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2010年9月10日(金)

キモカワイイ獣人キャラと独自の世界観が魅力の『Dofus』先行プレイレポ

文:電撃オンライン

『Dofus(ドフス)』

 アエリアが今年の4月30日に、日本国内での独占契約締結を発表した『Dofus(ドフス)』は、仏Ankama社が開発を手がけ、主にヨーロッパを中心にサービスを展開しているPC用MMORPG。昨年の東京ゲームショウ2009にはAnkamaが単独ブースを出展。登録会員数約3,000万人の“ヨーロッパNo.1オンラインゲーム”と銘打ち、大々的にプロモーションを行っていたのが印象的なタイトルだ。

 そんな『Dofus』がアエリアの運営で9月15日より2日間だけのオープンテクニカルテスト、続けて9月20日よりオープンベータテストを開始する。そう、クローズドベータではなく、いきなりオープンベータテストに突入である。既に各国で正式サービスが始まっている安定した作品ならではの自信であろうが、現在公開されているティザーサイトはまだまだ情報が少なく、ゲーム内容をイメージしにくい。東京ゲームショウ2009で『Dofus』の試遊を行った、という読者もそう多くはないだろう。ということで電撃オンライン編集部ではアエリアを訪問して、キャラクター作成からチュートリアル、最初のボス戦までをざっと体験してきた。ゲーム概要やインプレッションを本記事でお伝えしよう。

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■あえてローカライズせずそのまま維持した『Dofus』独自の世界観

 “Dofus(ドフス)”とは卵を意味する単語で、世界から失われた6つの竜の卵を求めて冒険に出る。基本はヨーロッパ風の“剣と魔法の世界”がベースなのだが、それだけなら凡百のMMORPGと何も変わらない。しかし、ちょっと不思議な語感のゲームタイトルを始め、本作にはフランスのエスプリが効いた(かどうか実はよくわからないが)、既存のMMORPGとはどこか違うエッセンスが散りばめられている。特にその傾向が強いのがキャラクターデザイン、そして12種類もあるクラスの名前だろう。

 プレイヤーはキャラクターメイキングの際に、12種類の職業から一つを選ぶ。職業とキャラの外見は固定されており、純粋な人間タイプのキャラクターは存在しない。いずれも獣耳や翼が生えていたり、どう見ても顔がパンダだったり、獣人というか亜人種タイプのキャラクターばかり。イラストはパっと見カジュアル系MMOによくある、かわいらしいものだが、よくよく見ると8頭身で妙にマッチョなパンダ型や黒目がない白目オンリーの凶悪な表情、顔全体が緑の髪の毛で覆われてたり……。いわゆるアメコミ風とも異なる、そして日本人の美的感覚から言うカワイイとも何かが違う。そう、キモカワイイ系という言葉がピッタリのキャラクターデザインだ。

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▲女性キャラはムチムチボディを惜しみなく露出しているのだが、エロチックさや萌え要素はなぜか感じられない。しかし一度見たら忘れられない、インパクトの強いイラストである。

 海外産のMMORPGを日本で展開する場合、公式サイトのイメージイラストは日本版に差し替えるケースが多いのだが、アエリアはあえてオリジナル版を採用。「MMORPGタイトルがこれだけ増えている現状で、横並びのかわいいイラストを出してもインパクトがありません。『Dofus』独特の味をあえて前に出すことで、ゲーマーの注意を引くのも一つの作戦です」との話であった。

 このグラフィックに輪をかけて個性的なのが、12クラスそれぞれの名前だ。“パンダワのビールジョッキ”、“エヌトロフの指”、“ゼロールの砂時計”といった、名前だけ読んでもどんなクラスなのかさっぱりわからない。バックストーリーを見ると、ゼロールの砂時計は時間を操るスキルを使えるらしい、などぼんやりとした情報が得られるが詳しい戦闘スタイルは不明。こちらについても「あえてオリジナルの名前を生かし、個性を壊さないようにしている」との話だが、ビギナー向けに公式サイト上ではもうちょっと補足説明がほしい。

