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2010年9月19日(日)

台湾ガマニアCEO、Albert氏に台湾市場や今後の展望をインタビュー

文:電撃オンライン

 ブースで試遊可能な8タイトルに加えて、数々の新作が控えているガマニアデジタルエンタテイメント。台湾本社のチェアマン&CEO、Albert LIU氏にインタビューを行った。(インタビューは9月18日に実施)

台湾ガマニアCEO、Albert氏に台湾市場や今後の展望をインタビュー
▲Albert LIU氏。

――東京ゲームショウ(TGS)も3日目ですが、会場はひと通りご覧になりましたか? 今年のTGSの印象や、個人的に気になったタイトルがあれば教えてください。

 ビジネス目的のショウというより、今年はゲームフェスティバルのように人が多くてすばらしいですね。人が多くて身動きが取れないほど混んでいます。去年から今年にかけて開催された、他のアジアのゲームショウは、従来に比べてパッとしなかったので、TGSは活気があります。正直なところ、会場外での打ち合わせがほとんどで、まだちゃんと見ていないんですよ。

――もし明日、時間に余裕ができたら、どこか見に行きたいブースはありますか。

 スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーXIV』は見たかったのですが、プレイアブルの出展はないみたいですね。

――今年はガマニア設立15周年にあたる年で、海外進出へ向けて力を入れるそうですが、そのPR第1弾を日本でやりたいと思った理由を教えてください。

 TGSに出展したきっかけは、グローバル進出元年として8本のタイトルをお披露目するのが目的です。

――グローバル展開に向けて、ということであれば、他にE3やgamescomといったイベントがありますが、なぜTGSなのでしょう。

 確かにおっしゃる通りE3は適した場ですが、TGSも十分国際的なゲームショウです。ただ、今回出展した8タイトルのうち4タイトルは、特に日本およびアジア向けを意識した作品になっています。『DIVINA』『Langrisser Schwarz』『Tiara Concerto』『Soul Captor』がそれです。

――『HERO:108』のアメリカ先行、『Langrisser Schwarz』のグローバル展開についてはすでに明言されていますが、今回発表された作品は、すべてアメリカやヨーロッパでもサービスする予定ですか?

 『HERO:108』はアメリカ先行で、『WARRIOR OF DRAGON』と『Reign of Assassin』は中華圏での先行サービスとなる予定です。『Core Blaze』が韓国で最初に展開する可能性が高いです。各地域のプレイヤーの好みに合わせて、リリーススケジュールを決めていきます。

台湾ガマニアCEO、Albert氏に台湾市場や今後の展望をインタビュー 台湾ガマニアCEO、Albert氏に台湾市場や今後の展望をインタビュー

――Albertさんの目から見て、アメリカとヨーロッパ、それぞれのゲーム市場の特徴をどう分析されていますか。 特にヨーロッパは国ごとの違いも大きいと思いますが。

 北米と欧州合わせて5カ所で展開を始めたばかりなので、もう少し私自身が理解してからコメントした方がよいでしょう。市場規模は大きいですが、日本同様にコンシューマがメインで、チャレンジするのが難しい市場だとは思っています。コンシューマのゲーマーをいかにオンラインゲームに引き寄せるかが課題となるでしょう。

――そのためのコンシューマタイトルのようなスピーディさや緊張感を持たせた新作が、昨日公開された『Core Blaze』というわけですか?

 それを意図したわけではありません。『Core Blaze』はガマニア開発チームの技術の集大成という考えで、よいエンジンを使ってガマニアの技術を見せるフラッグシップタイトルとなるでしょう。

――日本のオンラインゲーム市場は最近伸び悩んでいますが、それについて危機感は抱いていらっしゃいますか。

 日本のマーケットについては楽観的に見ています。他社についてはわかりませんが、ガマニアに関していえばここ数年、2桁単位で成長しています。

――その成長をけん引しているのは、主にどのタイトルでしょうか。

 やはり『ルーセントハート』です。

――ところで、コンシューマ版の『ラングリッサー』や『パワードール』は台湾で人気があったのでしょうか。

 台湾だけでなく、アジア全体で知名度が高く人気もある作品ですよ。『ラングリッサー』ファンは少し年齢層が高いでしょうね。PC版をプレイしていた人は、わりと多いんですよ。

――『ラングリッサ』や『パワードール』といった日本産のコンテンツに、潜在的な顧客数以外でどのようなことを期待していますか?

