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2010年10月15日(金)

“ゲーム屋さんがえらんだ良作!”について語りましょう

文:電撃オンライン

 現在、各地のゲーム販売店で“ゲーム屋さんが選んだ良作!”というプロジェクトが進行している。ここではこの動きに関して、電撃ゲームス編集長・千木良章と、このプロジェクトの立ち上げにかかわっている田下広夢氏との対談を掲載。

 なおこの対談については、この記事以外にも、10月15日発売の『電撃ゲームス Vol.14』(アスキー・メディアワークス刊)と、田下氏のサイト“田下広夢の記事にはできない。”の2つで、それぞれ個別の内容のものが掲載されている。ぜひ3つあわせてチェックしてほしい。

ゲーム屋さんが選んだ良作

ライター・プランナー
田下 広夢(たおり ひろむ)

ゲームライターのかたわら、ゲームの販促企画や、販促物の制作も行う。日本テレビゲーム商業組合ゲーム販売研究会アドバイザー。

ゲーム屋さんが選んだ良作

電撃ゲームス編集長
千木良 章(ちぎら あきら)

ゲーム総合誌『電撃ゲームス』編集長。この対談の別バージョンが掲載された『電撃ゲームス』は現在絶賛発売中。


千木良 “ゲーム屋さんが選んだ良作!”という活動があるのをご存じでしょうか。日本テレビゲーム商業組合という、ゲーム専門店や、DVDや書籍とゲームを販売するソフト複合店と呼ばれるような、街のゲーム屋さんが集まっている、経済産業省の認可法人が主催しています。既に発売されたゲームで、しかも販売本数が10万本に満たないゲームの中から、実際に遊んでみて、これはおもしろいというものを全国のゲーム屋さんが選んでユーザーに紹介するというプロジェクトです。よい作品なんだけど売れていないゲーム、知られていないゲームを、お店がユーザーに伝えていこうという試みです。

 電撃ゲームス本誌の方では、ゲームライターであり、日本テレビゲーム商業組合のゲーム販売研究会アドバイザーとしてこの企画に立ち上げから参加している田下さんをお迎えして、ゲーム販売店の現状やゲームが売られる仕組みといったお話も交えながら、“ゲーム屋さんが選んだ良作!”の詳しい内容を紹介する対談記事を掲載しました。ぜひ、そちらも読んでいただきたいんですが、本誌には掲載しきれなかった話がたくさんありますので、ここではさらにつっこんで“ゲーム屋さんが選んだ良作!”というものがどういう活動なのか、そしてゲームを売る現場が今どうなっているのか、という話をしていきたいと思います。田下さん、本誌に引き続き、よろしくお願いします。

田下 よろしくお願いします。

【毎月ディスプレイコンテスト】

千木良 ではさっそく、毎月まず全国のゲーム販売店の店員さんが投票をして、その投票をもとに最終審査が行われ、その月にオススメする1本を決定していくということなんですが、決定した後の動きというのはどういう流れになっているんでしょうか。

田下 この活動は、1つには実際に遊んでみておもしろいものを選ぶというところが大切なんですが、もう1つは、それをユーザーにしっかり伝えていく、というところにポイントがあると思っています。そこで、実は毎月ディスプレイコンテストを行っています。

千木良 ディスプレイコンテストというのは、ゲーム売り場のディスプレイを作りこんで、よい売り場のお店を表彰していく、というコンテンストですね。ユーザーにはあまり知られていませんが、メーカー主催のものがたまにありますよね。

田下 それをですね、メーカーさんに協賛していただきつつ、日本テレビゲーム商業組合さんで主催して、毎月行っています。そうすると、参加しているお店では毎月オススメの良作が展示されるということになります。

 僕なんかは完全にそうなんですが、ゲーム専門店に行く人って、ゲームがいろいろ飾ってあるのを物色するのが楽しいっていうのが結構あるような気がするんですよ。いいお店って、そういう人とコミュニケーションがとれてるんじゃないかと思うんですね。たとえば、そこのところがよくわかっているお店はお客さんの来店頻度を測ったりしているんですよ。1カ月に1度なのか、3カ月に1度なのか、半年に1度なのか。大体1カ月に1度来ているなら、お店は1カ月ごとにある程度変わって行ってないとおもしろくないよね、と。

