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2010年9月29日(水)

サードメーカーとともに3DSの普及を目指す――任天堂カンファレンス2010レポート

文:電撃オンライン

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 続いて、本日の目玉となる任天堂の新たな携帯型ゲーム機・ニンテンドー3DSに関する発表へ移る。3DSは、“持ち歩く、響き合う、毎日が楽しい”をコンセプトに、裸眼で3D立体視のゲームが楽しめるニンテンドーDSの後継ハード。3DS用ソフトの他、DS用ソフトも利用できる。

 本体には、3D表示の効果を調節できる“3Dボリューム”がついており、これまで通りの画面でプレイすることも可能だ。また、本体外側に付いている2つのカメラを使って、立体写真を撮ることもできる。

任天堂カンファレンス2010 任天堂カンファレンス2010
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 日本国内における3DSの発売日は2011年2月26日で、価格は25,000円(税込)。3DS本体の他に、専用充電台、専用タッチペン、ACアダプタ、2GBのSDカード、ARカード6枚、かんたんスタートガイド、取扱説明書などが付いてくる。本体カラーは、アクアブルーとコスモブラックの2色。

任天堂カンファレンス2010

■“すれちがい通信”や“いつの間に通信”など通信機能を強化

 3DSでは、特に「通信機能を強化した」と岩田社長は話す。“すれちがい通信”において、これまでのDSではソフトを“すれちがい通信”モードにした上で持ち歩く必要があった。しかし3DSでは、スリープモード中に複数のソフトの“すれちがい通信”を自動に行うという。つまり、スロットに刺さっていないソフトでも“すれちがい通信”ができるようになる。

 この他、“いつの間に通信”という機能が搭載される。これは、3DSをスリープモードにした状態であっても、Wi-Fiアクセスポイントに近付くだけで、さまざまな情報を自動的に受信するというもの。受信可能なデータは、ゲームのランキングデータやゴーストデータ、無料ソフト、お知らせなど。このサービスは、特別な設定をすることなく受けることができる。

 通信機の強化にともない、接続拠点の拡充も行われる。これまでのニンテンドーゾーンやマクドナルドのアクセスポイントに加えて、新たに駅やカフェなどに設置された公衆無線LANエリアから、Wi-Fi(無線LAN)で簡単アクセスできる“Wifine(ワイファイン)”での利用が可能になる。鉄道は、東京都交通局、東急電鉄、京急電鉄、つくばエクスプレス、ゆりかもめ、名古屋市交通局、空港は新千歳空港、中部国際空港、福岡空港。カフェ・ファーストフードでは、プロント、カフェソラーレ、ロッテリア、タリーズコーヒーなどが対象だ。

任天堂カンファレンス2010 任天堂カンファレンス2010 任天堂カンファレンス2010
▲強化されたすれちがい通信について、バンダイナムコゲームス『リッジレーサー 3D』の坂上陽三プロデューサー、カプコン『スーパーストリートファイターIV 3D Edition』の小野義徳プロデューサー、KONAMI『Project ラブプラス for Nintendo 3DS』の内田明理プロデューサーが、それぞれ期待のコメントを贈った。

■MiiやAR機能を活用する内蔵ソフトで遊びが広がる

 3DSにはWiiと同様に、自身のアバターとなる“Mii”を作成できる機能が内蔵されている。任天堂の調査によると、自身のMiiを持っている人が日本では2,600万人以上、世界では1億8,000万人を超えているという。岩田社長は、3DSではMiiのキャラクターをもっと身近なものとして感じることができると語った。

 3DS内蔵の『Miiスタジオ』は、顔のパーツを組み合わせて、自分や家族などいろいろなMiiを作ることができるソフト。3DSのカメラで顔写真を撮ると、自動でパーツを選んでくれる機能も用意されている。作ったMiiは、QRコードに変換することも可能だ。また、すれちがい通信でMii同士がすれ違うこともあり、その結果は『すれちがいMii広場』という内蔵ソフトで見ることができる。

