News

2010年9月3日(金)

【CEDEC 2010】『アイマス2』ではココまでこだわる! かわいいアイドルの作り方

文:電撃オンライン

前へ 1 2 3 4

■まとまりのある貴音のロングヘアを作る――“アニメーション”ロングヘア編

 続けて竹内氏は、貴音を例に挙げてロングヘアの作り方を解説してくれた。ロングヘアを揺らす際にも、骨を入れることはおさげ髪と同じ。だが、おさげ髪よりも横に広がりがあるために、一列の骨だけでは大きな物体がぶらぶら動く不自然なものとなってしまう。そこでロングヘアの中に、複数の列の骨を用意。こうすることでロングヘアが複数列に分かれて揺れるのだが、今度はロングヘアとしてのまとまりを欠いたものになってしまった。この問題を解消するために、左右の骨の間にバネを入れてみる。こうすることで骨の列同士の距離が保たれ、まとまりのあるロングヘアになるだけでなく、髪の柔らかさも表現できるのだという。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 こうして完成したロングヘアだが、身体の部位などにぶつかったときにめり込んでしまうという問題もはらんでいる。これを避けるために、髪の毛やスカートといった揺れモノには、骨の位置に普通には見えない球状の判定を設定。同様に身体全体にも球と円柱の判定を設定し、揺れモノの球が身体側の判定にぶつかったときに、押し出してあげるという仕組みが施されている。

 ちなみに上記の衝突判定(コリジョン)の配置方法だが、ぶつかられる側(身体の部位やスカートの縁など)については、まずはキャラクターの腕や胴体、脚を円柱で囲む。そしてヒジや首といったつなぎ目の部分は球で埋める。そして揺れモノ側は、基本は球で設定。こうすることで揺れモノのめりこみを防ぎつつ、ぶつかったときも自然な動きが表現できるとのことだ。会場では春香と貴音の2人のキャラを、コリジョンを表示した状態で動かして見せてくれた。

『アイドルマスター』 『アイドルマスター』
『アイドルマスター』 『アイドルマスター』

 まとめとして竹内氏は、その他の課題をいくつか挙げた。まずは、より滑らかな挙動。これまでの作品と比較してかなり滑らかな挙動になったものの、この課題については「より魅力的な動きをさせるためにも、永遠に必要な課題」として取り組んでいくという。続いて挙げた課題は、柔軟な追加・削除。先に解説した骨やコリジョンといった要素を簡単に付け外しできるようにしたことで、『アイマス2』ではアクセサリを揺らすことも可能になった。そして最後の課題が高速化。前澤氏も話題にした処理速度への影響だが、骨によるシンプルな動作、球によるシンプルなコリジョン、これらによって負担を軽くすることに成功したという。『アイマス2』では十二分に魅力的な5人ステージを表現できるようになった。

 竹内氏は「最後になりますが、今日は前半の前澤が力説していたセンシティブシェーダーを、ぜひ覚えて帰ってください」とセッションを締めくくろうとしたが、後ろに控えていた前澤氏から「センシティブトゥーンです(苦笑)」とツッコまれ、最後も聴衆の笑いを誘っていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 以上が“次期アイドルマスター グラフィクス&アニメーション プログラミング プレビュー”セッションの内容。両氏に共通していたのは、『アイマス』に究極にリアルな映像を求めるのではなく、「よりアイドルを魅力的に魅せるにはどうするか?」に重きを置いていた点だ。アイドルが魅力的に映し出されるためならば、細かな物理法則や現実の条件をあえて無視することも必要。そして、「よりかわいく魅せる」というこだわりを盛り込むために、重い処理を軽減するための工夫も考える。イラストレーターや声優といったスタッフのみならず、両氏のような技術屋魂と作品愛を持ったスタッフもキャラクターを支えているからこそ、『アイマス』のアイドルたちは輝き続けるのだろう。

(C)窪岡俊之 (C)NBGI

データ

関連サイト

『アイドルマスター』特集ページ開設!

前へ 1 2 3 4