 この2タイトルは日本のPCゲームの歴史の中で、かなりの地位があります。オンライン版は新しいメインシナリオ、デザイン、コミュニティ機能が備わることで、たとえば『ラングリッサー』を知らない人でもアクションRPGとして楽しんでもらえるはずです。コンテンツの力に頼りきるわけではありませんが、コンテンツに魅力がなければ、注意を引くことも難しいでしょう。

――ここ数年、SNSゲームが世界的に注目を集めています。今回はタイトル発表がなかったのですが、近日中に大きな発表はあるでしょうか?

 ソーシャルアプリの面で、ガマニアの開発は遅れを取っていますが、来年の上半期には何らかの発表をする予定です。

――確か、2年前の台北ゲームショウにオンラインカードゲーム『アルテイル』をパブリッシャーとして展示されてましたね。その後どうなったのでしょう。

 台湾ではサービスするタイミングが少し早かったのと、ゲームのルールが複雑なためコアゲーマーでないと理解が難しく、思ったような結果を出すことはできませんでした。

――今回出展、発表された新作のうち、携帯電話やSNSとの連携要素を持っていたり、携帯電話バージョンの開発が決まっていたりする作品はありますか。

 モバイルゲームもいくつか開発に着手していますが、ソーシャルアプリ同様にガマニアは少し出遅れています。

――出遅れてしまった理由は、会社としてどこにあるんでしょう。

台湾ガマニアCEO、Albert氏に台湾市場や今後の展望をインタビュー

 ガマニアグループの主な収益はMMORPGにあり、また台湾市場でも他のMMO開発・運営会社との競争に勝っていかねばなりません。そのためリソースのほとんどがMMORPGに集中していること。また、ガマニアの方針として安定したマーケットが見込めるようになってから資金を投入する、というのがあるためです。最近になってようやくソーシャルゲームやモバイルアプリもビジネスとして十分成り立つことがわかり始めました。

――つまり、SNSゲームやモバイルゲームには、まだ本格的に参入するべきタイミングではないと。

 お試しとなる最初の1本を世の中に出し、それがうまくいけば大資本を投入するでしょう。

――台湾における代表的ゲームメーカーというと、ガマニアさんとソフトワールドさんのトップ2が、10年近く不動の地位を占めています。その他のメーカーがもっと力を付け、台湾ゲーム業界全体を底上げするには何が必要でしょう。

 まず、台湾ゲーム市場はとても小さいため、もしも今おっしゃった2大メーカーに匹敵する3つ目の会社が出てくるとすれば、競走が激化しすぎてしまい、どれも中小規模のメーカーに成り下がってしまう可能性があります。

 現在ある中小のゲームメーカーは、非常にフレキシブルな戦略性を持っており、パブリッシングや海外のライセンス契約はガマニアとソフトワールドにまかせ、開発に集中して力を注いでいます。海外メーカーの下請け開発も担当することで、台湾のゲーム市場は非常によい状態になりました。

――少し話は変わりますが、ガマニアジャパンの2011年にかけての商品リリースを教えてください。

 順番に申し上げますと、『DIVINA』は来週から正式サービスに入ります。『Web恋姫†夢想』は年内に、来年以降に『パワードール』、『Langrisser Schwarz』、『Tiara Concerto』の順番でリリースされる予定です。

――では最後に、日本のオンラインゲーマーおよび電撃オンラインの読者に向けて、メッセージをお願いします。

 ガマニアグループは日本のプレイヤーの意見を重視しています。皆さんの好みに合うようなゲームを提供していきますので、よろしくお願いします。

――本日はありがとうございました。

■東京ゲームショウ2010 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2010年9月16日~17日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2010年9月18日~19日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売り1,000円(税込) ※小学生以下は無料

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