 この他3DSには、AR(拡張現実)の技術を利用した数種類のゲームが遊べる『ARゲームズ』や、本体のカメラ機能を使用する『ニンテンドー3DSカメラ』といったソフトが搭載される。

任天堂カンファレンス2010 任天堂カンファレンス2010
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▲『ニンテンドー3DSカメラ』では、3DSの外側と内側のカメラで同時に撮った写真を合成することができる。ここでは、岩田社長と同社専務取締役・宮本茂氏の顔を合成するデモプレイが行われた。

■GBやGBカラーのバーチャルコンソールが遊べる!

 3DS用のダウンロード販売ショップも用意される。岩田社長によると、WiiやDSiの反省を生かし、3DSでは販促と販売の機能を統合するという。Wiiでたとえると、『Wiiショッピングチャンネル』と『みんなのニンテンドーチャンネル』を統合したイメージだ。入手したダウンロードコンテンツは、SDカードに記録される。なお、ニンテンドーDSiショップで購入したソフトは、DSiから3DSへの移行が可能。

 さらにWiiと同様、往年のソフトをバーチャルコンソールとして展開する。3DSのバーチャルコンソールでは、まずゲームボーイとゲームボーイカラーのソフトを順次配信。またバーチャルコンソール以外に、クラシックゲームを3D立体視表示にしたソフトも配信される。岩田社長は、実験的にバンダイナムコゲームスの『ゼビウス』を3Dにしてみたところ、「非常に価値が高まると思った」と感想を述べた。

 上記のソフト以外に、ニンテンドーDSiウェアやニンテンドー3DS専用の新作ダウンロードソフトも販売するとのことだ。

任天堂カンファレンス2010
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■ニンテンドー3DSを普及させるための課題と施策

任天堂カンファレンス2010

 岩田社長は、E3 2010で3DSを発表した際、高く評価してもらい手応えは感じたそうだが、3DSの普及に対して決して楽観視はしていないと語る。3DSが普及するためには、これまでのゲーム機にはない新たなハードルと超えなければならない。そのハードルは「裸眼立体視は、実際に体験しなければその価値を実感できない」こと。従来の伝達方法であるTVや印刷物、インターネットでは、その価値を直接伝えることができない。しかし、3DSは携帯型ゲーム機ゆえに持ち運びができるため、3DS本体を持っている人の周囲に魅力が自然と伝わっていくはずと語る。

 もう1つの課題として挙げたのが“任天堂ハードで売れるのは任天堂のソフトばかりで、サードパーティのソフトが売れていない”こと。岩田社長は、日本において任天堂プラットフォームのサードパーティ比率が、他のハードに比べて低いことを認めた上で、DSではハードの普及とともにその問題は解消したと話す。しかしWiiでは、必ずしも解決はしていないという。3DSでは、この課題に正面から向き合わなくてはいけないと岩田社長は断言。各ソフトメーカーのクリエイター陣によるビデオコメントを上映し、サードパーティとタッグを組んで3DSを展開していくことを強調した。

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▲3DSについて語るクリエイター陣。左上から、カプコン川田将央氏、コーエーテクモゲームス鯉沼久史氏、KONAMI小島秀夫氏、レベルファイブ日野晃博氏、スクウェア・エニックス野村哲也氏。

 最後に岩田社長は、「任天堂はソフトメーカーの皆さんとともにニンテンドー3DSの普及を目指し、これからもゲーム人口の拡大に努力して参ります」とあいさつし、発表会は終了した。

(C)2010 Nintendo

データ

▼ニンテンドー3DS アクアブルー
■メーカー:任天堂
■発売日:2010年2月26日
■価格:25,000円(税込)
▼ニンテンドー3DS コスモブラック
■メーカー:任天堂
■発売日:2010年2月26日
■価格:25,000円(税込)

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