千木良 確かに、毎月お店に「今月の良作はこれだよ」って展示されていたら、行くのが楽しいかもしれません。

田下 こういう活動をしていくと、実はいいゲームだけでなく、いいお店が顕在化していきます。ちょっとビックリするぐらい手をかけて棚を作りこんでいただいているお店って、やっぱりあるんですね。そういうお店を今度は協賛していただいたメーカーの方々に写真でお届けしています。

千木良 いいゲーム屋さんって間違いなくありますけど、ここのお店は頑張ってるよ、みたいなことは実際のところそれほど広く知られてないですからね。

田下 ゲーム屋さんとゲームメーカーの関係って、どうしても規模で決まってしまうところがあって、規模の大きいお店、規模の大きいフランチャイズは販促なんかでも有利です。もちろんそれ自体は間違っていません、規模が大きいということはそれだけたくさんのユーザーにゲームを売っているということですから。でも、もう1つの価値観があっていいと思うんです。

千木良 このお店はしっかりとゲームをユーザーに伝えるお店だ、という価値観ですね。

田下 たとえば、完全新作のゲームがあって、ユーザーにゲームの中身を丁寧に説明していかなきゃいけない時に頼りになるお店っていうのが“ゲーム屋さんが選んだ良作!”を通してひとかたまりになっていて、やっぱりゲームは専門店のプッシュが大事だよね、という風になればいいなと。街のゲーム屋さんの役割みたいなものが明確になって、その中で全体の発言力が増していくというと、すごくいいですよね。

【できるだけ多くのユーザーに魅力を届ける】

田下 ただ現実として、ガッツリ棚を作り込める店舗とは逆に、そういうことが難しいお店もあります。これは両方考えていかないといけないと思ってるんです。

千木良 売り場が狭いとか、ありますからね。

田下 ゲーム屋さんに限りませんが、“坪効率”みたいな言葉があるくらいで、お店の敷地をいかに有効活用して売り上げを立てるかというのは実際問題としてあるわけで、大きなスペースを割いてコーナー展開するというのはそれだけでリスクだ、というのも1つの考え方です。また、棚を作り込む手間がかけられない、というお店があることも事実です。これは現場のやる気だけで解決できるとは限らないんです。

千木良 またゲームが大変なのは、あらゆるメディアの中で、鑑賞するというか、作品を楽しむのに一番時間がかかるということですよね。

田下 あー、それはすごく身に染みます。ゲームライターなんて、好きじゃなかったら絶対やっていられないですよね。

千木良 そうそうそう。時給換算したら何百円になっちゃうんだろうって。仕事と趣味の境界がある意味あいまいな状態でゲームをプレイして、それをお金にするっていう。ゲームが好きじゃなかったら不可能です。だったらコンビニでバイトしていた方が全然マシ(笑)。

田下 お店もそれはやっぱり同じで、これだけたくさんのゲームが発売される中、全部を遊んでおもしろいところを紹介するっていうのは、普通に無理です。で、またここが難しいところなんですが、ゲームって最初ちょっとやっておもしろくないんだけど、途中からグッとよくなるものもあるじゃないですか。

千木良 ありますあります。ゲームのツボというか。

田下 ずいぶん前に発売されたゲームですけど、PS3の『デモンズソウル』なんかがそうで、僕がプレイした時は、チュートリアルが終わって、その後最初の2時間で、スタート地点から1歩も動いていなかったですからね。もうやめようかと思いました。

