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2010年9月10日(金)

『タクティクスオウガ 運命の輪』の皆川さんに迫る! 第2回は画面へのこだわり

文:電撃オンライン

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 スクウェア・エニックスから11月11日に発売されるPSP用ソフト『タクティクスオウガ 運命の輪』について、ディレクターの皆川裕史さんにインタビューを行った。

『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲インタビューに応じてくださった皆川裕史ディレクター。これまでにスクウェア・エニックスで、『ファイナルファンタジータクティクス』や『ベイグラントストーリー』、『ファイナルファンタジーXII』といった数々の作品を手掛けてきた。

 本作は、1995年にスーパーファミコンで発売され、今なお根強い人気を誇るシミュレーションRPG『タクティクスオウガ』を再構築したもの。覇権争いに揺れるヴァレリア島を舞台に、青年・デニムの視点で物語が描かれる。オリジナル版を制作したスタッフらが中心となって開発にあたっており、見た目だけでなくバトルデザインにも新たな要素が加わっているという。

 今回は、“再構築”というテーマとグラフィックについてお聞きしている。なおこのインタビューは、8月21日発売の『電撃ゲームス Vol.12』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されているもののダイジェスト版となる。全文を読みたい人は、ぜひ誌面で確認してほしい。なお、1回目の記事はこちら

『タクティクスオウガ 運命の輪』

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◆◇ “再構築”というテーマを選んだ理由 その2 ◇◆

――前回のインタビューの最後で、オリジナル版の『タクティクスオウガ』についてお聞きしましたが、皆川さんが開発に携わるにあたり、その熱意の根本にあったものとは、なんだったのでしょうか?

 一番強かったのは、SLGというジャンルのおもしろさを、もっと多くの人に知ってもらいたいという気持ちですね。今でこそ、S・RPGを含むSLGは一般的になってきましたが、15年前は本当にひと握りのコアなゲーマーだけが楽しむようなジャンルでした。もっと一般のユーザーに広めたいという思いが強くあって、チュートリアルやヘルプを非常に細かくしたのもその結果です。

 なお、今回の『タクティクスオウガ 運命の輪』でも基本的なチュートリアルはありますが、当時とは内容を変更するなど情報を整理して、多すぎないように調整しました。今のプレイヤーなら常識的に知っていることを細かく説明しすぎると、逆に難しそうに感じてしまう部分もあると思うので。ただし、世界設定的なものに関するテキストは増やしていますので、そこはご期待ください。

――情報という点では、バトル時の画面も非常にスッキリしている気がします。

 ハードの進化にともなって、いろいろと数値的な情報を視覚化しています。わかりやすいところではバトルの行動順ですね。昔は技術的にできなかったので、数字で表現するしかありませんでしたが、今回はひと目でわかるようになっています。

 また、以前はコマンドを選択しないと表示されなかったのに対して、今回は常に画面に表示される形になっています。このように、情報量の密度自体は減らさずに、わかりやすく見せたり、手順を簡略化したりして、よりプレイしやすくしています。

『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲画面の下部には、ユニットが行動する順番が表示されている。味方と敵がわかりやすいため、先を考えて行動することができる。

――とはいえ、これだけ情報量が多い作品ですと、調整するのも大変だと思うのですが。

 もちろん大変ではありますけど、つらくはないんですよ。僕はわりと、見せびらかし屋なところがあるので(笑)。「ねえねえ、このグラフィック、すごいでしょ!」みたいな部分がモチベーションの基本にあって、その延長線上で仕事をしている部分がありますね。

 これはある程度、『タクティクスオウガ』の開発チーム全般にいえることで、僕らが「これ、おもしろいでしょ?」って出したものを、ユーザーさんが「これ、おもしろいね!」って共感してくれるのがうれしいんですよ。ある意味で単純な、子ども同士のやりとりみたいな距離感が、ゲーム作りのモチベーションになっていたり、ゲームとしての強みになっているんじゃないかな、と思います。