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▲キャラメイキングでは男女の性別、服やアクセサリ、髪の色が変えられる。顔タイプのカスタマイズなどはできない。
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▲事前にどんなスキルを使うクラスなのか確認できる。スキル内容を見れば戦闘スタイルもだいたい想像できるはずだ。

■ゆっくりゲームに馴染むための初心者エリア“インカルナム”

 操作方法など基本システムを学んだ後、プレイヤーが飛ばされるのは“インカルナム”というエリアだ。宿屋を中心に広がるインカルナムは、いわゆる低レベル向けのマップでだいたいレベル15前後までと、意外に長い時間を過ごせる。NPCからのクエストを受けつつ、モンスターを倒してレベルをあげるとステータスとスキルポイントの2つを獲得。これらを任意のステータス値、あるいはスキルに割り振ってキャラクターを育てていくわけだが、インカルナムにいる間限定で何度でも無料でリセットが可能なのだ。ステータス値は単純に攻撃/防御力を強化するのではなく、ステータス一つ一つに属性が設定されている。例えば活力を上げると土属性が、知力を上げれば火属性が上昇していく。また、精神を挙げると不思議なことに、獲得経験値が増加というオプションもある。各クラスに合った、または自分の好みの戦闘スタイルに育てるには、どれをどの順番で伸ばしていけば分からない時はとりあえず好きなように育ててみて、インカルナムを出る前にリセットして育てなおせるのは嬉しいシステムだ。

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 戦闘システムについても触れておこう。戦闘はシンボルエンカウントを採用しており、戦闘中はリアルタイムのターン制度となっている。画面下部のハートマークはプレイヤーのHP、その下の青丸の数字はAP(アクションポイント)、緑丸の数字はMP(ムーブメントポイント)を示している。

 戦闘に突入すると、まず敵に対してどの位置から戦いを始めるかを、赤いマス目から1つ選んで決定。フィールドは碁盤のようなブロック状に区切られているので、次にプレイヤーとモンスターは制限時間内でMPを使ってマス目移動し、射程距離に入ったらAPを消費してスキルを発動する。もちろん各種スキルには個別のアクションポイント消費が決まっていて、ポイントが足りなければ自分のターンは終了。スキルは常に残り数値を確認しながら使わねばならない。

 戦闘エリアには攻撃が通らない障害物、移動不可能なブロックがあることもしばしば。MPとスキルの射程距離、次のターンでモンスターがどう動くかを予測しつつキャラクターを操作していくのは、思ったよりも戦略性が高い。例えば、あるクラスはブロック上に踏むと動きを封じる罠や、毒の罠を仕掛けるスキルをもっているのだが、このスキル味方に対しても発動してしまう。味方を助けるつもりで罠をおきまくったら、逆に移動に制限をかけてしまった……なんてこともありえるのだ。

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▲ダンジョンでのPTプレイ。赤いブロックが移動可能なゲーム開始位置となる。▲青いブロックは現在選んでいるスキルの有効射程距離だ。▲リアルタイム制度なので、画面下部の中央にあるオレンジ色のゲージがいっぱいになるまでに、すべての行動を終えねばならない。

 筆者はエヌトロフの女性キャラでプレイしてみたところ、お宝ハンターという商人色の強いこのクラスには“ポーチ(鞄)”を召喚して戦闘に参加させる、かなり変わったスキルを持っていた。水色の小さなポーチは自動で動き回り、敵がプレイヤーキャラを攻撃しようとすると素早く間に割り込み、HPがゼロになるまでダメージを変わりに受けてくれる。こちらから行動の指定はできないが、狭い通路でポーチを召喚して相手の接近を防ぎつつ、遠距離スキルで倒すといった戦い方も可能だ。エヌトロフ以外のクラスでも、スキルの発動方法や得られる効果がユニークなものは多い。名前や説明から「コレは前衛タイプだな」、「遠距離攻撃が得意そう」とすぐに分かるクラスよりも、むしろ「これは何ができるんだ?」と悩むような不思議なキャラクターを試して、『Dofus』ならではの特徴を体験してほしい。

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▲エヌトロフ男性版の戦闘シーン。お宝ハンターという設定を生かし、スコップやポーチを召喚して自分の戦闘を有利にはこべる。
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▲召喚スキルが使えるのはエヌトロフだけじゃない。それぞれのクラスのイメージにあわせた召喚生物が用意されている。