千木良 あれは特に最初がキツイゲームですからね。

田下 でも、3時間ぐらい経つころ、猛烈におもしろくなって、その後は逆にやめられなくなるんですよね。そういうツボみたいなところこそ、紹介していく必要があると思います。なので“ゲーム屋さんが選んだ良作!”では、選ばれたゲームをまず僕がクリアするぐらいまでプレイしてですね、それで、コメントを考えてポップを作っています。橋本モチチさんという、『電撃ゲームス』本誌の対談でも挿絵や千木良さんの似顔絵を描いてもらいましたが、僕がいつも一緒に仕事をしているイラストレーターさんに手作り感があるコメントポップに仕上げてもらってます。こういうものは、カッチリきれいに作るより、手描きで多少粗くても楽しい雰囲気がある方が読んでもらえると思うので。

千木良 本屋さんとか、今はお店が少なくなっちゃいましたけど、CDなんかでも手描きのポップってつい読んじゃいますね。

田下 あ、まさにそんな雰囲気です。また、お店の人向けのゲームの紹介も書いてます。『斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)』はWiiモーションプラスがないと楽しさ半減みたいな、メーカーさんだと言いにくいこととか、『ゴーストトリック』でミサイルという犬のキャラクターが超カワイイからプッシュしてみてください、なんていうところまで。そういう形で、やる気さえあれば最低限の参加はできるというフォローをさせていただいて、参加店を増やしていって、何よりも大切なことはゲームの魅力がユーザーに届く機会を増やすということだと思ってます。

【ゲームの新陳代謝】

田下 あのー、なかなか新しいゲームは売れない、みたいな話はゲーム業界でずっと言われ続けてることのような気がするんですが、一方で、新しいことを考えて挑戦する人たちも、常にいますよね。

千木良 仕事柄、僕はいろいろなクリエイターさんの話を聞きますけど、みんな死ぬほど考えていらっしゃいます、本当に。どういう角度で考えているかっていうのは、プロデューサーとか、プログラマーとか、広報とか、職種によっても違うと思うんでしょうけど。売れなければいけない、というのは大前提としてあって、でも何か新しいことはできないか、おもしろいことはできないかって探し続けていますね、ゲーム業界は。

田下 お店も本当は、作っている人たちと同じレベルで、新しいおもしろいことをしようって考える必要があると思うんです。それはもちろん、ゲームメーカーさんでもプロデューサーと、ディレクターと、営業では違うように、お店はお店で、ゲームをお客さんに紹介する現場として、ですね。そこがないとダメで、いくら新しいものを生み出そうとしても、ユーザーに知られずに、枯れていくということになってしまうと思うんです。そういう意味で“ゲーム屋さんが選んだ良作!”みたいな活動は、地道なばかりで見ている方にはもどかしいところもあるかと思いますが、すごく大事なことだと考えてやっています。そこでやっと、業界全体が新陳代謝していく、というような。

千木良 雑誌もなんですけど、そういうところをしっかりやって、全体がうまく回っていくということがありますからね。『電撃ゲームス』本誌でも毎月選ばれたゲームを紹介していきますし、お店の現場の写真なんかをご紹介していこうと思っています。皆さんもぜひ、応援してください。

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■ 第5回ゲーム屋さんが選んだ良作! ディスプレイコンテスト 最優秀賞 ■

エーツー日本橋店ドキドキ冒険島 武蔵浦和店
ゲーム屋さんが選んだ良作 ゲーム屋さんが選んだ良作
▲お店手製のポップ満載で巨大なコーナー。ケガで入院していた店員さんが復帰後最初に作ったコーナーが『HOSPITAL』のコーナーだったということで、そんなこともネタに入れて、楽しい雰囲気を演出。▲お店の人が作るような手作り感を大事にしてポップを制作。

■ 第2回ゲーム屋さんが選んだ良作! ディスプレイコンテスト 最優秀賞 ■

メディオ!西市wanpaku河内長野店
ゲーム屋さんが選んだ良作 ゲーム屋さんが選んだ良作
▲『斬撃のREGINLEIV』の“斬る”気持ちよさを強くアピールして最優秀賞に。▲『ゴースト トリック』のコーナー写真。本文中にあるミサイルを大きくプッシュ。また、他の個性的な登場人物もしっかりとアピールして『ゴースト トリック』の魅力をうまく伝えている。

データ

▼『電撃ゲームス Vol.14』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2010年10月15日
■価格:650円(税込)
 
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