――“おもしろいゲーム”を追求しようという気持ちが、あの完成度の高さにつながったんですね。

 スケジュールを含めた際の線引きは、いつの時代も難しいですけどね。「早くみんなに遊んでほしい、見せたい」という思いと、「もっとこうしたい。作り込みたい」っていうバランスが、なかなか大変で(笑)。15年前は当時のディレクターの松野さんからよく締切をつっつかれてましたが、今は自分がディレクターとしてスケジュールを管理する身になっているので、なんだか不思議な心境ですね。

――オリジナル版のドット絵の作り込みも、すごかったです。ドットのキャラクターなのに、まるで表情まで見えるような感じで。シリアスで重厚な物語を表現するのに、あの表現はなくてはならないものだったと思います。

『タクティクスオウガ 運命の輪』

 そう言っていただけるとうれしいです。当時はまだまだ駆け出しのころでしたから、自分ではもっともっと上に行きたいと思って、悔いのないように作っていました。

――小さなドット絵のキャラクターなのに、「ツバを吐く(※)」というレベルの表現までされていて、ビックリしました(笑)。

 適当に1ドットで表現するだけでもよかったのかもしれませんが、作り始めると、どうしても力が入ってしまって(笑)。ドットでのグラフィックは、時間をかけたぶんだけクオリティに反映されやすいので、作り込むのが楽しかったですね。

ある登場キャラクターが、必殺技を放つ前にツバを吐く描写のこと。

――そういったグラフィックや演出面について、今作ではどうなっていますか?

 ハードスペックが向上した今は、逆にグラフィックにブレーキをかけるほうが大変だったりします。ドットで2Dにするか、ポリゴンで3Dにするかとか、表現方法の選択肢がありすぎて、やろうと思えばいくらでもできてしまうんですよ。ですが、やりすぎると、当時の味わいを壊しかねません。そこのバランスがすごく難しかったですね。

 本作におけるマップグラフィックは全部ポリゴンなんですが、気持ちとしては「究極のドットゲームを作る!」という意気込みで、あえてドットの味わいを残しています。実は、3Dでありながらドットとして見せるという部分では、技術的に苦心している部分もかなりあるんですよ。バトルのマップを上から見下ろすことができるので、2Dでは見えなかった部分をどうするかとか、視点を変えた際のキャラクターとマップの表示をどうするかとか、悩みながら調整した部分も多々あります。

 それでも、当時の雰囲気を再現したいなと。優雅に泳いでいるように見えながら、水面下で足をバタバタさせている鳥のようなこだわりとでもいうような(笑)。

『タクティクスオウガ 運命の輪』
▲3Dで作りながら、あえてドットの味わいを残しているという『タクティクスオウガ 運命の輪』。

――本当に当時の雰囲気を大事にしているんですね。グラフィック以外の部分でも、ディレクターとして意識した点はありますか?

 遊びやすさやテンポの部分も、かなり意識しています。魔法のような特殊な技のエフェクトって、演出が長すぎたり、読み込みに時間がかかるとストレスになるじゃないですか。下手をすると、「この魔法はエフェクトが長いから使わない」という人も出てしまうくらいです。

 携帯ゲーム機は特にテンポが重要となるので、ロード時間はものすごく短くしました。800種類以上のエフェクトがありますが、その8割はメモリに読み込める設計なので、バトル中にロードが入ることはほぼありません。体感的には、ゼロだと思ってもらっていいでしょう。バトルフィールドに入る際の読み込みも数秒レベルで、UMD版で遊ぶ場合はデータインストールを使えば、もっと早くなります。これは、エフェクト担当のスタッフが頑張ってくれたおかげですね。

 次回(9月13日掲載予定)は、具体的な変更点についてお聞きする。

(C)1995,2010 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
※画面は開発中のもの。

データ

▼『電撃ゲームス Vol.12』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年8月20日
■価格:690円(税込)
 
■『電撃ゲームス Vol.12』の購入はこちら
Amazon.co.jp
イメージ
▼『タクティクスオウガ 運命の輪』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PSP
■ジャンル:SRPG
■発売日:2010年11月11日
■希望小売価格:5,695円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

▼『タクティクスオウガ 運命の輪』ダウンロード版
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PSP
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2010年11月11日
■価格:4,980円(税込)

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