”のことを言うのだそうです。そこは洗礼を受ける前に亡くなってしまった幼児や、地獄へ行くほどでもない罪を犯した者が行く場所……なのだとか。

 あの世をさまようゲームといえば、個人的にはタイトーのACT『地獄めぐり』やナムコ(現バンダイナムコゲームス)の『妖怪道中記』あたりを思い浮かべてしまうんですが、『LIMBO』の世界はこれよりももっと現世に近く、森や町、工場などが当たり前のようにあります。

 このいたって普通な背景を見ると、プレイした方は「主人公は本当に現世に生きているのか、あるいは現世によく似たあの世にいるのか」と戸惑ってしまうかもしれません。しかし、一見何の変哲もないこの世界でも、ひときわ異彩を放っているものがあります。

 それは主人公の命を一瞬で奪う、恐ろしく悪意あるワナの数々です。

 主人公はこれらのワナに何度も何度も挑まなければならないため、辺獄どころかまるで無限地獄にいるような目に遭います(無間地獄は仏教用語ですけど)。ここまで読んで「そんなに殺伐とした世界でいったいどんなストーリーが展開されるのか?」と気になる方がいるかもしれません。……が、実はゲーム中では、ストーリーは一切語られないんです。

【洋鯨亭 第24回】意外なところに良作が! Xbox 360のDLC『LIMBO』プレイレポ 【洋鯨亭 第24回】意外なところに良作が! Xbox 360のDLC『LIMBO』プレイレポ
▲モノトーンの背景に、黒一色のシルエットで描かれた主人公の少年。深い森の中で目覚めるところからゲームはスタートします。▲本作では、明確な物語がテキストで語られることはありません。代わりに、物語のイメージを膨らませてくれるようなシーンがたくさん登場します。

 本作はテキストはもちろん、導入部分となるオープニングもありません。また、アニメーションでストーリーが語られることもありません。

 それどころかハッキリとしたエンディングすらないのです。

 したがって本作の物語に関しては、公式ページにあるように“名もない少年が行方不明になった妹を探す”という程度しかわからないんですね。

 この徹底したシンプルさは、昔の2Dアクションゲームを彷彿(ほうふつ)とさせますよね。テキストはないけれども背景や敵キャラクターの変化でストーリーを感じさせる、というタイプのゲームです。後述しますが、このゲームにおいてはこの“情報の少なさ”が、いい方向に働いているんですよ。

■操作、演出などもすべてがシンプル

 上の画面写真を見てもおわかりのように、ゲームはすべてモノトーンで表現されています。よく見ると画面の四隅が暗くなっている効果(映像の専門用語で言うと“蹴られている”状態)や、近景と遠景が激しくピンボケしている効果(被写界深度が浅くなっている)を再現していることがわかります。

 これは古いモノクロ映画、あるいは影絵のアニメーションを意識しているということでしょう。いずれにしても白と黒の強いコントラストで描かれたビジュアルは、キャラクターや背景の詳細なディテールがわからない分、プレイヤーは想像力を掻き立てられます。

 画面上にスコアやステータスなどの情報表示がない点、さらには効果音以外のBGMがない点もその手助けになっているように思います。こういったないない尽くしはステージの構成にも及んでいて、ステージ間には大きな境目やセーブポイントもないのです(オートセーブはされています)。

 一応、クリアしたところはチャプター単位でスタート地点が選べるようにはなっていますが、通しでプレイしている際は、ステージとステージの境目はわからないと思います。

 このようにいろんな要素をバッサリと削ぎ落としたいさぎよい内容のおかげで、本作はゲーム進行のテンポがよくなっています。1回目のプレイに限って言えば、先を知りたくてどんどん進めてしまう中毒性と、この世界への強い没入感を味わえると思います。なぜ1回目のプレイに限るのかというと、本作がワナの内容を死んで覚える“覚えゲー”であるがためです。

→主人公を待ち受ける、恐ろしいワナと生き物たち……(2ページ目へ)

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データ

▼『LIMBO』
■メーカー:マイクロソフト
■対応機種:Xbox 360(ダウンロード専用)
■ジャンル:A・AVG
■発売日:2010年7月21日
■希望小売価格:1,200マイクロソフトポイント

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