 体験プレイ後半ではインカルナムのボスモンスターがいるダンジョンに、3人パーティで挑戦してみた。攻撃スキルが通る位置までちょっとずつ移動し、攻撃しては敵に接近されないように下がる、を繰り返していると戦闘1回の時間がとにかく長く感じられた。レベル差が圧倒的なモンスター相手ならアッサリ終わるのだろうが、互角程度の敵の場合は障害物を利用しつつちょこちょこヒット&アウェイの繰り返し。ガンガン武器で殴ってゴリ押しで戦闘終了というプレイは、ターン制では難しい。戦闘システムだけを取り上げて評価するのは避けたいが、どちらかと言えば『Dofus』は、どんどんレベルを上げて短時間で結果を出したい人には向かないタイトルと感じた。仲間とチャットで戦術を相談しつつ、お茶でも飲みながらのんびり目の前の1ターンが終わるのを待つ。そんなまったりプレイが好き、というプレイヤーに適していそうだ。

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▲ボスモンスターとの遭遇! かなり狭い戦闘フィールドなので協力プレイは必須だ。▲気がつきにくいのだが画面のズームもできる。チビキャラの時はよく見えなかったがモンスターも結構かわいい。

■アンチマクロで生産系クラスもじっくり育成タイプ

 各クラスの戦闘スキルとは別に、キャラクターは生産を行うための3つの職業を習得できる。一度に3つというわけではなく、特定の条件を満たす事で就ける職業を増やせるシステムだ。序盤のインカルナムでは漁師、木こり、農夫、錬金術の4つから1つだけ選べる。漁師や農夫はその名のとおり池で魚を釣り上げたり、フィールド上にはえている植物を採集できる。最後の錬金術は素材を元に回復アイテムを作り出せる職業だ。

 今回は漁師を試してみた。池にマウスカーソルを合わせ、カーソルが釣り針に変わったポイントをクリックすると自動的に釣り開始。職業レベルとエリアによって釣れる魚は異なる。ちなみに、1度魚が釣れたポイントはしばらく時間が経つまで釣れなくなる。同じ場所で延々スキル上げができないアンチマクロを採用しているのだろうが、生産スキルの上昇は相当大変そうだ。また、釣り上げた魚はそのままでは使えない。建物内に設置された生産専用の工具をクリックし、釣り上げた魚からハラワタを抜くと初めてNPCに販売したり料理の素材などとして利用できる。

『Dofus』
▲序盤で覚えられる生産スキルはこの4種類だけ。生産スキルスロットは3つあるので、この先のエリアで新しいものが習得できるようになる。
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▲漁師なら釣竿など専用の道具を武器スロットに装備して採集を開始。
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▲採集した素材を1次加工する時、初めて成功/失敗の判定が生じる。スキルが低かったり運が悪いと素材をダメにしてしまう。

 今回は1時間程度のお試しプレイゆえに、『Dofus』の基本システムや特徴を駆け足で解説してきた。MMORPGの基本的なシステムはほとんど備え、インタフェースも直感で分かるオーソドックスな作りの『Dofus』だが、他社のタイトルにはない、なんとも味のある独特な世界観を描き出している。ガツガツ効率最優先の戦闘やレベルアップを目指すよりも、『Dofus』の世界をゆっくりのんびり、自分のペースで味わいたいカジュアルゲーマーに向いた作品だと感じた。9月15日、16日の2日間で実施されるオープンテクニカルテストに参加すると、参加者だけの記念アイテムとして“光線パラソル盾”がプレゼントされる。この不思議なMMORPGに興味を持った読者はぜひとも参加してほしい。

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(C)2010 Ankama. All rights reserved.
copyright(C)2010 Aeria Inc. All rights reserved.

データ

▼『Dofus』
■ 運営:アエリア
■ 開発:Ankama
■ 対応機種:PC(対応OS:Windows XP/Vista/7)
■ ジャンル:RPG(オンライン専用)
■ 正式サービス開始日:未定
■ プレイ料金:無料(アイテム課金)

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