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2010年10月1日(金)

なつかしくも新たな冒険の幕開け!! 『ミラディンの傷跡』メディアパーティレポ

文:電撃オンライン

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 さて、筆者のもらったパックからは《真実の確信》《太陽破の天使》という強力な白のレアカードが2枚出てきましたが、新しい能力を試してみたい、ということで黒緑に“増殖”のため青を少量タッチした“感染”クリーチャーデッキを組んでみることにしました。

 アーティファクト・クリーチャーがたくさんいたため、デッキに入れるクリーチャーの選別に大いに悩みつつ、なんとかデッキが完成。さっそく対戦してみることに。

 最初の試合では、2ターン目《かき鳴らし鳥》から3ターン目《伝染病の留め金》で相手の出したクリーチャーに-1/-1カウンターを乗せ、さらに《かき鳴らし鳥》で攻撃、“増殖”で-1/-1カウンターを増やすというプチ・コンボが決まり「鳥つえー!」とテンションが急上昇。その後も《嚢胞抱え》や《伝染病の屍賊》といった“感染”クリーチャーで攻め続け、対戦相手の毒殺に成功しました。

 しかし2戦目は序盤から相手に攻め込まれ、“感染”クリーチャーを相討ち要員として使わざるを得なくなり、その後“増殖”クリーチャーを引いたものの、肝心の毒カウンターを乗せる手段がなく敗北。そして3戦目も同じようなかたちで負けてしまいました。

 さらに何戦かプレイしてみてわかったのは“感染”はハマると強いがあつかいが難しそう、ということでした。

 試合中、相手のライフが残り10点前後、毒カウンターは6個、というような中途半端な状況におちいってしまうことが結構あり“感染”を主力にするのなら、もっととがったデッキにしなくてはいけないという印象を受けました。“金属術”も同様で、対戦相手も当然警戒してくるのでなかなか条件を達成させてもらえませんが、安定して“金属術”の効果が発揮されていると圧倒的な強さをほこる、というものでした。

 『ミラディンの傷跡』の限定戦はこのように、単純な力のぶつけあいではなく、相手の戦略をいかに妨害するかというかけ引きの要素が強く、非常に奥深い環境だという印象を受けました。また“増殖”などを中心とするコンボ的な要素が多く、何でもなさそうなカードが意外な局面で光ることも多そうです。

『ミラディンの傷跡』メディアパーティ 『ミラディンの傷跡』メディアパーティ 『ミラディンの傷跡』メディアパーティ
『ミラディンの傷跡』メディアパーティ 『ミラディンの傷跡』メディアパーティ 『ミラディンの傷跡』メディアパーティ
▲今回は、一部のレアを除くと全体的にクリーチャーのサイズが小さいので“感染”の-1/-1カウンターは非常に強力。一度カウンターを乗せてしまえば、あとは“増殖”していけば強力なクリーチャーもいつかは倒れます。また“感染”能力を与える《生体融合外骨格》はデメリットこそあるものの非常に頼りになる装備品でした。

 なお、対戦する機会のあったプロプレイヤーの三田村和弥さんにお話しをうかがったところ『ミラディンの傷跡』の限定戦では、意外と多色のデッキがいける、ということでした。

『ミラディンの傷跡』メディアパーティ
▲プロプレイヤーの三田村和弥さん。ドラフトと構築の混合フォーマットで開催された世界大会、プロツアー・ホノルルの優勝者。

 その理由は、やはり無色のカードであるアーティファクトの多さ。色マナが十分に整わない序盤でも、アーティファクト・クリーチャーでしのぐことができるということです。また、このアーティファクト・クリーチャーに《銀のマイア》や《鉛のマイア》のように色マナを生み出す能力を持ったクリーチャーがいるのも、多色化の後押しになるとのこと。なるほど、色マナを使わないで唱えられるアーティファクト・クリーチャーが色マナを出してくれるのは便利ですね。そして最後に、色マナをたくさん必要とするカードがない、ということを挙げてくれました。

 確かに『ミラディンの傷跡』に含まれるカードでトリプルシンボル(唱えるのに色マナを3つ要求する)以上のカードは数枚しかなく、強力なカードもほとんどがダブルシンボルです。また、マナ・コストの低いカードはほとんどが色マナ1つで唱えることができるようになっています。なるほど、たしかに3色くらいにしても十分にデッキがまわりそうです。実際、筆者が使っていたデッキも3色でしたが、思い出してみると、いわゆる“色事故”が起こって何もできなかった、というシーンはほとんどありませんでした。

 限定戦ではなるべく2色でデッキを組む、ということがセオリーとなっており、さらに今回は無色のカードをたくさん入れられるとあって、なるべく色を絞ったほうがいいのではと考えていましたが、逆に無色のカードが多いからこそ、色を散らして強力なカードを使うという戦略が有効なのかもしれません。

 しかし、現在『MTG』公式サイトでコラム“デッキ構築劇場”を手掛けている塚本樹詩さんからは、色を絞るべきという意見を頂きました。その理由は『ミラディンの傷跡』の限定戦は、思っていたよりもゲームの展開が早いことにある、ということです。

『ミラディンの傷跡』メディアパーティ
▲コラム“デッキ構築劇場”の担当者でもある塚本樹詩さん。オススメのカードは《燃えさし鍛冶》。

 アーティファクト・クリーチャーを使えば、たしかに多色でも回るデッキを作ることは可能ですが、アーティファクト・クリーチャーのほとんどはパワーが低く、デッキ内にアーティファクト・クリーチャーが多すぎるのも問題なのだそうです。確かに前述の《銀のマイア》のようなクリーチャーは、便利な能力を持ってはいますが《甲殻の鍛冶工》《きらめく鷹》のようなカードには純粋にパワー負けしてしまいますね。

 このように、強豪プレイヤーの間でも意見がわかれる今回の『ミラディンの傷跡』。これからどのような戦略が誕生していくのか、非常に楽しみですね。皆さんもぜひ『ミラディンの傷跡』の限定戦、構築戦を楽しんでくださいね。

(C)1995-2010 Wizards of the Coast LLC, a subsidiary of Hasbro, Inc. All Rights Reserved.
[Text by ねこひげ合同会社/ゆば]

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